「週末映画館でこれ観よう!」今週の編集部オススメ映画は『パディントン2』『消された女』

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2018年01月19日 20:32  リアルサウンド

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 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、編集スタッフ2人がそれぞれのイチオシ作品をプッシュします。


『パディントン2』
 リアルサウンド映画部のもふもふドフラミンゴ系女子・阿部がオススメするのは、『パディントン2』。


 ペルーからロンドンへ引っ越したパディントンがブラウン一家の仲間入りを果たした第1作目の続編となる本作は、パディントンが故郷にいるルーシーおばさんへの誕生日プレゼントとして選んだ飛び出す絵本を巡る物語。パディントンは高価な絵本を買うためにアルバイトに勤しむものの、ひょんなことから絵本泥棒の冤罪をかけられてしまい、牢屋に入ることになる。


 小さい頃からパディントンと共に育ってきた筆者の期待をはるかに超えてきた第1作目だったため、かなりハードルを高く設定して鑑賞した続編だったのだが、結論から言うと胸が熱くなり、心の底から号泣した傑作だった。


 『ハリー・ポッター』シリーズの名プロデューサー、デヴィッド・ハイマンが参加している本作は、まるで巨大なおもちゃ箱に飛び込んだかのよう! キラキラ輝く移動遊園地やブラウン一家の子供部屋、ピンク色の囚人服など、子供だけでなく、大人でも目を輝かせる色鮮やかな仕掛けがふんだんに散りばめられている。


 本作でのパディントンには、 ヒュー・グラント演じる悪役ブキャナンだけでなく、初めてのアルバイトや、近所の住人からの受け入れの反対、刑務所で出会った怖い囚人たち、などなど前作以上の逆境が降りかかる。刑務所に入ったことで家族と離れ離れになってしまったパディントンの心細い表情を見ていると、手を差し伸ばしたい気持ちでいっぱいになった。104分の間に、様々な種類の涙を流させられる作品なのだが、決して“お涙頂戴”なあざとい演出はない。「まだ自分の心にこんなに純粋に涙を流せる感情が残っていたんだ」と、すりへりがちな現代人の感情をも動かすことだろう。


 また、ただのファンタジー映画なだけでなく、メッセージ性も非常に強い。家族の一員になったとはいえ、先程も述べたように近所の一部の住人からはパディントンの受け入れを反対されている。それはイギリスが抱える移民問題とも重なり、「人を見かけで判断してはいけない」と当たり前だけれど非常に大切な事を再度思い出させてくれる作品となっている。


 昨年6月、パディントンの生みの親であるマイケル・ボンドが残念ながら亡くなってしまい、ボンド亡き後に公開された本作だが、この出来に彼も天国でも喜んでいるに違いない。『パディントン2』は、疲れてしまった心を“もふもふ”と温めてくれる存在になってくれるはずだ。


『消された女』
 リアルサウンド映画部の寂しん坊・ダンプ松田がオススメするのは、『消された女』。


 『消された女』は、韓国で実際に起きた信じがたい拉致監禁事件をモチーフに作られた社会派サスペンス。日中の大都会を1人で歩いていたカン・スアは突然、何者かに誘拐され、精神病院に監禁されて強制的な薬物投与と暴力を受けることとなる。これまで経験したことのない狂気の中、彼女は病棟でその一部始終を手帳に記録していった。そして1年後、テレビプロデューサーのナ・ナムス宛に1冊の手帳が届き、彼はその真相を探ることになるーー。


 本作の見どころはもちろん、その背景にある韓国の法律の問題点や、社会的な反響については、監督のイ・チョルハ氏に詳しく話を聞いたので、明日掲載するインタビュー記事をご覧いただきたい。韓国映画の暴力描写が過激な理由や、日本のドラマをリメイクした経験についてなど、日韓の映画の違いを考える上でも興味深い話がたくさんあった。インタビューを読んでもらえれば、本作の魅力は十分に伝わるはずだ。また、本作はどうにもネタバレができない作品でもある。そのため、ここではあまり多くを語らない方がベターだろう。


 その上で、敢えてひとつ、セールスポイントを挙げるとしたら、「一度観ただけではわからない」という点だろうか。インタビューでも触れていることではあるが、とにかく本作は展開がスピーディーで、説明台詞が少なく、しかも謎が謎を呼ぶ複雑な展開になっているのである。頭をフル回転させていないとあっとういう間に置いてけぼりだ。しかし、刺激的な描写の数々も相まって、ものすごく面白いので、それが苦痛に感じることはないだろう。


 まったく毛色の違う作品ではあるが、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(1984年)や『ファイト・クラブ』(1999年)を観た後のように、「あのシーンの真相はなんだったんだ?」と、何度も繰り返して鑑賞したくなること請け合いである。


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