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卒母・西原理恵子の子育ての結論「母乳、食育は放棄。子どものためという呪縛から逃れて」

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2018年01月24日 11:32  AERA dot.

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写真さいばら・りえこ/1964年高知県生まれ。88年「ちくろ幼稚園」で本格デビュー。2002年から毎日新聞で連載した子育てマンガ「毎日かあさん」が、昨年6月に最終回を迎えた。同作などで05年文化庁メディア芸術祭漫画部門優秀賞、手塚治虫文化賞短編賞、11年日本漫画家協会賞参議院議長賞を受賞。10月からは新連載「りえさん手帖」がスタート。そのほか女の子へのメッセージをつづったエッセー「女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと」、彼氏との熟年恋愛を描いたマンガ「ダーリンは70歳」など著書多数。子どもは長男(大学1年)、長女(高校2年)の2人(撮影/写真部・大野洋介)
さいばら・りえこ/1964年高知県生まれ。88年「ちくろ幼稚園」で本格デビュー。2002年から毎日新聞で連載した子育てマンガ「毎日かあさん」が、昨年6月に最終回を迎えた。同作などで05年文化庁メディア芸術祭漫画部門優秀賞、手塚治虫文化賞短編賞、11年日本漫画家協会賞参議院議長賞を受賞。10月からは新連載「りえさん手帖」がスタート。そのほか女の子へのメッセージをつづったエッセー「女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと」、彼氏との熟年恋愛を描いたマンガ「ダーリンは70歳」など著書多数。子どもは長男(大学1年)、長女(高校2年)の2人(撮影/写真部・大野洋介)
「卒母(母親を卒業)宣言」した漫画家・西原理恵子さん。毎日、睡眠不足でやることと悩み事が山積みの子育てはどうしたら楽になりますか? 今年こそ子どもと笑顔で過ごしたいと思っている現役母たちへ。どんな悩みもガハハと笑い飛ばしてしまう先輩からのアドバイスとは?

【写真】著書にサインする西原さん

*  *  *
――2018年が始まり、これから新年度もやってきます。今年こそ笑っている母親になりたい、もっと子育てを楽しみたいと思っている人たちは何から始めればいいですか。

 やることを増やすより、引き算ですよ! 家は汚れてていい。風呂も入んなくて良くない? 勉強もオール1じゃなければいいやってぐらいの発想にしませんか。

 振り返ると、いつも同じときに同じ場所で怒っていませんか? お風呂の前とか、食事中とか。それって、わざわざ彼氏の携帯見て喧嘩するようなものですよ。彼氏とこれ以上一緒にいたら喧嘩しちゃうなって思ったら、外にデートしたり、話題変えたりするじゃないですか。子どもは逃げ出せないので、親のほうが子どもを怒らなきゃいけない状況にわざわざ自分を持っていかないこと。せっかく作った手料理を残されて怒っているなら、ちょっと多めに店屋物を取って、作らなきゃいい。部屋を汚されて腹が立つなら、物を捨てちゃえばいい。

――「家事なんかしなきゃよかった あんなに抱っこしてほしがってたのに」(連載「毎日かあさん」に掲載)という言葉はドキッとしました。昨年、連載を終えるとき、「卒母宣言」をして話題になりましたが、子育て真っただ中だと、この状況がいつまで続くんだろうと先が見えません。いつごろ楽になるのか教えてください。

 私も先輩たちから教わったんですが「大変なのは5歳まで」ですよ。「自分でうんことおしっこするようになったら、途端に楽になるから」って言われて、確かにその通りだった。失敗することがあっても、自分で夜のトイレに行けるようになったらグッと楽になります。


■「心配汁」と恐怖と疲労がやってくる

 だから、あと数年。その間は優先順位を3番までと決めてください。自分と子どもと、仕事。あとは諦めて、さっさと捨てる。近所のババアとか100万位ぐらい下のものを、絶対に優先しちゃいけない。

 私もそうだったし、まわりのお母さんたちも、PTAとか地域のことが原因で倒れちゃうのは寝不足で優先順位が付けられなくなっているせい。赤ちゃん産んでから夜泣きもあって、お母さんたちは壮絶な寝不足なんです。それでも仕事をしてると意識がもうろうとして……。寝不足の頭に「子どものためです」って言われると、朝6時からゴミ拾いに行ったり、誰もいないとこで見守りのためにつっ立ってたり。結局そのせいで親がイライラして、怒られる子どもが1番可哀想。

――まずは睡眠ということですね。

 子どもがいるうちは心配が病気みたいなもの。母親にはそういう不思議な汁が出るみたい、心配汁がね。それがさまざまな恐怖をまとって、疲労と一緒にやってくる。とにかく小学校までのお母さんは、いろんな判断力が鈍ってるんです。だからあちこちでお母さんが倒れてるのをたくさん見ました。

 腹が立ったり、煮詰まったりしたら、スーパーで半額のお惣菜を買ってきて子どもと食べて、ビール飲んで寝ましょう。掃除も洗濯も絶対にしちゃダメですね。布団を敷くとか上げるとか、洗うとか干すとかやめて、捨てましょうね。安いマットでいいんですよ。とにかく、人間は寝ないとろくなことがないから。睡眠とお惣菜を確保してください。

 子どもが小学校高学年になるころには手が空きますから。中学を卒業して高校生になったら、反抗期が始まって、今度は向こうから逃げていくという悲しい現実が。16歳ぐらいになったらあっという間にどっか行っちゃうんだよ。もう、理不尽ーーー! 本当にあっという間なんだから。

――去年の流行語対象には「ワンオペ育児」という言葉もノミネートされたほど。家事や育児がまだまだ女性に集中しがちで、働く母たちはヘトヘトですね。


 日本中のお母さんはワンオペだと思う。だってお父さんが会社を休ませてもらえないんだもん。それに、日本はものすごい母親を責め立てるから、日本のお母さんは辛いですよ。こうしなきゃいけないって圧力が強すぎる。

 子育てで私が1番腹が立ったのは食育。最初にやめたのは、手作りの離乳食ですね。うどんと豆腐と餃子の中身とコロッケの中身とバナナでしのぎましたよ。ラーメンはお湯で麺をゆすいであげると、すんげー食べた(笑)。そういうことをマンガ(「毎日かあさん」)に描いたらみんなから「うれしいです」って声が届きました。

 だって世界中に旅行に行ったけど、こんなに食を神聖視して、神経質に母親を攻め立てている国はないですよ。「外食だと子どもがダメになる」って言いますけど、韓国も香港もみんな外食なんだけど、学力は日本より高いですから。東南アジアは大概外食で、しかも安い。みんなが憧れるヨーロッパのドイツは台所で火を使わないことで有名で、パンとチーズを切るだけだから台所はすごくきれい。

■家事してる間、子どもはどうしてるの?

 子どもを育てて仕事してると、前の日の食器を洗うところからスタートしなきゃいけないのに、味噌汁を作れ、どうして米を炊かないんだと異様に厳しいじゃないですか。1日30品目だの一汁何菜だの……。離乳食を作るためにお買い物から調理、後片付けまで入れたら、子どもはその間、何をしてるの? とにかく手作りのものが素晴らしいという風潮を抹殺したかった。

 うちの長男なんか赤ちゃんのころ夜泣きが激しくて、おかしいなと思っていたら単にお腹が減ってたってこともありました。なんだ、もっとガッツリしたものが食べたかったのね、って。マニュアル本や赤ちゃんには絶対こうしてあげなきゃいけないという圧力がいかに母親を苦しめているか。

 とにかく、スーパーのお惣菜でいいって! 冷凍庫に入れといてチンすりゃいいんだから。それでお母さんが怒らなくていいならそれが1番いいんですよ。そこから始めようよ。私なんか、自分で料理をするようになったのは、子どもが中学校になったぐらいから。だって手が空かないのに、料理なんかできるわけないじゃん。その手は仕事をしないといけないんだから。


――確かに、子どもが産まれると地域の保健所から子育て教室から通知が来て、そこで離乳食をはじめ、いろんな指導されますね。

 先輩としていいたいのは、ワクチンとかの最新の医学知識だけ身につけて、ババアとジジイの言うことは心の中で「死ね!」と言って流すこと。妊娠中も太るなとか、太れとか、みんな言ってることがめちゃめちゃだし、助産師は医者でもないのにガチャガチャうるさい。小児科医でもジジイだと考えが古いし……。

 助産師はただの姑だと思ってくださいね。「世界中どんなに貧しい地域でも子どもはお母さんから勝手に栄養を取って健康に生まれてくるからお母さんは二人前食べなくていい」とか言われたけど、その後でユニセフの報告書を見たら真っ赤なウソだった。お産は何があるかわからないし、世界でどれだけの女と子どもが死んでいるか、エビデンスを知らなきゃ。お産は無痛分娩。何かあればすぐ帝王切開! 先進国はほどんどそうなんだから。母乳信仰も絶対ナシ。手作り離乳食は撤廃。私の目指すのはそれです。

■子どもといる時間はビックリするほど短い

 みんな真面目だから「子どものため」って言われると、すべて優先順位を1位にしちゃうんだけど、大事なのは自分の子どもと怒らずに一緒にいる時間であって、姑とかPTAのババアにはいくら嫌われてもいいんですよ。どうせ嫌われるんだから。「子どもがいじめられたらどうしよう」って言うんだけどね、そんな子どもと近づいちゃいけないから、そのお母さんに近づかなくていいんです。

■勉強しなさい、早くしなさいをやめる

――「子どものため」という言葉は、すごい呪縛です。やってあげたいと思うからこそ、罪悪感に苦しむものです。

 そうですよね。でも、本当は子どもは何がうれしいかというと、バイオリン教室に通って、塾に行って、その間も親が外で待っていることじゃない。ただ親が怒ってないのがいいんです。

 怒らないでいるためには、経済的なことは絶対に避けて通れない。お金がないというのは1番の原因になりますから。その次に「勉強しなさい」「早くしなさい」を止めると4分の3ぐらいは怒らなくて済みます。遅刻してもいいや、落ちこぼれてもいいやと思えたら、家の中は笑いでいっぱいになりますよ。


 東京だと立派な人って、年収とか肩書とか学歴とかで判断するけど、西だと「面白い」ことがすっごい上にくる。私は西の人間なので、面白ければいい、怒らないを優先にしました。だから子どもはものすごい勉強できない……。でもニコニコ笑って、いい子になりましたから、それでいいかなって。

■家事も仕事もキリがない 考えない癖を

――西原さんを見ていると、気持ちの切り替えってテクニックなんだと感じます。

 若いときは、本当に回りを気にして、怖くて怖くて仕方なかったんです。嫌なところばかりしか見ていなかった。私は漫画家なんで、色んなことをずっと考えているんですが、気付いたら頭の中は不安でいっぱい。でも考えても良いことは何も無かったから、ある時から考えない癖をつけるようにしました。大好きな人の名前でもいいし、子どもの名前でもいいし、好きなことをそれこそ念仏みたいにずーっとブツブツ唱えて、頭の中の不安を吹っ飛ばす。

 自分がうつ病になったとき、外に出て散歩して、うちでは音楽をずっと流してました。家の中で1人で考えていても、特に夜はろくなことがない。夜のネットサーフィンの恐ろしいこと、絶対やっちゃダメです。

 掃除も仕事もやったらキリがない。ビールとお惣菜を買って、睡眠薬を使ってもいいから、とにかく悩む前に寝る。子どもが寝てるときは自分も寝る。

 お母さんたち、2018年はいかに子どもと楽しく過ごすかを大事にしませんか? 立派な人間とか、いい成績じゃなくて、笑って過ごすことを最優先にしませんか? 月曜の朝から怒鳴って起こすぐらいなら、学校を遅刻させちゃえばいいじゃん。

 とにかく、引き算ですよ!

(聞き手/AERA dot.編集部・金城珠代)

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  • 手さぐりで歩いている不安は「今」を生きているということの証。もう過去にはこだわらなくていいよ。
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  • 家事なんかしなきゃ良かった。あんなに抱っこしてほしがってたのに。ヤバイ、この言葉がズシンと響いて泣きそう�� https://mixi.at/a20dtDc
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