【写真特集】八方塞がりのイタリア労働者

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2017年11月17日 17:42  ニューズウィーク日本版

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ニューズウィーク日本版

<暗いトンネルからの出口を見つけられないイタリア経済。企業の倒産は相次ぎ、わずかな求人枠に仕事を求める人が殺到する>


一向に上向かない景気と巨額の財政赤字を抱え、暗いトンネルからの出口を見つけられないイタリア経済。若年層の失業率が40%近くに達するなか、政治への不満がポピュリズム政治家への支持という形で大きなうねりとなり、経済システムの抜本的な改革は難しくなる一方だ。


フィレンツェ生まれの写真家、ミケーレ・ボルゾーニは苦悩するイタリア社会の映し鏡として、この10年ほど劇的に変化している労働環境に着目。職場や従業員をめぐるさまざまな側面をカメラに収めた。


失業者や安定した仕事を求める人々が公共セクターなどのわずかな求人枠に殺到する一方、企業の倒産は相次ぎ、不要になったオフィス機器などを売る競売が活況を呈している。南部の果樹園に押し寄せるのは、アフリカ出身の不法入国者ら。日雇い労働者として働き、仮設キャンプや工場跡といった過酷な環境での生活を強いられている。


その一方で、新たな雇用の機会も一部ながら生まれている。グローバル企業の物流拠点やコールセンターなどだ。もっとも、厳しい雇用情勢を考えれば、それらの存在は大海の一滴にすぎないかもしれないが。


イタリア空軍では3387人の応募者から兵士84人を選考


アフリカ出身の日雇い労働者800人が暮らすキャンプ


ミカンの収穫期に250人のアフリカ出身者が寝泊まりする南部サン・フェルディナンドの工場跡の建物


イタリア南部のジョイア・タウロでは電気も水道もない家に10人の日雇い労働者が暮らす


倒産した企業の工場設備やオフィス機器が競売にかけられるケースが相次いでいる。パイプを製造していた化学メーカー


倒産したフィレンツェの靴メーカー


中部の町プラートの製糸工場跡


北部の町ピアチェンツァに建設されたイケアの物流センターは、イタリアやスイスの店舗に商品を配送


830人が働くアマゾンの倉庫はサッカー場12面が入る広さ


フィレンツェ近郊のコールセンターでは250人の従業員の約8割が女性


決済サービスの多国籍企業がミラノに開設したコールセンター


イタリアを代表する医療診断機器メーカー、エサオテの労働組合員によるデモ


フィレンツェでは郵便局員によるデモが勃発


Photographs by Michele Borzoni-TerraProject


撮影:ミケーレ・ボルゾーニ


1979年、イタリアのフィレンツェ生まれ。大学で地質学を学んだ後、ニューヨークの国際写真センターでドキュメンタリー写真とフォトジャーナリズムを学ぶ。カシミール紛争やパキスタン、エチオピア、トルコ、エジプトのキリスト教徒コミュニティーなどをテーマとした作品を、欧米の有力誌や展覧会で発表している


[2017年2月7日号掲載]


<「Picture Power」の記事一覧はこちら>



Photographs by Michele Borzoni


このニュースに関するつぶやき

  • これがイタリアの現状。次々倒産する企業、一日5~10ユーロの日雇い労働、増加する自殺者。その一方で雇用規制が一向に良くならず、35才になっても親と暮らす若者が多い。「昔は良かったね」では進歩しない。
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