『やっぱり出てきた羽生結弦、カー娘バッシング 専門家の意見は…』
……なるタイトルの記事をAERA dot.が配信していた。
≪カーリング 女子 嫌い≫
2月27日午後9時現在、大手検索サイト・Googleで「カーリング」と検索しようとすると、このような検索予想キーワードが表示される状態が続いている。ツイッターにおいては顕著で、同様の検索予測ワードだけでなく、「#カーリング女子嫌い」というハッシュタグまで登場する勢いだ。
(中略)一方、ツイッターで「羽生結弦」と検索しようとすると、「羽生 嫌い」「羽生結弦 嫌い」と表示される。
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……といった記者サンの体験談から、只今旬真っ盛りな「カー娘&羽生」に関するネット上での(一部の)反応について、言及する内容である。
「カーリング女子嫌い」と投稿している人たちのアカウントをチェックしてみると大半が女性ユーザーで、「羽生嫌い」のほうは大半が男性ユーザーであるらしく、これらの傾向から、バッシングの理由は「嫉妬ではないか」とAERA dot.は分析する。さらに、その「分析」の裏付け役として抜擢された(?)スポーツライターの折山淑美さんは、同記事上でこう語っている。
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「活躍する選手に対し嫉妬したりひがんだりして、よく思わない人というのが10%くらい必ずいます。こうした意見を多数意見として捉えてはいけません。
(中略)アスリートの側も、そういうひがみや嫉妬を覚悟の上で挑んでいることだと思います。批判を相手にせず、これからも頑張ってもらいたいですね」
こんな当たり前のことをわざわざ取り上げ、しかも「理由はひがみや嫉妬」みたいになんの捻りもない〆で括るとは……「結局、バッシングの空気を先陣切っていたずらに煽っているのはAERAサンやんけ!」と思わずツッコミたくもなるのだけれど(笑)、唯一この「よく思わない人というのが10%くらい」という数値の見立ては、わりに的を射ているような気がしなくもない。
私は、人が「自分が知っているすべての他人」に抱く好き嫌いの感情分布比率は「好きな人20%:嫌いな人10%:どーでもいい人70%」あたりが平均値だとにらんでいる。そして、「只今旬真っ盛り」な平昌五輪のメダリストたちに、どんなかたちにせよ注目する人の数はここ1〜2週間がMAX状態──つまり、分母が確変タイムに凸入しているわけで、分母が激増するってことは「よく思わない10%の人」の実数もおのずと激増し、「嫌い」の文字が我々の目に入る確率も必然として高くなる。
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ただ、今回の平昌五輪における他のメダリストたちを差し置いて、なぜカー娘と羽生に向けた「嫌い」だけが「わざわざAERAサンが取り上げたくなる」まで目立つのか? 日本カーリング界では初のメダルだったせいもあるだろう。男子フィギュアスケートの連覇は66年ぶりだったせいもあるだろう……。
しかし、カー娘と羽生にかぎって言えば、本来なら「10%」の分母が「12〜15%」程度に底上げされている可能性も捨てきれない。だって、カーリングとフィギュアスケートほど、テレビでアスリート本人の容姿をじっくり味わい尽くせるスポーツなんて、そうなかなか見当たらない……でしょ? たいがいのスポーツはアスリートがちょこまか動き回ったり、ゴーグルや帽子とかを着けていたりするんで、外見の正確なジャッジがむずかしいじゃないですか。結局のところ、アスリートの好き嫌いも決して例外ではなく、大衆レベルでは「容姿の好き嫌い」に大きく左右されてしまうということだ。もちろん、私だって紛れもない“大衆の一人”であり、カー娘5人の顔こそすでに全員が脳内にインプットされているものの、いまだカーリングのルールはさっぱりわからない……。