痛み止め処方の極意「味噌汁の法則」とは?

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2018年03月12日 17:00  citrus

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痛みで苦しまない人生を医学で導く痛み改善ドクター、富永喜代です。

 

3ヶ月以上続く痛みを、慢性痛といいます。慢性痛になると、一般的な市販薬に含まれている痛み止め=消炎鎮痛剤は効きません。ですから慢性痛には、神経痛用の薬を処方しています。

 

しかし、80%の方は痛み止めをできれば飲みたくないと思っています。ですから、処方された神経痛の薬を自己判断で減薬してしまうことが多々あります。一日3錠飲むところを1錠にして痛みを我慢する、こんなタイプです。

 

ですが、これを繰り返している限り、しつこい痛みは改善しません。なぜなら、慢性痛に効くと考えられている“神経痛”の薬は、濃度で効果を出してくるからです。

 

濃度で効かせる薬とは、一定量を継続して飲み続け、濃度を維持した状態を保って、初めて効果が出てきた、と判断する薬です。普段は飲まないで、痛いときにだけ飲んで効かせる頓服薬とは、全く違う仕組みだということです。

 

味噌汁を例にとって見ましょう。

 

家にあるお鍋に味噌汁を作るとき、鍋一杯のだし汁に対してティースプーン1杯のお味噌を入れて、「はい、これが味噌汁です!」といわれても、期待する味噌汁の味はしませんよね。確かに味噌は入っているけれど、だし汁の量に見合う適量のお味噌の濃度が必要だ、ということです。

 

神経痛のお薬も一緒で、この痛みの重症度なら=鍋の大きさなら、これくらいの味噌の量が必要だ=薬の量はこのくらい必要だ、と決まっています。

 

大きな鍋で味噌汁を作るには、大量の味噌が必要になってきますよね。そして、大鍋の味噌汁に必要なお味噌の量は大まかには決まっていて、作るときには、いつもの量のお味噌を何度にも分けて徐々に濃度を上げていくでしょう。

 

大きな痛みを抑える神経痛のお薬も一緒です。徐々に体の中のお薬の濃度を上げていき、効果が出る適正量まで時間をかけてもっていきます。

 

 

慢性痛の薬を処方するコツは、副作用が出ないか? 効果は十分か? 過量ではないか? いろいろな反応を見極めながら、患者さんにあった薬と量を決めていくことです。

 

もう、「この薬さえ飲めば治る」なんて、奇跡の薬を探すことはやめましょう。「あの薬を(1回)飲んでも効かなかった」と誤った飲み方で落ち込むことをやめましょう。

 

もともと痛みの重症な方が発作的に「痛い!」と感じる強い痛みを、頓服的にたった1回飲めば効く程の押さえ込みパワーのある頓服薬はありません。

 

慢性痛治療には、根気が必要です。短期間の治療効果に一喜一憂せず、あなたの痛みに粘り強く治療に取り組んでくれる主治医とともに、一緒に痛みを乗り越えて生きましょう。

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