“期待”されるのがツライ… オネエ系タレント活躍の裏で一般人の悲痛な声

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2017年10月20日 01:00  citrus

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昨日、citrusに寄稿する用の、美川憲一やマツコ・デラックスら「オネエ系ご意見番タレント」についてのコラムを書くため、「オネエ タレント」でネット検索をかけていると、女子SPA!から配信された「マツコっぽいキャラを期待されても…ゲイが語る、おねえブームの功罪」という記事にたどり着いた。かいつまめば、生まれ持った性別に違和感を覚えたり、同性に恋愛感情を抱くLGBTの人たちにとって、マツコ・デラックスをはじめとする「おねえ系タレントの活躍」は痛し痒しだったりもする……といったお話である。

 

たとえば、LGBTのケイさん(仮名/20代)は、女子SPA!の取材にこう答える。

 

「“彼女”たちの活躍で、周囲の反応が変わったのは感じます。でもね……おねえタレントさんのイメージで、“毒舌で世間をぶった斬る”とか、“トークがおもしろい”という先入観を持たれているんです。だけど、僕は真逆のタイプなので、(カミングアウトしたら)会食の場などで、先方からそういった期待感が伝わってきてつらいです」

 

また、カミングアウトをしたうえで「必要な場では、おねえ系タレントの会話や仕草を研究して得た“おねえキャラ”を演じているというアキラさん(仮名/30代)も、次のような“本心”を女子SPA!に吐露している。

 

「よくあるのが『友だちになりたい』という初対面の女性。友だちって、『なろう』ってなるものじゃないですよね? それに、ただおねえというだけで友だちになりたいなんて、自分のステイタスのためだけで、こちら側の気持ちを汲んでいない証拠。そんな人は、男女限らずお断りです。逆の立場で考えてみれば、わかることだと思うのですが…」

 

“当人”たちにとってはじつに深刻で、我々“ノーマル”からすればなかなかに耳が痛い問題ではないか。

 

ちなみに、飲み会やデートの席で「ゲイの友だちがほしい!」「ゲイバーに行って説教されてみたい!」……なんて軽口を安易に発する女子は、今でも一定数実在する。そんなとき、私はそういう彼女らの“思慮の浅さ”にちょっとだけ失望しながら「ゲイの人が、かならずしも面白いことを言ってくれるとはかぎらないよ…」と、そのヒートアップしていくいっぽうの短絡的な願望をクールダウンするような発言を被せ、会話の腰を折ってしまう。

 

たしかに、LGBTな人たちは“ノーマル”な人たちと比べ、人口的な面で“少数派”であるのは間違いなく、“多数派”が彼らに「少数派ならではの一風変わった視点」を期待する心情は理解できなくもない。だが、こう例えてみれば多少はわかりやすくなるかもしれない。「お笑い芸人の誰もがプライベートでもしゃべくりまくっているとはかぎらない」「AV女優が全員セックス好きだとはかぎらない」のだ。

 

もうそろそろ「おねえ系タレントやゲイバーは、LGBTという先天性にも根付く資質を極端化することを売りにする、LGBTな人たちのあいだでは特殊な人や場所」だという現実を、世間一般は普通に受け入れても良い頃なのではなかろうか? 

 

「おねえ系=面白い」という先入観は、いくら「面白い」がポジティブなニュアンスを含む言葉であっても、逆差別以外の何物でもない。そう。我々が仕事やプライベートで出会う同僚やクライアントや○○仲間が、かならずしも「オモロイヤツ」だとはかぎらないのと同様、

 

「おねえ系の人にだって、面白いヒトもいればつまらないヒトも嫌なヤツもいる」

 

……のは“当たり前”のこと、つまり「以上でも以下でもない」のである。

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