50年営業、地元に愛され続けた「野ばら手芸店」が閉店

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2017年11月24日 19:13  Fashionsnap.com

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ブランコ通りの「野ばら手芸店」 Image by: FASHIONSNAP
国立市で50年にわたり営業してきた手芸店「野ばら手芸店」が、11月30日をもって閉店する。地域に根付いた個人店で、SNSでは同店の閉店を惜しむ声が相次いでいる。

 「野ばら手芸店」は店主の久保米子さんが吉祥寺に開いた手芸教室から派生し、1967年に自身の誕生日である11月30日に国立駅北口エリアに開店。 2万種類以上の毛糸をはじめ、6,000〜7,000色の刺繍糸やボタンなど、米子さんが国内外から収集した手芸用品を取りそろえている。1970年以降は手芸ブームの波に乗り、国立市内に6店舗まで支店を広げた。しかし100円均一ショップの台頭やインターネット販売の普及により、1990年代前半に相次ぎ閉店。現在は国立駅南口のブランコ通りに構える1軒のほか、息子の良孝さんが野ばら手芸店の関連店舗として運営するビーズとパワーストーンの専門店「NAVY ROSE」のみ営業を継続している。
 良孝さんによると「野ばら手芸店」の閉店は、店主が病に倒れたことがきっかけとなった。米子という名前にちなんで「88歳までは店を続ける」と決心していたこともあり、今月30日に迎える88歳の誕生日をもって店を閉じることを自分自身で決断したという。「オカダヤやユザワヤなどの大手チェーン店はあるが、中央線沿線で個人の手芸専門店はうちが最後かもしれない」(良孝さん)。店頭販売以外に通販を展開していた時期もあったが、豊富な品数を個人で管理することが難しく、利益率が低いことから休止に。インターネット上で手芸のノウハウが無料で手に入る時代になり、教室も閉鎖していた。時代の変化を感じつつも、半世紀という長い年月を振り返り「おふくろはよく頑張ったと思う」とねぎらった。
 閉店までの期間は、店内の全商品を半額で販売。米子さんの孫にあたる作家のくぼゆいさんが自身のTwitterアカウントで閉店を告知すると、瞬く間に情報が拡散され、リツイート数は2万4,000以上にのぼった。良孝さんは「これだけの反響があり大変驚いている。閉店を惜しむコメントもあって、涙が出るほど嬉しかった」という。年配の常連客だけではなく、かつて国立市の住民だった人がツイートを見て遠方から訪れるなど、連日多くの人々が来店している。「おふくろが大事に集めてきたものだから、これを使って何か作ってくれたら嬉しい」。閉店後、売れ残ったものは東日本大震災で被災した宮城県石巻市の幼稚園に寄付する予定だ。
■野ばら手芸店住所:東京都国立市中1-9-36
■NAVY ROSE住所:東京都国立市東1-1-22 パールハイツ401号室公式サイト

このニュースに関するつぶやき

  • 息子さんの言葉に、母親への思いやりが溢れてて泣ける。
    • イイネ!27
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