NIKKEI STYLEが『何歳から「おじさん、おばさん」なのか? 分かれ目は○歳、その根拠はこれ』といったタイトルの、なかなかに切実なコラムをネット上に配信していた。
ある世代にとって「強烈なインパクト」となる「おじさん」「おばさん」の「本当の意味」を探り、そう呼ばれる「年齢幅」を、辞書や調査データから明確化しようとする試みだ。
すいぶん面白い……ってよりは、今年満56歳を迎える私としては、まことにもってありがたい試みだと言える。とりあえずは、同コラムが導き出した“結論”を、順を追って簡潔に説明してみよう。
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まず、辞書による「おじさん・おばさんの定義」をいくつか抜粋すると、以下のとおり……らしい。
- よその年配の男性・女性を親しんでいう語(大辞林 第3版)
- おじ・おばを、したしみと尊敬の気持ちをこめて呼ぶ言い方(三省堂国語辞典 第7版)
- 親族関係に無い中年以上の男性・女性に呼びかける(を指していう)語(新明解国語事典 第7版)
まあ、どれもこれも今さら説明するまでもないような、でも「なるほどね…」とそれなりには改めて納得し直すこともできる広義的な“解説”ばかりだが、ここで一つ気になったのが「中年以上〜」といったくだりである。
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私みたいな50代の人間が、たとえば原稿の文中で自分を、「中年」と記して良いのかどうか……は、とてもデリケイトな問題で、じつに判断がむずかしい。30代後半から40代のころは、「ボクももう中年ですから〜」なんて物言いを(公私問わず)当たり前のようにしょっちゅう使用したものだけれど、5年ほど前から、この定番的な自虐の台詞を発することに躊躇が生じ始めてきた。はたして50代を「中」にカテゴライズするのは正しいのか? かといって「老」と、「おじさん」ではなく「おじいさん」と断じてしまうに、私はまだあまりにたくさんの、さまざまな煩悩を捨て切れていない……。
……と、そんな私の葛藤を見透かしたかのごとく、同コラムの筆者は、次に「中年」を複数の辞書から丁寧に引用してくださっている。ところが数字だけに目を通せば、「40代前後」(広辞苑 第6版)から「50代半ばから60代に掛けて」(三省堂国語辞典 第7版)まで……辞書によって相当の年齢差があったりする。いったい、なにを信じ、どれについていけばいいいのか!?
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……と、そんな混乱のさなかを彷徨う私にひょいと助け船を出すかのごとく、同コラムの筆者は、親切にこんなデータも加えてくださっている。『放送研究と調査 2017年12月号』に掲載された「日本語のゆれに関する調査」で報告されていた「おじさん・おばさん・中年という3つの言葉の平均年齢試算」(満20歳以上の全国男女4000人を対象にした調査員による個別面接調査)──これに従えば、
- おじさん 44歳7ヵ月/60歳3ヵ月
- おばさん 44歳10ヵ月/60歳1ヵ月
- 中年 43歳1ヵ月/56歳4ヵ月
※ 前の数字が呼ばれ始める平均年齢、後ろの数字が呼ばれなくなる平均年齢
……と、私はすでに「おじさん」ではあるけど(さすがに自分のことを「おにいさん」と呼ぶほど脳天気ではない)、まだ「中年」を15ヵ月(ちなみにゴメスの誕生日は12月)くらいは、さらに「初老のおじさん」を還暦を迎えた翌年の3月くらいまでは自称してもかまわないってことになる。逆に「あとこれだけしか猶予はないのか…」と考えたら、ぞっとするのだが……? 一刻も早くヤングガールとの親密な交流を深めていかねば!