転職しても独立しても活躍できる人 その最大の特徴とは

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2017年11月27日 18:03  新刊JP

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『ディズニー・USJで学んだ 現場を強くするリーダーの原理原則』の著者、今井千尋さん
「リーダーとはかくあるべき」という人物像を語る本や、リーダーに期待される振舞いをつづった本は多いが、「リーダーが理解しておくべきこと」について書かれた本は案外少ない。どうやら、これらは職場や仕事によって異なると考えられているようである。

しかし、会社や仕事内容にかかわらず、リーダーには使命を全うするためになくてはならない、普遍的な原理原則がある。それを理解することは、部下を活かし、チームを活性化し、パフォーマンスに直結する。

今回は、その原理原則を著書『ディズニー・USJで学んだ 現場を強くするリーダーの原理原則』(内外出版社)で明かしている今井千尋さんにお話をうかがった。

■人の行動を決めるのは「規則」ではなく「雰囲気」だ

――『ディズニー・USJで学んだ 現場を強くするリーダーの原理原則』について。かつて今井さんは、自分の指示が部下に行き届いていないことに苛立つことが多かったそうですが、それが変わったきっかけになったできごとがありましたら教えていただきたいです。

今井:自分で言うのもなんですが、かなりの熱血漢でして、情熱だけでぶつかってしまうタイプだったんです。情熱と勢いさえあれば人はついてくると思っていたところがあって。

それでうまくいく時もあるのですが、熱量だけで突き進む人が苦手な人もいるじゃないですか。だから空回りしてうまくいかないことも少なくありませんでした。

転機になったのは、今勤めている「コミュニケーションエナジー株式会社」に入ったことだと思います。「人はルールではなく、場に影響される」というチーム作りの原理原則を、身をもって理解できるようになりました。こういうことは、以前に在籍していたディズニーやUSJで学んで、感覚的にはわかっていたのですが、より意識的に上記原理原則を研究し、分析し、独自理論として理解できたといいますか。

――「場」というのは?

今井:雰囲気(空気感)とか環境です。何でも言い合える雰囲気ができていれば、本来引っ込み思案な人でも、その雰囲気に流されて意見を言いやすいですし、逆にピリピリした雰囲気だと思っていることがあっても言えなかったりしますしね。

「場」の持つ力については、ディズニーランドを思い出していただけるとわかりやすいと思います。入園した瞬間からキャストがものすごくフレンドリーに迎えてくれて、挨拶ひとつとっても、外ではありえないくらいに明るくて、ものすごくいい笑顔でしてくれる。それにお客さんはまず圧倒されるんです。

キャストとお客さんは友達でもなんでもないんですけど、それこそ園内のキャストは皆昔からの友達みたいな感じで接してくるから、そのテンション(=場の力)に引き込まれてしまうんですね。そうなると、普段は絶対出さないような感嘆の声が園内では自然に出たりする。雰囲気に飲み込まれるというか、場の力に乗せられてしまうんです。

――ディズニーランドやUSJではそういった「場」づくりを意図的に行っているように見えます。そこでお聞きしたいのは、場の雰囲気というのは何でできているのかということです。

今井:それはもうコミュニケーションです。日頃からいい言葉を使っていたらいい場ができるし、ネガティブな言葉ばかり使っていたらネガティブな場ができてしまう。

おもしろいのが、そういう場の雰囲気って「記憶」されるんですよ。つまり、一度雰囲気(=空気感)ができてしまえば、その雰囲気を作った張本人がいなくなっても余韻として残るんです。「人はルールに影響されるのではなくて、場に影響される」というのは、そういう意味もあります。

――なるほど。

今井:ただ、コミュニケーションといっても話をすればいいだけではありません。表情も仕草も、もっといえば自分自身との会話も全て含めてコミュニケーションなんです。最後の「自分自身との会話」は「思考」と呼ばれますが、それだって立派なコミュニケーションです。

大事なのは、コミュニケーションは「良い場」を創る為の「手段」だということです。これを忘れて、コミュニケーションがただただ自動反応的な何の目的も持たない「手段」になってしまっている人は意外と多い。

「手段」が「目的」にすり替わると、物事はうまくいきません。これもチーム作りの原理原則です。今回の本ではリーダーが理解しておくべき原理原則をまとめています。

――今井さんが「原理原則」にこだわる理由はどんなところにあるのでしょうか。

今井:これは仕事に限ったことではないと思いますが、原理原則を理解することが高いクオリティを維持することと、仕事に再現性を持たせることにつながるからです。
原理原則とは既に今ここにあるものであり、目に見えにくいものです。この原理原則が理解できるようになると、良い場でも悪い場でもその場がなぜ起こっているのか、理解できるようになり、意識的に良い場を再現できる力が高まり、「良い場」が出来上がります。

対照的なのが、ルールやマニュアルといった細則で、これに縛られると人が活きないんです。製造業などは別として、対人業務ではマニュアルというのはあくまで迷った時に立ち返るものですので。

こういうものでスタッフを縛る会社ほど、何かあって上司に対応を尋ねると「おまえ自分で考えろよ」って言われたりする。でも、普段マニュアルでガチガチなんだから、そこからはみ出す出来事があったらフリーズしてしまうのは当たり前でしょう。

臨機応変に対応させようと思ったらマニュアルでは限界があって、もっと普遍的なものが必要になります。それがこの本で書いているような原理原則なんです。

それに、ルールもマニュアルもその職場だけのものです。どの職場でも、どんな環境でも高いパフォーマンスを見せられる、仕事の再現性が高い人というのは、ルールやマニュアルではなくもっと根本の原理原則を理解しているといえます。
(後編につづく)

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