橋本環奈、コメディエンヌの限界点を突破 演技の魅力は“思い切りの良さ”にアリ

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2017年10月23日 06:03  リアルサウンド

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 橋本環奈が最新作『斉木楠雄のΨ難』でコメディエンヌの限界点をあっさりと超えていった――。アイドルからデビューした橋本が魅せた女優としての資質を共演者や監督の回顧録を踏まえて検証してみたい。


(参考:橋本環奈 画像


 博多でアイドル活動をしているときの写真がネット上で話題になり“1000年に1人の逸材”などというキャッチフレーズで、一躍話題となった橋本。アイドルを続けるなか、女優としても作品に参加し、2016年公開の映画『セーラー服と機関銃-卒業-』では、過去、薬師丸ひろ子や長澤まさみが演じた、ヒロイン星泉役で映画初主演を飾る。


 当時のインタビューで橋本は「名だたる女優さんが演じてきた役だけに不安やプレッシャーはあった」と語っているものの、製作発表会見の席で「プレッシャーは封印します」と宣言し、自身と正面から向き合うことを誓っていた。その言葉通り、劇中では、相棒の長谷川博己をはじめ、安藤政信、伊武雅刀、武田鉄矢ら、そうそうたる俳優たちを相手に、堂々とした組長を演じた。特に伊武とステーキハウスで対峙するシーンなどの思い切りの良さは目を見張るものがあった。


 女優・橋本環奈を語る上で、この“思い切りの良さ”というのが一つのキーワードになってくる。初めてのコメディ作品となった『銀魂』で演じた神楽は、個性的な登場人物が多数出てくる作品のなかでも、非常にファンが多いキャラクターだ。実際、実写化されるというニュースが流れたとき「神楽は誰が演じるんだ」という話題は多く、橋本に対して不安視する声もあった。しかし、映画が公開されると、橋本の思い切りの良い演技は、多くの反響を呼んだ。共演した小栗旬や菅田将暉も、「ハナほじ」や「辛辣な物言い」など、橋本の堂々とした演技には舌を巻いていた。メガホンをとった福田監督も、橋本の思い切りの良さを絶賛。続けて『斉木楠雄のΨ難』のヒロインにも起用するほど、彼女のコメディエンヌとしての才能を惚れ込んでいるようだった。


 コメディエンヌとして高い潜在能力を示した橋本だが、続いて今度は、コメディのなかでも、ギャグ要素が強い『斉木楠雄のΨ難』のヒロインとして、再度福田組に参加した。橋本のクランクインは『銀魂』が終わってから1週間後ぐらいと間が空いていなかったようで、『銀魂』のテンションのまま現場に臨んだという。


 『銀魂』の神楽は特徴的なキャラクターと動きのある仕草でインパクトを与えていたが、この作品で演じた照橋心美は、容姿端麗な学園のマドンナという一面を持ちながら、その実は己の美貌に絶対的な自信を持ち、男子生徒たちを自分の思い通りに動かすことに快感を覚えるという腹黒い女子高生だ。いわゆる表と裏のギャップで笑わせる立ち位置の役柄だが、そのデフォルメされた二面性は“すごい”と唸ってしまうほどの潔さだ。福田監督も「カンカン(橋本環奈)の振り切った演技に、他の共演者も危機感を持ったんじゃないかな。最強の状態でした」と撮影を振り返っていたように、2回目の福田組で、さらに進化していることを証言していた。


 もちろん、ここ2作連続でコメディ映画に出演し、強いインパクトを残しているが、映画『ハルチカ』や、ドラマ『警視庁いきもの係』(フジテレビ系)など、自身のポテンシャルを存分にいかした、爽やかで愛らしい役柄でも魅力を存分に発揮している。「新しいことに挑戦することが好き」と語っていた橋本。自身の持つ思い切りの良さで、これからも、視聴者にさらなる驚きを与える活躍をみせてくれるだろう。


(磯部正和)


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