■まずは妻の興味あることを聞きだそう
同じ家に寝起きしていながら、いつしか気持ちがすれ違ったり、離れたりしがちな夫婦。子どもも大きくなり、いつかは2人だけに戻るのだから、今のうちに何とかしておきたいと夫側が思い始めるのが40代かもしれない。
「うちもそうでした。40代半ばくらいのときに、そういえば最近、妻とじっくり話してないなと思って。だからといって、正面切って『さあ、話そう』というのもヘンだしね。そこで妻が最近、何に興味をもっているのかを聞きだそう作戦を繰り広げたんです」
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そう言うのはソウイチロウさん(55歳)だ。妻がコーラスグループに入っていることを思い出し、どんな歌を歌っているのか、周囲にはどんな人がいるのかをさりげなく聞き出した。
「最初は、あなたはどうせ興味ないでしょと言っていたんですが、いや、知りたいんだよと言うと、妻は堰を切ったようにしゃべり出して。聞けば話してくれるんですね。そのとき、妻は妻で日々を充実させようとしているんだなとちょっと感動したりもした。そこからパート先の話とか、子どものこと以外での会話が増えたような気がします」
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寄り添う姿勢を見せれば、妻だって悪い気はしない。もともと好きで一緒になったのだから、その頃の気分を取り戻すことだってできるはずだ。
「聞くときは反論しない、理詰めにしないが鉄則ですね。聞いていると、女性ばかりのコーラスグループはいろいろあるんだなあと思うけど、絶対反論してはいけない」
そうやって普段からの会話が増え、今もそれを維持しているという。
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■心が離れたままだと老後が不安
今現在、夫婦の会話が少ないと嘆いているのはジュンイチさん(46歳)だ。
「共働きで子どもは今度高校受験。お互いに忙しいし、妻は子ども優先だしで、なんだか会話が事務的なんですよね。このまま定年になったら、確実に粗大ゴミ扱いされそうで不安が募るけど、どうやって妻に心を近づけたらいいのかわからないんです」
一緒に暮らすうちに、ある程度心の距離があいてしまったのかもしれない。急に縮めようとすれば「何よ今さら」と言われるのは目に見えていると、ジュンイチさんは怯える。
「妻は仕事や子どもの他に、趣味もあるし友達も多い。そんな妻に、どこか嫉妬している自分がいるのかもしれません。僕はせいぜい学生時代の友達しかいないし、継続している趣味もない。何か始めようと思っても、何をしたらいいのか……」
そんなジュンイチさんに、だったら一生の趣味になりそうなものを始めたいけどと妻に相談してみたらいいのでは?と話してみた。
数日後、ジュンイチさんから連絡があった。
「妻がカルチャーセンターのパンフレットを持って帰ってきて、2人であれこれ話したんです。妻のオススメで、とりあえず料理を習うことにしました。妻のご機嫌もとれそうだし」
週末、料理を習ってそれを家で再現することで、おそらく妻との距離も近づいていくはずだ。