通報先によって処分が違う生レバー問題はフシギだが、そろそろ「冷たい刺し」を卒業するのはいかがだろう?

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2017年12月14日 13:00  citrus

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35年来の読者として「さすが東スポ!」と唸ってしまうような記事だった。経緯はざっくりだし、僕がタイトルをつけるなら、より具体的に中身をチラ見せするとは思うが、それでもいい記事だ。読者目線に近い、こういう切り口の記事を出してくるところが、さすがの東スポ先生なのだ。

 

何の話かというと、兵庫県加東市で起きた「牛生レバー提供で、焼肉店店主逮捕」事件について、以下の記事である。

 

ここが変だよ「牛の生レバー提供」への対応

 

東スポによれば夏に兵庫県警生活経済課が通報を受けて、捜査を開始したという。まず9月に捜査員が客として店を訪れると、「今日はユッケと生レバーと馬刺しがあります」という案内があり、さらに「SNSにアップするのはやめてくださいね。うちはなんでも置いてますよ」「焼く必要はないよ」と言ってレバ刺しを出したという。捜査員はそのレバ刺しを持ち帰って鑑定にかけ、「牛の生の肝臓」と確定。11月に常習性を確認して、逮捕に至ったという。

 

要約すると「食中毒被害がない限り、保健所ができるのは基準の遵守徹底を文書等で通達することで、営業停止などの行政処分を下すことはできない」、「(健康被害がない限り)、行政処分は警察に逮捕された後となる」と書いた。さらに通報先による処分の違いに触れている。この切り口はいままであまりなかった。

 

警察に通報された場合、健康被害なしでも食品衛生法違反による逮捕が可能だが、保健所に通報されても指導までしかなされない。記事タイトルの「ここが変だよ」とは通報先によって処分が大きく変わることを指している。

 

それにしても不思議だ。2012年7月の生食禁止令以降、毎年レバ刺しによる逮捕者が出ている。ユッケは厨房設備など一定の基準(かなり厳しいが)を満たせば提供することは可能だが、その分設備などへの投資も必要となる。なんの投資もしないでルールを破れば、正当な投資をしている事業者が割を食ってしまう。どこから刺されても不思議はない。

 

生レバーの提供は日本の飲食店では、ルール破りだ。定められたルールは遵守すべきで、安全面への論拠がなければ、ルールを上書きするようなアンチテーゼを遡上に乗せることすらはばかられる。

 

ましてや強行突破しようとするなら、覚悟と大義だって必要だ。「いままで大丈夫だったから」「客から求められたから」では説明になっていない。「食」の送り手は、「自己責任」の名のもとに、食べ手の健康を放棄してはならない。

 

もっとも食べ手も冷たい「刺し」ばかりをありがたがる傾向はそろそろ卒業してもいいのではないか。例えば、最近の鮨店においては鮨ダネの魚などは酢飯の温度とのマッチングを考えてか、常温に戻してから握る店も増えてきた。人の舌がもっとも味を捉えやすい温度は25〜40℃程度。丁寧な処理が施されていれば、多少素材をあたためたほうが味を存分に捉えやすくなる。

 

そういえば昔、レバ刺しを出していた店にこう教えられたことがある。「レバーは、弱火の上で表面の色が変わる程度に温めて」と。確かに質のいいレバーを軽く炙ったものは、味の伸びと膨らみ、それに香りと甘味、何もかもが申し分なかった。

 

やっぱりレバーは炙りに限る(ような気がする)。

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