「離婚は遺伝する」というような話を耳にしたこと、ありませんか?
親やきょうだい、親戚に離婚している方が多いと「離婚家系」といわれることってありますよね。たしかに、離婚した人の周りには、離婚経験者が多いといった傾向があるかもしれません。実際はどうなのでしょうか。
こうした「離婚は遺伝する」ということについては研究もされていて、その結果によれば、「親やきょうだい、いとこなどが離婚すると、10年以内に親族の2〜4組が離婚をしていた」そうです。
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なぜ、離婚が家族や親族に影響を与えるのかについて考察すると、離婚を幸せの選択のひとつとして前向きにとらえ、後日談として親戚の前でも明るく語れることで、話を聞いた身近な親族は離婚に対してネガティブな感覚が薄れ、幸せに対する考え方が理解できたり、離婚のハードルが低くなるのでしょう。離婚は遺伝というよりは、育ってきた環境の影響から起きるのではないでしょうか。
離婚相談にいらっしゃる方にも、「離婚は遺伝するんですよね」と聞いてくる方がいらっしゃいます。
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吉川ひろみさん(仮名/35歳・東京都)は、相談にいらして開口一番に「私、離婚家系なんです」と話し出しました。聞けば、両親はもちろん、弟もいとこ2人も、離婚しているのだそうです。
ひろみさんは幼い頃に、目の前で憎しみ合い、ケンカする両親の姿を見ていました。そして10歳のときに両親は離婚し、お母さんはシングルマザーになって2人の子どもを育てました。お母さんに感謝しながらも、仲のよい友人の家族を見ては、羨ましく、寂しい思いをしていたそうです。結婚を意識する年頃になると、「結婚しても、きっと両親のように離婚してしまう……」と結婚に対して幸せなイメージが持てなかったといいます。
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そして実際に結婚したものの、ちょっとした揉め事で「離婚になるかも……」と気持ちが沈み、夫の光司さん(仮名/39歳)の顔色ばかり伺ってしまい、結婚生活が苦痛でしかたがないのだそうです。忙しいお母さんの機嫌ばかり気にしていた子どもの頃の自分の姿がオーバ−ラップして、幸せな家庭が想像できない、と悩んでいました。でも、生まれた子どものために、離婚の連鎖を止めたいと相談にみえました。
両親が離婚していても、親戚に離婚経験者が多くいても、幸せな結婚生活を送っているご夫婦はたくさんいます。夫婦生活とは、2人で新しい家庭をゼロから作っていくもので、揉めることもありますし、それをお互いが経験しながら喧嘩しないように距離感をみつけていくのです。だからこそ両親と同じにはならないし、しないようにもできるものです。
夫婦それぞれの考えが違い、うまくいかないとしても、育った環境も性格も違う2人だからこそ、お互いに折り合いをつけながら、幸せな家庭を作り上げていく努力が大切と心していくことです。