「だんなデスノート」に書き込む妻の共通点は? サイト管理人が明かす意外な“正体”

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2017年12月14日 18:03  サイゾーウーマン

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サイゾーウーマン

『だんなデス・ノート 〜夫の「死」を願う妻たちの叫び〜』(宝島社)

 「朝起きたら冷たくなって死んでますように」「死体で帰ってこい! 赤飯炊いてやるから」「旦那の歯ブラシで毎日トイレ掃除をしています」……。妻たちが夫の死を願う本音サイト「だんなデスノート」に投稿される衝撃的な内容の数々が、多くのメディアで取り上げられ、話題となった。それらの投稿をまとめた書籍『だんなデス・ノート 〜夫の「死」を願う妻たちの叫び〜』(宝島社)は、発売直後にAmazonの「家庭生活」カテゴリーで売上ランキング1位を記録するヒットとなり、賛否両論を巻き起こしている。まさに炎上中といえる「だんなデスノート」について、同サイトの管理人である牧田幸一朗氏に聞いた。

■男性の否定的な意見をシャットアウト

──まず初めに、牧田さんがサイトを開設しようと思った理由を教えてください。

牧田幸一朗氏(以下、牧田) 僕は幼少期のころ、両親が喧嘩ばかりしていたため、あまりいい思い出がありません。その経験が大人になった今でもトラウマになっているので、同じツラさを今の子どもたちに感じてほしくないというのがひとつ。それと、僕は歌舞伎町でホストをやっていた経験があり、お客さんとして来る既婚女性たちが、ただ悩みを聞いてほしいだけということをわかっていた。そんな彼女たちのために、ネット上で愚痴を吐き出す場を提供してあげたかったんです。あと、ゼロから新しいコンテンツを生み出すことに挑戦したかったというのも、理由のひとつです。

──既婚女性が集まる巨大匿名提示版などでも、夫の悪口を投稿する人はいました。この提示版との違いは、どこでしょうか?

牧田 まず、書き込むことで「旦那が死ぬ」というデスノート的な想いが込められるという点。もうひとつが、男性の否定的な意見をシャットアウトしたことです。匿名提示版では誰でもコメントできるので、旦那の悪口を投稿すると「離婚すればいいじゃん」とか「お前が死ね」などと、すぐ批判のコメントが投稿されるんですよ。正論かもしれませんが、否定的なコメントを返されると、すでに不平不満がたまっている状態の女性は、さらにストレスがたまりますよね。そういうことがないように、男性側の書き込みは、こちら側でなるべく排除しました。

──愚痴があるなら、身近にいるママ友などに聞いてもらえば事足りるような気がします。彼女たちがネットで不平不満を吐き出すのは、なぜでしょう?

牧田 友達だからといって、必ずしも共感してくれるわけではありません。円満夫婦のママ友に相談すると、余計なアドバイスをもらって傷つくことすらあります。彼女たちにとって重要なのは、共感してもらうこと。過去に「だんなデスノート」のオフ会を3回開催していますが、共通の悩みを持っている者同士なので、初対面で意気投合して、すぐ友達になるんですよ。

──彼女たちにとって、同じ悩みを共有することがストレス発散になるんですね。そのオフ会に参加された女性に、牧田さんから見て共通する特徴はありましたか?

牧田 年代は20代前半から50代まで幅広いですが、ほとんどが専業主婦。なおかつ“上品”“キレイ”“カワイイ”この3つのいずれかに、必ず該当します。オンナとしての魅力があり、さらに旦那の稼ぎが多い、裕福な女性が多かったですね。

──上流階級の既婚女性が「時間をかけて苦しんで死ね」などと書き込んでいるのは、意外ですね。彼女たちが旦那の死を願う原因としては、何が多いのでしょうか?

牧田 多いのは、モラハラやDVなどの暴力ですね。DV加害者は、医師、弁護士、大学教授などのエリートが多いので、(そうした男性を夫に持つと考えられる)裕福な家庭の専業主婦たちが旦那の死を願うのも当然なのかもしれません。また、妻を専業主婦にする男性は「女性は旦那を支えるべき」という昔ながらの男尊女卑思想から抜けきれず、まだまだ女性を見下しているというのも理由のひとつとしてありそうです。

──「そこまで嫌だったら離婚すればいい」という意見もありますが、彼女たちが離婚をしないのはなぜでしょう?

牧田 ほぼお金です。自分だけならまだしも、子どももいますから。シングルマザーになれば経済的に苦労しますし、そうやすやすと離婚はできません。旦那が死ねば保険金が手に入るというのも大きいでしょう。もうひとつは、見栄ですね。離婚をするのは世間体もよくないと考えがちですし、彼女たちのプライドも傷つくようです。だけど旦那が嫌いで一緒に生活するのは苦痛。この問題をすべて満たせる解決策が、離婚ではなく、「旦那の死」なのでしょう。

──未亡人となれば、世間体も悪くはないですし、保険金まで手に入る。まさに理想の展開ということなのですね。とはいえ、本書では「ゴキブリやネズミ以下のダンナ」「存在自体が悪」など、妻たちが旦那を人間扱いしていない内容が多く、Amazonの書評欄などでは彼女たちの投稿に対して「男性差別だ!」といった批判的な意見が多いです。

牧田 そういう意見はほとんどが男性だと思いますが、彼らに彼女たちの気持ちを理解するのは難しいとは思います。そういう男性たちに言いたいのは、「職場の嫌いな上司」に置き換えてみてください、ということ。最初は仲が良かったかもしれないけど、だんだん嫌なところが目についてきたりとかするわけじゃないですか。「そんなに上司が嫌なら、仕事を辞めればいい」って簡単に言うこともできますけど、そんな単純なものではないですよね? 家族を養わないといけないし、年齢的に転職は難しく、その職場にしがみつくしかなかったりするのが現実だと思います。少なくとも、当事者にしかわからないことがあるということだけは、男性にもわかってほしいですね。

──職場のことであれば、家族や同僚と飲みながら愚痴を吐き出したりもできますが、家庭内のことは、味方であるはずの家族が敵になっているし、友達にも相談できない。だから「だんなデスノート」でストレス発散するしかないんですね。

牧田 その通りです。ただ、悪口を書いて一時的なストレスを発散するだけの場になっているのは、問題でもあります。なので今後は、彼女たちが次の段階にステップアップするための支援をしていきたいと思っています。

──それは、つまり、離婚の後押しをするということですか?

牧田 いや、離婚して幸せになる人もいれば、関係を再構築して幸せになる人もいます。それはどちらでも構いませんし、僕から離婚を後押しするようなことはしません。サイトに書き込んでいる専業主婦は、小さい子どもがいる方が多いので、そう簡単に仕事は見つからず、社会との接点がなくなって悩みを抱え込んでしまうことが多い。なので、僕はその両方を補える場所を提供したいと考えています。具体的にはオフ会活動を大きくしていって、人がたくさん集まるイベントを開催したい。そうするとスタッフが必要になるので、専業主婦の方を雇うこともできますし、同じ悩みを共有できる友達を見つけることもできます。

──「だんなデスノート」というサイトは、今度どうしていきたいと考えていますか?

牧田 サイト自体を特に大きく変えるつもりはなく、ほぼそのままにしていきます。理想としては、投稿数が少なくなること。金もうけが目的ではないので、悩める女性が減ることを切実に願うばかりです。
(ほこのき雄哉/清談社)

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  • 「ガス抜きの場が必要である」という点には同意できるが、ガス抜きなら本来、楽しい趣味やスポーツ等で発散し、神経病んでる場合はカウンセリングや心療内科等で傾聴に応じてくれる人に吐き出すのが筋。
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