■妻の愚痴を聞くのは夫の務め?
仕事では上司と部下の板挟みになって苦しんでいる中間管理職のジュンジさん(42歳)は、帰宅すると待ち構えたような妻の言葉の砲撃にさらされていると苦笑する。
「会社ではしかたがないですが、家ではもう少し静かに時間を過ごしたいのが本音です。私が帰ると、妻は『お帰り』もそこそこに小学生2人の子に何があった、近所で何があったと事細かに報告してくるのですが、どれもどうでもいいことばかり。右から左に聞き流していると『聞いてるの!?』『あなたは私の気持ちをちっともわかってない』と言われる。妻こそ私の気持ちをわかってない。ときどき怒鳴りそうになるのですが、必死で自分を抑えます。ひと言発すると百言くらい返ってくるのはなぜなのか、一度聞いてみたいけど怖くて(笑)」
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ときに家で仕事をしなくてはいけないときも、妻はすぐに話しかけてくる。どうやら明るくて社交的で、夫に話をしたくてたまらないタイプらしい。しかも、今は専業主婦だから日常的に話す相手に飢えているのだろう。
「私が1日の間で、まともに大人と話せるのはあなただけなのよ。わかってよと妻は言うけど、私は1日中、大人の間で揉まれている。話し声のしない時間もほしいんです」
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ジュンジさんは耐えられなくなると、ウォーキングをしてくるとかコンビニに行ってくるとか言い訳をして家を出る。1人になれるのが深夜、しかも外というのが少しせつない。
■妻はおしゃべりでストレス発散する
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ママ友には本音を話せない、子どもには大人の話はできない。そうやってストレスを抱えた妻は、夫に話さなければやっていけないと訴える。
「聞いてくれればいいだけなんだから、少しの時間、真摯に耳を貸してくれたらいいのに」
そう愚痴るのはイクコさん(38歳)だ。小学生と幼稚園の子どもをもつ彼女は、ママ友や近所の噂などを帰ってきた夫にぶちまけるのが日課だ。
「夫は迷惑そうな顔をしていますが、夫の顔を見るともう言葉が止まらない。1日、私がどれだけ我慢してがんばっているか……。夫は会社にいればいいだけでしょ(苦笑)」
夫も妻も、どちらも「自分のほうが大変だ」という思いがあるから相手への不満が募るのだろう。
「つい先日、夫が『悪いけど今は何を聞いても頭に入ってこないから明日にしてくれない?』って。どうしてそんなひどいことが言えるのってケンカになりました。結局お互いに妥協して、私は『手短に愚痴る』ことになったんだけど(笑)、そんなことできるかなあ。やっぱり夫には何も言わないほうがいいのかしらと考えちゃいますね。こうやって夫婦の溝が大きくなっていくのかもねと夫に言ったら、ちょっとぎょっとした顔をしていましたけど」
時間を区切るわけにもいかないし、難しい問題ではある。ただ、お互いを思いやる気持ちがあれば、軌道修正していけるのではないだろうか。