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「Slack」を導入できない企業にDevOpsはムリ?

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2017年11月15日 10:53  ITmediaエンタープライズ

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ITmediaエンタープライズ

写真全社または一部でビジネスチャットツールを導入している企業は28.1%という調査結果もあります
全社または一部でビジネスチャットツールを導入している企業は28.1%という調査結果もあります

 トヨタ生産方式でも利用されていた、プロセス可視化の手法「バリューストリームマッピング(Value Stream Mapping:以下VSM)」を使うと、どの企業でも課題に上がる項目があります。それが「承認プロセス」のリードタイムです。


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 新規機能を開発し、本番稼働しているアプリケーションを一刻も早く置き換えたいにもかかわらず、リリース判定の承認者が一日中会議に追われていてつかまらない――そんな経験はないでしょうか? プロジェクトマネジャーが、承認者の帰りを夜まで待った揚げ句、ミスが発覚してリリースが延期になってしまった、といった展開もよくある話です。


 このように、開発プロセスに携わる社内のステークホルダーが、実はDevOpsを妨げているケースは往々にして存在します。


 中でも、今回例に挙げた、異なるロールや部署間のコミュニケーションによるリードタイムは、どの企業にもある潜在的な課題の1つです。この課題に対する最も手っ取り早いアプローチは、ステージごとに用意された過剰なまでの承認プロセスを省くことですが、エンタープライズの現場においては、法律規制などの外的要因も含め、そう簡単にはプロセスを変えられないのが現実でしょう。


●チャットツールがDevOpsに「必須」である理由


 そうした状況を打破すべく、近年の迅速な開発プロジェクトでは、組織間のコラボレーションを促進するツールとして「チャットツール」が欠かせない存在になっています。「Slack」や「ChatWork」に代表されるチャットツールは、単なるコミュニケーションツールとしての役割を超え、システムやプロジェクトそのものを間接的に管理できるツールとして、エンタープライズ企業でも採用されつつあります。


 特にDevOpsという視点では、エンジニアとビジネス間の意見を気軽に吸い上げ、コミュニケーションを円滑にするだけではなく、CI(継続的インテグレーション)ツールやチケット管理ツールと連携することで、即時にシステムに反映することができる役割も持ち合わせています。これにより、承認プロセスさえも会話の中で完結し、リードタイムを大幅に削減できるのです。


 しかしながら、「ビジネスチャットツールを導入している企業は約3割」という調査結果も出ているように、このチャットツールを導入できていない現場や、うまく活用できていない現場も多いのではないでしょうか。これらの企業を見てみると、チャットツール導入(活用)に失敗する、共通の阻害要因があることが分かります。


●「ハード」と「ソフト」、2種類の阻害要因を理解せよ


 チャットツールの導入を含め、組織が変化する際には、「ハード」と「ソフト」の両面で阻害要因が生まれます。ハードというのはいわば“仕組み”の話。例えば「紙ベースの申請が多い」「情報漏えいの可能性があるため、パブリック型のシステムを利用できない」といった項目が挙げられます。目に見えるテーマであるぶん、VSMなどを使うことで原因を究明しやすく、改善策も検討しやすいのが特徴です。


 一方のソフトというのは、主にマインドを中心とした話です。「新しいものに対するモチベーションが低い」「メールに慣れ過ぎている」といった話で、目に見えないものであるため、原因の究明や改善策が立てにくいという特徴があります。


 この2つは、改善に要する時間にも大きな差があります。ハードの阻害要因は、仕組みを変えればすぐに効果が見えます。例えば、パブリックシステムが利用できない環境を改善するには、社内環境に同様のシステムを作ればよいですし、セキュリティ課題を解決すれば、パブリック環境を利用できる可能性もあります。


 しかし、ソフトの阻害要因はそう簡単にはいきません。今までずっとメールで業務を行ってきた人に対して、「チャットツールを導入したので、メールから移行してください」と言っても、すぐに業務を移管することはできないでしょう。


 それだけではありません。ツールを柔軟に使いこなせる人が重要な内容をチャットでやりとりし始めると、皆が24時間365日メッセージのやりとりに注意を払うことになり、慣れない人は“チャット疲労”に陥る恐れがあります。特に組織が大きくなってしまった後では、ソフト側の要因に手を付けられなくなり、ひいてはDevOpsに必要な、改善のサイクルが回せなくなってしまいます。


 このように、新しくツールを導入するときは、ハードとソフトの阻害要因を十分理解し、特にソフト側の要因を回避する方法を検討する必要があります。導入に失敗する企業は、このソフト側の阻害要因をクリアできていないケースが多く、これを解決するには、開発者や運用者だけでなく、ビジネスメンバーも含んだ共通の価値観が必要になります。


 開発者や運用者の立場で言えば、ソフトの阻害要因を減らすことに重きを置き、みんなと情報を共有できる場を創ることを意識する必要があります。そういった場の提供としてSlackは、誰もが使いやすいインタフェースや、コミュニケーションの肥大化を防ぐチャンネル機能、そして、細かくカスタマイズできる通知機能に注目が集まっています。


 HPEでもこうしたチャットツールに注目しており、Slackと同様の機能を持ったオンプレ型のチャットツール「Mattermost」とパートナーシップを組み、エンタープライズ向けのChatOpsを展開しています。


 ツールの各機能を駆使するだけでなく、誰もが利用できる環境づくりを意識することで、自然とチーム間の意識を合わせられることが、DevOpsにおける真の“コラボレーション”だと考えます。日々の意識を変えながら、ぜひ皆さんも身近な組織の変革に取り組んでみてください。


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