ワンカップのテキーラ登場…「日本フォーマット」は世界に広がるのか?

1

2018年02月08日 00:00  citrus

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

citrus

出典:「メキシコ大使館」プレスリリースより

■カップ酒のフォーマットをテキーラに?

 

ワンカップのテキーラが発売される。一般的に750mlのボトルで売られるのが基本のテキーラを50mlのワンショットサイズで売るという発想は、正にカップ酒のフォーマットだ。

 

世界初だというのだが、まあ、それはそうだろうなと思う。日本人に比べて、メキシコ人は圧倒的に酒が強い。テキーラなんて酒を日常的に飲んでいるのだ。日本酒とはアルコール度数からして違う。そんな国民性の中にあって、50mlどころかカップ酒の1合(180ml)だって、全然足りないから、商品として発想できないのだ。実際、今回発売されるテキーラ13(トレッセ)のワンショットサイズも、まずは日本での先行販売だ。本気の酒飲みには、割高になってしまうので、そこをどう売っていくかが世界進出の鍵になるのだろう。

 

ワンカップというフォーマットは、日本人にとってとても良くできている。「ちょっと一杯」の基本単位である一合の日本酒を、自販機やコンビニで買えてガラスのコップで飲めるのだ。焼き鳥の缶詰めにワンカップで、家呑みが十分成立する。考えた人は賢いと思うけれど、しかし、これがとてもローカルなフォーマットであることは間違いない。だからこそ、日本の風景に馴染むし、長く日本人に愛されもするのだ。

 

 

■グローバルに展開する「カップヌードル」

 

一方で、日本を代表するフォーマットにカップ麺がある。しかし、カップ麺はカップ酒に比べると、当たり前のようにグローバルに展開しているし、カップ麺がある風景が日本ならではという感じもしない。それは当たり前で、元祖カップ麺である日清の「カップヌードル」は、元々、アメリカでインスタント麺を売るために作られたフォーマットだからだ。

 

「チキンラーメン」が大ヒットした日清食品は、これをアメリカで売るのに、どんぶりに箸で食べるスタイルでは普及しないと考えた。ならば、カップにフォークで食べるヌードルというスタイルで売り出そう、という発想がカップヌードルを生んだのだ。だから、あの初代「カップヌードル」や「カップヌードルカレー」、「シーフードヌードル」は、ラーメンとも一言も謳っていない。フォークで食べるカップ入りヌードル、というフォーマットなのだ。

 

昭和40年代以前の生まれであれば、カップヌードルにフォークが付いていたのを覚えているだろう。明らかに箸の方が食べやすいのだけど、あれはフォークで食べることまで含めてスタイルだったのだ。なんて、アメリカン、と、当時の日清食品社長である安藤百福は考えたのだろう。その発売当初(1971年)、小学2年生だった私は、別にそれをアメリカンだとも洒落てるとも思わず、「おいしそうなのが出たなあ」と思っただけだったけれど、その製品としての凄さは、大人になってしみじみ感じている。

 

 

■フォーマットより大切なもの

 

世界中で売っていることよりも、未だに売り上げトップであるという事実が物凄い。それは、フォーマットが良かったというよりも、ラーメンではない、新しい食べ物として開発したからだ。新しかったのはスタイルだけではなく、その味を食べたければ、それを食べるしかないというオリジナリティ。今の日本では、多分、そういう企画は通らないであろう、前例の無い製品。

 

フォーマットと言えば、日本ではボールペンはノック式でないと売れないのだが、海外ではキャップ式が売れる。これも、お国柄によるフォーマットの違いだ。あの三菱鉛筆の低粘度油性ボールペン「ジェットストリーム」も、海外でキャップ式を発売した後、3 年以上掛けてノック式を開発後、日本での発売を開始した。パイロットの消せるボールペン「フリクションボール」も、日本で本格的に売れたのはノック式登場以降だ。

 

一方、海外では万年筆に近い書き味の水性ボールペンが人気商品だし、水性インクの書き味ながら、速乾性でにじまないゲルインクボールペンの人気も高い。とはいえ、そんなフォーマットの違いとは関係なく、現在、日本のボールペンの品質は世界一だ。その品質の上に、選べる「フォーマット」がある。

 

そういうことなのだろう。優秀なフォーマットは、大きなビジネスになるかも知れないが、フォーマットはインターフェイスと切り離しては考えにくい。そしてインターフェイスは、お国柄というか、パーソナリティに左右される。ならば、魅力的なオリジナリティがある中身を考えることだ。それがあれば、フォーマットは選択肢として提供できる。そういうことなのだと思う。

このニュースに関するつぶやき

  • 小売価格50mlで税込み598円?高ッ!!! これなんだろうなーって思ってたんだよね。どこで見たんだっけか?たぶん行き付けのBARだな。ショットで飲むのは勿体ない。テキーラを味わって飲むスタイル定着しないかなー。
    • イイネ!1
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(1件)

ニュース設定