海外のいろいろな国に住んだり旅行したりしていると、必ず遭遇するのが現地のおかしな言葉。ドイツ語のManko(マンコ/欠点)やイタリア語のCincin(チンチン/乾杯)など、日本語では「!?」となるばかりか、場合によっては放送禁止用語にすらなり得る外国語を見掛けることもありますし、その逆もまた然り。
そして最近話題となっているのは、イングリッシュスピーカーから見るとあり得ない名前のFukuppy(フクッピー)君。大阪の冷蔵庫メーカーである福島工業のマスコットキャラなのだそうですが、これが英語の罵倒語である“Fuck up“を連想させるため、海外ではどうやら嘲笑の対象となってしまった様子。(参照記事Fukushima Industries New 'Fukuppy' Mascot Is Such A Fail)
フクッピー君が癒し系のゆるキャラであるだけに、大変遺憾な話です。これがせめてFukuppyではなく、日本語の発音に合わせてHukuppyとしていれば、このような最悪の事態は防げたのかもしれません。
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しかしフクッピー君だけではなく、その他にも仰天するような意味に聞こえる日本語は巷に溢れています。有名なものでは「牛のおしっこ」に聞こえるカルピスや、「汗」と銘打たれたポカリスウェットに、「こそこそ歩く、ぞっとする」の意のクリープなど。更に極端なものでは、三菱自動車のPagero(パジェロ)。スペイン語ではパヒェーロと発音されますが、マスターベーションや自慰行為に耽る人を意味するので、かなりアウトです。
また個人的な体験を挙げると、電話の受け答えである「もしもし」が、私の住むオーストリアでは女性の陰部を表す俗語であるのがとても衝撃的でした。移住したての頃、電話に出るたびに周りがざわめくのでおかしいと思っていたんですよね。最近では日本人からの電話に出るのも躊躇われてしまいます。
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そして、ジブリ映画の「天空の城ラピュタ」に至ってはレッドカード! タイトルをはじめ、劇中のセリフや看板で使用されているLaputa(ラプータ)は何とスペイン語で娼婦の意なのです。大人向けの映画ならまだしも、子供に見せるものとしては正直言って失格。Laputaのネーミングにはそれなりに謂れもあるようですが、少なくともスペイン語人口の多い地域では、映画のタイトルだけではなく中身もすべてLaputa以外の語に差し替えられなかったのでしょうか? 映画が傑作であるだけに、ネーミングのために笑われてしまうのが残念でなりません。
そして個人の名前も、負けず劣らず耳を疑うもののオンパレード。私自身の名前であるMakiはドイツ語圏では巻き寿司の意味ですし、スペイン語圏ではモモコがMi moco(私のハナクソ)、トモコがTu moco(あなたのハナクソ)に聞こえる始末。私が息子に当初付けようとした「日本語名+インターナショナルネーム」は“ガク・アッシュ”君だったのですが、これがオーストリアのドイツ語では「クソ・ケツ野郎」といった罵倒の意味合いとなり、相談した周りの友人や同僚からは「ウソ、冗談でしょ!」、「それってイジメ?」と爆笑されてしまう事件も……。
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一方私が遭遇した外国人のオモシロ名は、スペイン人のエロイ君、オーストリア人のインゲ(陰毛)ちゃん、ウッシ(牛)ちゃん、ウリ(瓜)ちゃんにダニちゃんなど。名前によっては、自己紹介時に笑いをこらえるので精一杯。人名やキャラクター名、商品名などを考えるのは、世の中がグローバル化すればするほど、より困難となってしまう様子。
しかし、昨今ではインターネットを駆使すれば命名の失敗はかなり防げてしまうもの。それに国際的に売り出すような商品であれば、外国語に熟達した社員や社外のアドバイザーの意見を仰ぐなど、少なくともターゲットとするマーケットの言語と英語くらいは、意味を確認しておくべきでしょう。せっかく商品の出来栄えが素晴らしいのに、ネーミングでのっけから転んでしまってはあまりに勿体ないというもの。
グローバル化を熱望しつつも、日本が常に他国の後塵を拝しているのは、こういった国際的感覚の欠如に一因があるのかも知れません。今後、日本の更なる活躍を後押しするためにも、語学教育と異文化理解のテコ入れはますます不可欠となることでしょう。