夫婦ともに認知症 67年連れ添った妻を殺害した夫に有罪判決(英)

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2017年11月24日 05:32  Techinsight Japan

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先に認知症を患った妻、夫に殺害される(画像は『BBC News 2017年11月21日付「Husband killed dementia-suffering wife, jury finds」(DEVON AND CORNWALL POLICE)』のスクリーンショット)
67年連れ添った夫婦に悲劇が起こった。認知症の妻を介護していた夫自身が認知症となり、妻を殺害してしまったのである。重度の認知症となっている夫は、裁判所に出廷することなく有罪判決を受けた。英メディア『BBC News』『Metro』『Cornwall Live』などが伝えている。

英コーンウォールのセント・メリリンにある小さな平屋に暮らすメアリー・エイヴィスさん(88歳)と元警察官のダグラス(89歳)は、67年間人生をともに歩み地域でもよく知られた夫婦だったという。

メアリーさんが重度の認知症を患ってからは、リタイアしたダグラスが献身的に妻の介護をしていた。ところがダグラス自身も認知症となり、メアリーさんの介護が困難になってしまった。メアリーさんの体に痣があることを見つけたかかりつけの医師は虐待やネグレクトを疑ったが、ダグラスは「妻はシャワーの最中に転んだ」と話すだけだった。しかしダグラスの様子に異変を感じた息子や近隣住民らは、もはやダグラスにメアリーの介護は不可能ではないかとソーシャルワーカーへ相談し、医師ともども夫妻の自宅を訪れたが、ダグラスは彼らを追い返したという。

その翌日の2月22日、ダグラスはメアリーさんを杖で殴打し殺害した。前日とは別の医師が寝室の窓から床に倒れているメアリーさんを発見しドアを叩くと、応答したダグラスは「今、電話しようと思っていたところだ。妻が床に倒れたまま起きないんだ」と話した。

警察の事情聴取では、ダグラスはメアリーさんの殺害を否定した。しかし供述に曖昧な部分があり警察が家の内部を調べると、冷蔵庫にはほとんど食べ物がなかったにもかかわらず牛乳瓶が12本以上も入れられており、別の部屋には新聞の束が山積みになっているなど、ダグラス自身の認知症がかなり進行しているとみられる兆しがあった。

逮捕後、ダグラスは重度の認知症と診断されエクセター刑事法院での裁判に出廷するのは不可能と判断された。そのため陪審員らはダグラス不在のまま有罪判決を下し、判事は「1964年刑事手続(心神喪失)法」に基づき、ダグラスを病院に収容するよう命令した。ダグラスは法務省の許可がない限り、今後退院することはできなくなるという。また検死の結果、メアリーさんの頭や体には複数の痣と怪我の痕があり、肩も脱臼していたが、死因は首を絞められた窒息であることがわかった。

事件を担当した捜査官は「夫妻の家族の気持ちは察するに余りある。これは非常に悲しいケースだ」と述べ、検察官も「夫妻は長年人生をともにし、地域でも良く知られていた。被告は長い間妻の介護を献身的にしていたに違いない。しかし妻が求める介護が不可能となり、最悪の結果を招いてしまった。まったくもって悲劇である」と口にした。

ダグラスは現在、バークシャー州サッチャムにあるソーンフォード・パーク病院で認知症を患う高齢者を専門とする病棟に入院中とのことだ。このニュースを知った人からは「どうして医師らは、この男性が重度の認知症になるまで放っておいたのだろう。きちんと診察していればもっと早くわかっただろうに。そうすればこんな悲劇は起きなかったはず」「認知症の男性を罰したところでどうしようもないでしょうに」「こんな悲劇が起こってしまって家族はたまらないだろうね」「助けを差し伸べられていたのにどうして拒否したんだろう」「あまりにも悲し過ぎるニュースだ」といった声があがっている。

画像は『BBC News 2017年11月21日付「Husband killed dementia-suffering wife, jury finds」(DEVON AND CORNWALL POLICE)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)

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  • 一生専門施設での入院なら 罰ではなく適切な処置といえるかもしれません (;・ω・)
    • イイネ!19
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