iPhone8はなぜ売れないのか

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2017年10月18日 16:42  ニューズウィーク日本版

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ニューズウィーク日本版

<iPhone8はアップル史上初めて、前機種のiPhone7より売れない不名誉なモデルになりそうだ>


かつては新製品を発売するたび消費者を熱狂させてきたアップルだが、ここ数年はその栄光に翳りがさしている。9月に発売された「iPhone8」もそうだ。アップルの新型スマートフォンの発売日につきものだった行列もめっきり減って、いまでは多くの店で客よりスタッフが多いほどだ。


消費者の反応が鈍い理由としては、ブランドが陳腐化してきたことに加え、新世代のiPhoneには付加的な改良しか見られず、スマートフォン自体に新鮮味がなくなっていることが考えられる。


2つ目の理由は業界全体の傾向で、消費者がスマートフォンを買い替える頻度の低下につながっている。米金融大手シティグループの推定によれば、スマートフォンの買い替え間隔は、2014年には24か月だったが、2016年には29か月にまで延びた。


iPhone8は、「iPhone8Plus」および「iPhoneX(テン)」と並び、アップルが9月に発表した3種類の新型iPhoneのひとつで、大苦戦を強いられている。グーグル、華為技術(ファーウェイ)、サムスンなどが出す高級機種との競争が激化しているだけではない。身内からの競争にもさらされているのだ。


「iPhoneX」待ちも


iPhone8は、アップル史上初めて売れ行きが前機種を下回る不名誉なiPhoneになりそうだ。iPhone8を扱う店舗の報告によれば、前機種の「iPhone7」のほうが、発売されたばかりのiPhone8よりも人気があるという。


証券会社キーバンク・キャピタル・マーケッツのアナリスト、ジョン・ビンは顧客向けレポートのなかで、「(米英の通信機器店を対象に実施した調査で)回答者の多くは、かなりの割合の客が新しいiPhone8ではなくiPhone7を買っていると言う。iPhone8には目立った機能向上が見られないことが原因だ」


「店舗の回答からは、消費者がiPhoneXの発売を待っているか、iPhone8を買う前にiPhoneXと比較しようとしていることがうかがえる。通信機器店はiPhone8の販促もしているが、昨年のiPhone7発売時に比べるとはるかに控えめだ」



iPhone8は、同機種の大型モデルである「iPhone8Plus」よりも人気がない。アップルの主力スマートフォンは標準モデルがいちばん売れるという過去の傾向に反した現象だ。


著名なアップルアナリストであるニール・サイバートは10月10日付けのTwitterで、「iPhone8PlusはiPhone8よりも売れている」と投稿した。その理由として、消費者の好みが変わったことを挙げる。「人々はより大きい画面サイズを求めている」とサイバートは言う。iPhone8Plusはカメラも高機能だ」


最新iPhoneの販売減少は、中国の労働権利団体「チャイナ・レイバー・ウォッチ」の報告書にも取り上げられている。iPhone 8の売上低迷を受け、工場で労働者がレイオフされているというのだ。


「iPhone 8の売上が減ってアップルが(中国の)工場への注文を減らしたので、労働者の残業時間や賃金も影響を受けている」と、チャイナ・レイバー・ウォッチは言う。「一部の工場の労働者は、週に4日しか働いていない」


アップルはiPhone8の販売台数をまだ公表していないが、同社の期待は今頃、11月に発売予定のプレミアムモデル、iPhoneXに集中していることだろう。


(翻訳:ガリレオ)




アンソニー・カスバートソン


このニュースに関するつぶやき

  • そもそも、アップ・デートの機会が多すぎる。近くにワイファイの場が無い。だから、いつもドコモ・ショップで行なっていた。(6)の頃。
    • イイネ!11
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