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「最期まで自宅でひとり」貫くためにするべき“三つの習慣”

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2017年11月15日 07:02  AERA dot.

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写真地域の「寄り道」交流で一人暮らしの老人を訪問する小学生 (c)朝日新聞社
地域の「寄り道」交流で一人暮らしの老人を訪問する小学生 (c)朝日新聞社
 最期まで自宅で暮らしたいと願う人は多い。だが自宅で死ぬ人はわずか10%という現実がある。本当にそうしたいなら、自宅で死ぬという覚悟と、それ相応の準備が必要だ。最晩年の暮らしを支えるための覚悟の仕方、準備の方法について住生活コンサルタントの大久保恭子氏がレポートする。

*  *  *
 国立社会保障・人口問題研究所によると、2035年には65歳以上の高齢者の3人に1人が一人暮らしになると予測されている。そして最期を自宅で迎えたいと希望する国民は6割超とされる。

 それをかなえるためには、自分が老いていく姿を見越し、自宅暮らしを貫くに足る心身の状態に、何としても踏みとどまるという覚悟を持つことが何より大事だ。

 まず、老化の進行が自分の暮らしにどう影響するかを見越すことから始めよう。個人差も諸説もあるが、早い遅いはあっても、誰もがたどる道だ。

【わかりやすい比較表はこちら】段階別・老化の進行が暮らしに及ぼす影響

■第1段階(65〜74歳)
 老化は始まっているが、多くの人が健康寿命を保っており、日常生活に支障はない。この段階になるべく長くとどまることが大切だ。

■第2段階(75〜84歳)
 身体機能の低下が一段と進み、自宅では暮らせるものの、できないことが増え、生活は縮小する。最期まで自宅を望むならば、何としてでもこの第2段階のレベルにとどめる覚悟が必要だ。また、伴侶、友人といった親しい人の死が、生きる気力を消失させ、老化の速度を格段に速めることがある、ということも見越しておくことが大事だ。

■第3段階(85歳〜)
 ひとりでは外出できなくなり、認知症も増える。生きるために最低限必要な食事、排泄、入浴ができなくなれば、多くの場合一人暮らしは断念、ということになる。それでも自宅で死ぬなら、人の助けを得る、という覚悟が必要だ。

 このように、おおよそ現在の自分が老化のどの段階にあり、その後どうなるかがわかると、覚悟のほども決まってくる。

 老化第2段階で踏みとどまるためには、覚悟を決めるだけでなく、老いの進行を見越したうえで、逆算して今からやるべきことを用意周到に準備しておくことが重要だ。

 それは、「人付き合い」「家事」「運動」の三つの習慣だ。

「人付き合い」を失うと、生きる張りをなくし、生活は硬直化する。必要なときに人の助けが得られない。

「家事」ができなくなれば、日々の暮らしは成り立たなくなる。「運動」により足腰の衰えを食い止めなければ、家事も人付き合いもできなくなる。

「人付き合い」「家事」「運動」はこのようにつながっており、どれか一つが欠けてもだめ、三位一体での習慣形成が鉄則だ。

■第1の習慣「人付き合い」
 老化第1段階の退職で仕事関係の付き合いがなくなる。第2段階に入り遠出ができなくなって友人関係が疎遠に、そのうち死亡通知が。そして同居していた伴侶の死と、次々に人付き合いが消失していく。最後に残るのは、遠くの子より近くの隣人たちだ。

 ご近所さんとの人付き合いを習慣化する方法を提案しよう。

 まず、「地域住民福祉活動」といったボランティアに参加してみる。高齢者を対象とした主な地域住民福祉活動は、食事サービス、見守り、訪問活動、交流の場づくり、車椅子などの移動の補助など。こうした活動を通して仲間をつくる。また被支援者に自分を重ねることで、老いの先取り体験ができる。自宅で暮らし続けるために、いずれ受ける可能性のある支援についても予習ができる。町内の自治体活動をするのも良い。

 京都美術工芸大学の高田光雄教授はこうアドバイスする。

「日頃から利用できる生活支援サービスを知っておくことは重要です。そうすれば、生活不安から慌てて高齢者施設などへ入居し後悔する、といったことはありません」

 ちなみに東京都港区を例にあげ、一人暮らし高齢者等が利用できる主な生活サービスをあげておこう。

 ゴミ屋敷化を防止するための「ごみの戸別訪問収集」「粗大ごみの運び出し収集」。料理、片付け、掃除が一時的に無理になったときの、「家事援助」「配食サービス」。まさかの時に誰も助けてくれる人がそばにいないという、最大の不安を解消する「緊急通報システム」「緊急一時介護人派遣」など。利用者負担は無料〜数百円とさほど高くない。他の自治体も同じような支援を提供している。民間の支援サービスも増えている。家事全般から庭仕事、大工仕事まで、日常生活にかかわる代行業務を引き受ける便利屋、家事代行業者、食事を自宅へ届けるサービスや宅配業者による安否確認、タクシー会社による高齢者移送サービスなど多岐にわたっている。

 さらに活動を通じ、生活支援を担う町の人とのつながりもできるので、いざ自分が助けて!となったとき、見知った人に相談できるとっかかりができて、安心だ。相談相手として最も身近な存在は、地域に在住している民生委員。「日常生活の困りごとについて相談すれば、専門の機関、たとえば市区町村、福祉事務所などへつないでくれます」と七尾ひろ子氏(25年の経験を持つ介護福祉士)。どこに何を相談して良いかわからないときに、頼りになる存在だ。

 高齢者の生活の困りごとのよろず相談所として地元の地域包括支援センターもある。

「ここに所属している社会福祉士や保健師などが健康、介護予防、介護保険サービスが必要になったときの申請代行、生活支援、消費者被害についての総合相談にも乗ってくれます」(前出の七尾氏)

 近所の「趣味の会」に入るのもいいだろう。

 複数の人たちと楽しむ趣味、たとえば、コーラス、歩こう会などに参加すれば、共通の話題を持つ仲間をつくる機会が得られる。とりわけ自分より若い世代の仲間をつくることが大切。若い人を通して新しい事象に触れることで、刺激を受け気持ちも若やぐ。

 喫茶店、食堂、居酒屋などなじみの店をつくる方法も。NPOが主催するコミュニティーカフェも。小店なら、週1回も通えば、店主や他の常連客と顔なじみになれる。世間話から始まって、互いの自宅を行き来する仲に発展することも期待したい。

「人付き合いは、外出の機会促進策でもあります。運動にもつながり、老化防止には効果的です」(前出の高田教授)

■第2の習慣「運動」1日8千歩で体力維持
 体力水準、健康水準を反映するのは歩行能力。歩行能力を維持すれば、病気、寝たきり、認知症などの予防につながり、自宅暮らしが長く続けられる、ということが青柳幸利氏(東京都健康長寿医療センター研究所)の中之条研究により実証されている。

 この研究は群馬県中之条町の65歳以上の認知症、寝たきりになっていない人5千人の1日24時間の生活を15年間追跡調査し、高齢者の体力・健康の要因を分析したものだ。その結果、「1日8千歩そのうち速歩20分」の運動を習慣化すれば、体力・健康の維持ができることがわかった。

 速歩とは、息が切れて話がしにくい程度の速さで歩くこと。自宅暮らしを続けるには、最低5千歩は死守すべきだ。今年から、1日の歩数が8千歩を超えると還付金が出る医療保険(東京海上日動あんしん生命保険とNTTドコモ)が売り出されている。社会をあげて「8千歩」が健康目標となりつつある。

■最後の習慣「家事」
 家事の習慣形成は「片付け」「料理」「掃除」と三つに分かれる。

 まずは「片付け」。老化第2段階になると、手足が上がらず、物の上げ下げ、重い物の持ち運びが難しくなる。緊急度が高いのは「片付け」だ。第1段階のうちに、片付かない!は次のように仕切り直したい。

 最初にすべてのモノに定位置を決める。定位置が確保できないモノは、使わないものから優先的に捨てる。モノは捨ててから買う、買ったら捨てるで、モノを増やさない。これをルール化し習慣づけることで、ゴミ屋敷化を防ぐ。

 次は「料理」だ。

 人は食べるものでできている。栄養のバランスが大切で、偏食になりがちな外食に頼らず、1日朝・夕2食、家で作って食べる。これで老化・生活習慣病を防止する。料理は、外食では不足する野菜中心。日本人が慣れ親しんできた、繰り返しに耐える和食中心が良いだろう。

 最後は「掃除」。

 掃除は家庭内体育へ仕切り直す。結構な運動量に匹敵するのは、床拭き、モップ・掃除機かけ、風呂掃除、庭の草むしり、家具の移動など。敬遠しがちな掃除の部類だが、ウォーキングなどの運動と組み合わせることで、身体機能を第2段階に踏みとどまらせる。いずれ第3段階に入り、外出できなくなったとき、掃除の習慣が、体力、生活の質の維持の最後の砦となる。

※週刊朝日  2017年11月24日号より抜粋

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  • ボイス欄を見てるとわかるが、こうした小さな自己努力をしたくない人間が安楽死、安楽死とわめいてるんだよな。極めて自分勝手な彼らが寝たきりになったら?今度は死ぬの怖い、怖いと騒ぐに一票。
    • イイネ!5
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  • 尊厳死を認めろ。第二次ベビーブームに生まれた世代が老齢人口になった頃の悲惨さを思うと早いとこ、「まだ若いのに…」と惜しまれるうちに死にたい。
    • イイネ!58
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