「投げずに敬遠」というプロ野球“新ルール”の是非

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2017年12月29日 01:00  citrus

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プロ野球で来季から「守備側の監督が敬遠する意志を球審に伝えれば、投球せずに四球となるルール」が導入されることが12月19日にわかった。来年1月のプロ・アマ合同の規則委員会で正式に決定する予定らしく、米大リーグでは試合時間短縮を目的に今季から実施されているというが、この“新ルール”を巡って、野球ファンのあいだでは賛否両論の声があがっている……のだそう。

 

「否」の声の大半は、

 

「阪神の新庄による巨人戦での敬遠球サヨナラ打(1999年)だったり、敬遠球の暴投だったり……のドラマが観られなくなる」

 

……といったもので、私も「言われてみたらそうだよな…」などと、ちょっぴり淋しい気分におそわれ、心情的にはなんとなく「非」派へと傾きかけていたのだけれど、そんななか、私が監督としての手腕を、あと野球評論家としての才覚を高く評価している元阪神タイガース監督・岡田彰布氏がキッパリと「賛」のスタンスを公にしたので、今一度考え直してみたくなってきた。こうもすぐ人の意見にコロッと左右されるようじゃあ、文筆業者としては失格なのかもしれないが、まあ「やわらか頭」ってことでお許し願いたいm(_ _)m。

 

とりあえず、デイリースポーツにあった岡田氏の「賛」の論旨は以下のとおり。

 

敬遠を巡ってのいろんなプレーをたくさん見てきたよ。それがなくなるわけやからな。

キャッチャーを立たせて投げられないピッチャーも少なくない。そういう意味ではこのルールを喜んでるピッチャーもおるんじゃないかな。

ただ個人的には賛成。ええんちゃうかな。ルール変更の狙いとして、時間短縮とか言われてるけど、(中略)そもそも何試合に1回あるかないかが敬遠で、それで試合時間は変わらんし、それ以上に野球の本質が変わることもないやんか。

“そういうルール”っと割り切って(中略)、次のプレーに集中すればええだけのことやろう。

(中略)どんなスポーツにもルール変更はある。時代や実態に応じて変わっていくのは当然で、たいていの新ルールは慣れたら違和感は薄れるもんや。

運用面で新たな問題が出てきたらそこでまた考えたらええことで、ルール改正の段階では最初から“そういう問題があるからやらん”とまでは考えんよ。実際にプレーしてみんと分からんことも多いから。

 

まるで、岡田氏が私ら読者の耳許でぼやいているかのごとくの、絶妙な関西弁の挿入バランスを保つ名原稿であるが、こういうとぼけた口調(文調?)に反し、氏が提言する「賛」の根拠はじつに理路整然としており、かつ進歩的だったりする。とくに最後の弁は、スポーツにかぎった話ではない名文句で、これを仮に

 

「どんな国にも法律やルールの変更はある。時代や実態に応じて変わっていくのは当然で、たいていの新ルールは慣れたら違和感は薄れるもんや」

 

……と置き換えれば、たとえば昨今急速に進められている分煙問題なんかも、すっと心にハマってくる。

 

ただ、いくら考え直してみても、この「敬遠申告制」が草野球にまで降りてくるのは、やはりいかがなものか……と私は個人的に異を唱えたい(※けっこう、プロ野球界で決まった新ルールは、そのまま草野球界にも降りてくるものなのだ)。なぜなら「死ぬまでに一度だけでも敬遠されてみたい」というのは私の夢であって、万一その夢がかなったときは、願わくば一球一球を4回、じっくりと噛みしめたいのである。自分の前の打者が敬遠されたことは何度かあったんですけどねw。で、結果はピッチャーフライだったり、セカンドゴロ……。ああ、ルール改正前に、一度でも敬遠を四球堪能したかった……。

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