様々なジャンルの“1位じゃない人々”を紹介するという番組『1位じゃなくっていいじゃない』（テレビ東京系）が放送された。「1位じゃないからこそ、素晴らしいことはたくさんある」というコンセプトのもとに、“1位じゃない人”を紹介する番組だ。
MCを務めたのはSMAPの稲垣吾郎と草��剛というちょっと珍しい組み合わせ。中居にオファーをしたらスケジュールの都合で断られたという設定で、番組では二人のことを「SMAPの中間管理職」と紹介していた。リーダーでもなければ、年齢的にみても真ん中。なんだかしっくりくる。
積極的に仕切ろうとしない二人。慣れない様子の草��が第一声「どうも吾郎さん……」と、ゆるくスタートした。グループで出演していたら、きっと中居が手慣れた様子で仕切っていただろと思うが、“1位じゃない人を紹介する”コンセプトに合っていて新鮮だった。
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番組では数名の“1位じゃないエピソード”が紹介されたが、中でもフィギュアスケーターの村主章枝が印象的だった。16歳で全日本選手権優勝、“氷上のアクトレス”との異名を取るほど脚光を浴びた村主。ソルトレイクシティ五輪では日本人最高の5位入賞、4年後のトリノ五輪でも4位入賞という輝かしい成績を納めた。しかしスポットライトは同じ大学の後輩、荒川静香に当てられた。同じトリノの舞台で金メダルを獲得したからだ。スケート界では異例の33歳まで現役を続けた村主だが、体力的な限界に加えて、安藤美姫や浅田真央らのエネルギッシュな若手の台頭と、選手生活は厳しいものだった。
これはアスリートに限らず、どの業界においても同じことが起こりうる。もちろんジャニーズにおいても。特にデビューに関してひときわ厳しいジャニーズは、後輩に先を越されるという話はいくらでもある。
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■サポートする道を選んだジャニーズタレント
CDデビューしていないという意味ではジャニーズJr.だが、ベテランタレントの屋良朝幸がいる。1983年生まれでタッキー＆翼と同期。昔はデビュー間近と言われるほどに目立つ存在で人気も高かった。しかし次第に滝沢秀明と今井翼の露出が増えていき、二人はそのまま「タッキー＆翼」としてデビューした。一方の屋良はMusical Academyというユニットに所属し、舞台を中心に活動を続けた。ほぼ同世代の嵐や、NEWS、関ジャニ∞ら、後輩のデビューが続いたこともあって、本人のモチベーションも下がっていったようだ。
2006年に行われた堂本光一のソロコンサートで、堂本からの依頼で振付けを担当。ここから彼の方向性が定まっていく。これ以降、堂本光一主演の舞台『Endless SHOCK』をはじめ、滝沢秀明主演『滝沢歌舞伎』、今井翼主演『PLAYZONE』などの舞台をベースに活動。出演だけに留まらず、振り付けを担当する機会も増えていった。その後、単身でロサンゼルスにダンス留学するなど、武器であるダンスに磨きをかけた。
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昨年『PLAYZONE』の舞台でその姿を見たが、まずダンスの美しさに圧倒された。そして主役級の存在感がありながらも、絶妙な引き算で主役をサポートする姿があった。舞台は一発勝負で、ごまかしがきかない。そこで安定して高いパフォーマンスを披露できる存在であることは素人目にもわかる。
屋良が2013年暮れのジャニーズカウントダウンコンサートに出演したときのこと。新年の抱負を聞かれると「今年は優馬（中山優馬）を育てたい」とコメントした。CDデビューこそしてないが、それだけがジャニーズの道ではないことを証明しているようでもあったし、自分だけにしかできないことで勝負をしている姿が印象的だった。
■もともと特別なOnly one
「やるからにはナンバーワン」。ジャニーズのタレントたちからは時折そんな声が聞こえてくる。先輩を越えようとする一方で、どんどん若手が育ち、下から押し寄せてくるプレッシャーもある。さらにはもっと年下のジャニーズJr.も控えていて、環境が環境だけにその才能は未知数。将来どんなポテンシャルを発揮するかわからないのだから恐ろしい存在だ。
“1位じゃないからこそ、素晴らしいことはたくさんある”ということに着目したこの番組。村主章枝と古い付き合いのバレエコーチが、黙々と練習を続ける村主に対して「選手人生の区切り」について聞いたところ、「歳を取ってからの方が出来ることがたくさんあるの」という金言ならぬ“銀言”を残したそうだ。
順位をつけようとすれば当てはめることができるし、誰かを選べば誰かが選ばれない。その枠に入らなかったからといって、何かが著しく劣っているでもないわけで……。厳しい世界でも、腐らずにいることで開ける道があることを示しているようだった。
この記事を書いているあいだじゅう『世界に一つだけの花』が脳内でリピート再生していて、歌詞にある“もともと特別な Only one”が普段より説得力があった。
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