賢明なるcitrus読者の皆さまは「エンジョイハラスメント」なる言葉をご存じだろうか?
日刊大衆によると、お笑いコンビ・オードリーの若林正恭(39)が考えた造語であるらしく、11月7日放送のドキュメント番組『セブンルール』(フジテレビ系)で、初のお披露目があったという。
当番組は、さまざまな分野で活躍中の女性が登場し、その仕事ぶりやプライベートに密着するという内容で、この日の放送では、ファッションブランド『H&M』のPRマネージャー・室井麻希さんの多忙な生活をフィーチャー。室井さんは、華のある仕事は同じチームメンバーに任せるスタイルで、みんなが楽しんで仕事をすることを一番に考えている……のだそう。
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だが、「朝起きて“会社に行きたくないな”と思わないでほしい」と語る室井さんに対し、若林がこう反論。
「朝起きて“仕事楽しいな”みたいなのを、俺は“エンジョイハラスメント”って呼んでいる」
「“だりぃな”と思いながら仕事の現場に行って、ちゃんとやって、“これで良かったかな?”くらいで帰ってもいいじゃん」
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実際、若林はネタをつくる作業が「全然楽しくない」と語り、ライブが終わったあと、「まぁ良かったかな」と思う程度でやっている、と自身のスタンスをも語った……ようである。
この若林発言はネット上でも賞賛の声が多い様子で、私も彼が力説する「仕事との距離感」には猛烈に同意する。
まず、原稿書くのが楽しいだなんて一度も感じたことない。まだ趣味で描いていたころはあれだけ楽しかったイラストも、仕事として発注されたら机に向かうのが嫌になってしまう。
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仮に、私が大ファンの女性タレントにインタビューができることになったとしても、現場に到着するまでのメンタルは「嬉しいな!」ではなく「めんどくせえなぁ…」だ。大ファンのAV女優と、インタビューどころかセックスまでできるのなら、さすがに「楽しみ〜!」になるのかもしれないけど、プロのAV男優ってことになったら、そう易々と“エンジョイ”するわけにもいかないだろう。
仕事はもちろん、プライベートも例外ではない。とくに最近は、休日のオフタイムでも“リア充”をやんわりと強要する風潮が顕著化している気がする。いいじゃないか。別に、自転車に乗って街や高原を散策したり、ちょっとマニアックなスポーツにチャレンジしたり、お洒落カフェで食べ歩きしたりしなくても……自宅で寝だめでもくわえ煙草でパチンコ三昧でも全然かまわないではないか。
……みたいなことを書いていて、ふとわかったことがある。2週間ほど前に、ここcitrusにアップした『「須沢桂子」って誰だ? 私がAppleの広告になじめない理由』というタイトルのコラムで、私は
Googleをはじめとする、外資系のパソコン・スマホまわりで稼ぐ企業の広告が、なんとなくいけ好かない。
……と書いたが、その「なんとなく〜」の正体が、やっと判明したのである。そう。これら一連の広告がかもし出す「プライベートのエンジョイハラスメント」感が、私にはどうしても受け入れられなかったのだ。
一挙に心のモヤモヤが吹っ飛んで、気分は爽快! 若林さん、素晴らしい天啓を与えてくださり、本当にありがとうございましたm(_ _)m