AbemaTIMESによると、「DT」こと「童貞」にスポットを当てた青春バラエティ番組『DTテレビ』(AbemaTV)が放送され、「DTが好きなファミレス」に『サイゼリヤ』が選ばれたという。
今回のオンエアでは、「DTチョイス」と題し、ある質問に対して複数の選択肢を提示し、童貞男の共通点を探る企画を展開。「好きなファミレスは?」の問いでは、DT出演者の8人中7人が『デニーズ』『サイゼリヤ』『びっくりドンキー』『ロイヤルホスト』のなかから『サイゼリヤ』を選択した。
……らしい。この結果に、MCを務めるチュートリアルの徳井義実は「なんかわかる」と納得の様子で、DT出演者たちによる“サイゼ選択”の言「ミラノ風ドリア。むちゃくちゃ安いです!」(芸人のひろ)、「バンドマンは一番デカいワインを頼む」(ギタリストDTのクロサワ)……などを受け、「DTは金無いんですかね。金持ちのDTってあんまりおらんもんね」と結論づけた……のだそう。
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さて。「童貞(DT)」という単語を大っぴらに公言しつつ番組タイトルにまでしてしまう、また、どちらかと言えばネガティブなテーマであるにもかかわらず『サイゼリヤ』という実名を挙げてしまう……あたりは、さすがネットテレビならではの画期的な試みではあるけれど、せっかくこうも斬新な切り口なのに、私は正直、徳井による「DTが圧倒的にサイゼリヤを好む理由」は、少々踏み込みが浅いんじゃないの?……と、ある種の物足りなさを感じている。
たしかに、この4択内で、もっともコスパが高いのは『サイゼリヤ』だろう。ゆえに「8人中7人」という数字から「DT=貧乏」なる定理を導き出すのは、間違っちゃあいない。が、仮にここに『ガスト』が入っていたら、どうなっていたか? 「DTは金無いんですかね」の理屈だけで照らし合わせるなら、もうちょっと意見は分かれていたかもしれない。
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私の身近にもDTをこじらしている男性は複数いるが、そんなチェリーボーイズたちとの交流による雑感から述べさせていただくと、「金持ちのDTってあんまりおらん」とはかぎらない。ちゃんとした会社に勤めてそれなりの給料をもらっているDTも多かったりするし、私なんかよりず〜っと稼いでいる青年実業家でならすDTだって実在する。
そして当然のこと、金持ちのDTはソープにでも行けば、今日のこれから1時間後にでも「DTを捨てる」は可能だったりもする。でも、あえて「貫き通している」のは、彼らは「風俗嫌い」だから、あるいは「風俗でDTを捨てることを良しとしていないから」……にほかならない。
私は、「DTの8人中7人がサイゼリヤを選択した理由」は、「他のファミレスと比べて、イタリアンなオシャレ感があるから」ではないかとにらんでいる。
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「未経験」であることに心底からコンプレックスを抱いていない者(最近は、こういうケースも多いと聞く)を除く、世の大半のDTたちは、
「DTを捨てる(=女性にモテる)には、オシャレでなきゃ!」
……みたいな強迫観念に縛られているのではなかろうか。だからこそ、おのれの経済状況が許すかぎりのオシャレな洋服を購入し、オシャレな店でメシを食って酒を飲む。つまり、「女性とセックスするのに年がら年中オシャレである必要はない」という“力の抜き加減”を読み取る能力が弱く、「ここがキメどころ!」といったオン・オフのジャッジが微妙にピント外れなのだ。
もちろん、私は「DTはダメ!」と嘲笑混じりに折檻しているわけでは決してない。むしろ、それくらい偏った“少数派”の半生を過ごしてきた男のほうが、クリエイティブな分野では異端な才能・妄想力を発揮できるはず……とすら考える。ただ、中途半端なオシャレで「捨てたい願望」をかいま見せてしまった時点で、DTは「カッコ悪い」へと転落していく……と警鐘を鳴らしたいだけなのである。