ドジャースからFA(フリーエージェント)になっていたダルビッシュ有投手(31)がシカゴ・カブスと6年契約を結び、2月13日(日本時間14日)に入団会見を行いました。
「カブスという素晴らしい球団に入団することができて、非常に光栄に思います。しっかり評価に見合うような結果を出せるように頑張っていきたいですし、はやくチームになじめるようにしたい」
こう喜びを語った裏には、まず、高い評価が挙げられるでしょう。
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■高額契約をもたらした“1枚の写真”
6年総額1億2600万ドル(約136億円)で、出来高払いを含めると最大で1億5000万ドル(約162億円)。年数的にいうと、再契約を目指していたドジャースは6年を検討していましたが、提示額が低く、ツインズとブルワーズは5年、レンジャーズは4年のオファーだったとか。金銭的条件はもちろんカブスが一番で、しかも、2年目終了後にダルビッシュが契約を破棄する権利を持つという厚遇ぶりです。
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当初、「4年」だったカブスの提示が、ダルビッシュ側の要望である「6年」となったのは、ある1枚の写真がものを言ったといわれています。それは、「カブスのロゴが入ったユニホームを着たダルビッシュの5歳ぐらいの写真」で、代理人のジョエル・ウルフ氏からカブスのエプスタイン球団社長に送られました。この“カブス愛”が球団社長の心を動かし、契約年数や金額の見直しにつながったのです。
本人の“カブス愛”に加え、「奥さん(聖子夫人)は、結構、最初からカブスがかなり好きだったみたいで、すごく喜んでいます。シカゴの街も気に入っていますし」と夫人の後押しも大きかったみたいです。
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■ダルビッシュを待ち受ける2つの課題
カブスは一昨年ワールドシリーズを制し、昨年はナ・リーグ中地区優勝で「ワールドシリーズへ行ける確率が非常に高い」とダルビッシュの意中の球団でしたが、問題が2つあります。
1つは寒さです。シカゴの4月の平均最高気温は22.2度、平均最低気温が15度、7月は最高24.3度と最低18.9度。数字以上に寒さを感じるのは、ミシガン湖から吹く風が問題で、時間によって体感温度が非常に低くなります。シカゴが「ウィンディー・シティー」(風の街)と言われる由縁。今までレンジャーズ(テキサス)、ドジャース(ロサンゼルス)と暑いか温暖な地が本拠地だったダルビッシュにとって、寒さが難敵となります。
防寒対策をしっかりすることと、ウォーミングアップを入念にするなど、体を寒さに慣らしていくしかないでしょう。
もう1つは、シカゴの“野球熱”の高さです。ニューヨークやボストンのファンは、たとえ自チームの選手でも悪いプレーには強烈なブーイングを浴びせますが、シカゴも同じで、1871年に創設し、創設以来本拠地を移転していないチームとしては最も古い球団という土壌がそうさせているのかもしれません。
高額契約のダルビッシュもその洗礼を受けるのは間違いないでしょう。ニューヨーク(ヤンキース)での松井秀喜やイチロー、ボストン(レッドソックス)での松坂大輔、岡島秀樹、上原浩治などは「ブーイングも自分への声援」として受け流しましたが、ダルビッシュもそれくらいの精神的な“強さ”が必要です。
寒さに負けず、ファンにも負けず、新天地でのダルビッシュの活躍に期待します。