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ロボットにも履歴書や出勤管理システムを 住友林業流、RPAロボ管理術

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2018年01月12日 11:53  ITmediaエンタープライズ

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写真住友林業グループにRPAを根付かせた立役者、成田裕一さん
住友林業グループにRPAを根付かせた立役者、成田裕一さん

 情シス主導でRPAを導入、成果も着々と上がっている――(前編の記事参照)。そんな住友林業グループが今、ロボット開発を一時中断しているという。なぜ、このタイミングでブレーキをかけたのか。住友林業情報システム ICTビジネスサービス部のシニアマネージャー、成田裕一さんに聞いた。



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●ロボットにも履歴書や出勤管理システムを



 RPAのパイロット導入を経て、社内で実践を進めていくうちに、さまざまな部署からロボットの作成依頼が舞い込むようになった成田さんのロボット開発チーム「ロボ・ラボ」。住友林業のグループ会社にも浸透し、まさに「これから」というときに成田さんが開発を中断したのは、「このまま拡大していけば、RPAの運用が難しくなる」と考えたためだ。



 「いずれは1000体、2000体といった『人数』のソフトウェアロボットがさまざまなシステムに組み込まれて『働く』ようになります。そうなったときに、彼らをどう維持し、管理していくのか。今の時点で先のことを考えておかないと、気付いたらメンテナンスに膨大な時間と労力がかかってしまうような事態になりかねません」(成田さん)



 こうした背景からロボ・ラボでは現在、「ロボットを管理する仕組み作り」に注力している。



 成田氏が考えた管理法は、ちょっと変わっている。ロボットを擬人化し、ロボットの履歴書や、作業状況を管理するシステムを作ったのだ。



 人間の勤怠管理は、出社や有給、ケガなどによる休暇、休職中であるか否かなどを管理する。ロボットに対しても同様に、現在、どこで稼働中なのか、いつまでメンテナンスするのかを一元的に把握できるシステムを開発した。そうやって1人の社員を管理するように、1つひとつのロボットが現在、どんな状態にあるのかを把握できるようにした。



 擬人化して管理する理由は2つある。1つは改修の履歴と働く場所を把握しやすくするためだ。



 ロボットは、Webやワークシート、システム上の操作を自動で行うよう設計されており、ベースの部分に仕様の変更があると、それによってロボットが動かなくなったり、指定された作業を完全に実行しないまま作業を終えてしまったりといった不具合が発生するリスクがある。



 そのため、それぞれのロボットがどういう機能を持っているのか、どんな変更が加えられたのか、どこで使われているのかといった、“人間でいうところの履歴書”にあたるような情報を把握しておかないと管理が難しいという。



 履歴書で管理することで、システムに改修が加えられたときには、その改修の影響を受けそうなロボットを抽出して動作確認をするといった迅速な対応も可能になる。



 同社ではさらに、各ロボットのログも一元管理し、それをチェックする“上司ロボット”もRPAで開発している。エラーログを出力したロボットがあれば、それを人間のスタッフに通知して、対応を求めるのが彼らの役割だ。



 もう1つの理由は、そもそも、人が行っていた作業を任せているので、「そのロボットを単なるソフトウェアとはみなさず、あえて人間に置き換えてみたほうが、管理方法をイメージしやすいのではないか」と思ったからだ。



 「Aさんが仕事を休んだら、部署内の誰がどう仕事を分担するのか――といったように、人間の社員同士なら当たり前にやっていることを、ロボットでもできるようにしなければならないと気付きました。ロボットが正常に動かなくなったら、どこにアラームが来て、その仕事を他のどのロボットが肩代わりするかなど、人間の社員に置き換えて考えると、リスクヘッジを含めて数多くのロボットをどう管理すれば良いのかがとても分かりやすかったのです」(成田さん)



●RPAはITの開発基盤になる



 成田氏はRPAの可能性について、「ITシステムの開発基盤にもなりうる」と見ており、「世間ではユーザー部門主導で導入するケースもあるが、むしろIT部門が積極的にリードしてRPAを導入したほうがいい」と考えている。



 企業では昨今、クラウドサービスの導入が進んでいるが、汎用的なクラウドサービスは自社の業務に最適化して導入するわけではないので、複数のクラウドサービスを活用する場合は、サービス間を取り持つ作業を人が行うことになる。



 例えば、経費精算のクラウドサービスと会計システムを活用するようなケースでは、金額や項目の転記が必要になり、一連のプロセスの中には上司の承認も含まれる。その手間を効率化するために新たなITシステム開発すると膨大なコストがかかってしまうが、「間にRPAをかませれば、実に簡単にシステム化できる」というのが成田氏の考え。つまり、さまざまな業務アプリケーションでクラウドサービスをフルに活用する場合には、それらを連携する「ハブ」の役割をRPAで作成したロボットに担わせればいいという発想だ。



 こうした場面では、情報システム部門が主役になれると成田さんは考えている。



 「RPAをクラウドサービスのハブとして活用する場合は、どんなシステムを組み合わせて使えば利便性が高まるのかを考えればいい。このようなケースでRPAの役割を考えるのに適しているのは、社内のシステムに詳しく、セキュリティのことも分かっている情報システム部門だと思うのです」(成田さん)



 業務現場の人たちを“作業”から解放し、本業に専念できるようにしたい――。成田さんとロボ・ラボメンバーのモチベーションの源泉はここにある。だからこそ「即効性」を出すための方法を考え抜いて試し続け、経験から得た知見は、他の導入検討企業に惜しみなく共有している。そんな成田さんのもとには今や、さまざまな企業が相談に訪れるという。



 成田さんが今、関心を寄せているのは、若い働き手が減っている地方の中小企業へのRPA導入だ。「働き手を集めるのに苦労している企業こそ、RPAを導入すべきだと思うんです。そのために、ロボ・ラボの経験が生かせるのなら、どんどん情報を伝えていきたいですね」(成田さん)


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