カーズバイク登場しないワケ

天才レーサー・マックィーンの活躍と転機、そして仲間たちとの絆を描いたディズニー／ピクサーのアニメーション映画「カーズ」。その最新作が今夏日本でも公開された「カーズ／クロスロード」だが、同作には魅力的で素敵な“車”が数多く登場するにも関わらず、バイクはいっさい登場しない。飛行機や船は登場するのに一体なぜなのか、ピクサーのクリエイティブ・ディレクター、ジェイ・ウォード氏に尋ねてみた。

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結論から先に述べると、「カーズ」の制作陣はバイクのキャラクターも登場させるべく、試行錯誤を重ねていた。

ジェイ氏は「僕たちはトライしたよ。ただ、フロントガラスにある目の問題があるんだよ。オートバイだと目はヘッドライトになるだろう？　そうすると、1つしか目がないことになる。『モンスターズ・インク』に登場するマイク・ワゾウスキのようにね（笑）。それに、もし目をフロントガラスに置こうとすると、クローズする（囲む）ものが何もない。車はクローズしている。車の上にはトップがあり、目をフロントガラスの上で動かせる。でも、オートバイには、目を置けるところがどこにもない。もし目を置いたら、口はどこに行くの？　車にはグリルやバンパーがある。オートバイはすべてオープンで露出している。だからとても難しいんだ」と理由を語り、こんなエピソードも披露してくれた。

「『カーズ2』でイタリアに行くとき、スクーターのべスパを出したかった。なぜなら、イタリアにはたくさんのスクーターが走り回っているからさ。でも、デザイン的にそれを良く見せることが出来なかったんだ。難しいよ。演技しないといけないからね。キャラクターが1番で、車は2番なんだ。もしキャラクターを魅力的に出来なければ、うまくいかないんだよ」

「カーズ」シリーズでは、目や口の動きで表情や感情をあらわすだけでなく、車の形や色、手足となるタイヤの動き、エンジン音なども使い分け、意地悪な車、優しい車、ハッピーな車、悲しい車など、人間らしさを巧みに表現している。そう考えると、車や電車、飛行機などと比べ、バイクはデザイン的にもいじれる箇所が少なく、ピクサーらしい表情豊かで愛されるキャラクターを生み出すことは難しいのかもしれない。

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