「匂い」のパーソナル化が、男性ビジネスマンにウケている理由

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2018年03月20日 16:00  citrus

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■匂いは撒き散らされてしまうもの

 

匂いというのは扱いが難しい。551蓬莱の豚まんを新幹線の車内で食べるのは是か非か問題も、匂いに戸が立てられないから起こった。人に会う前に焼き肉を食う問題とか、香水や整髪料の付け過ぎ問題とか、わざとではなくても周囲に撒き散らされてしまうのが匂いだし、撒き散らされた側にそれを防ぐ手段がほとんど無いのも匂いだ。

 

 

■匂いが持つ影響力は大きい

 

しかも、匂いというのは厄介なことに記憶の喚起力が物凄い。「使っている香水を知られるのは、裸を見られるより恥ずかしい」と言った女性が居たが、それも分かるような気がする。

 

Kinki Kidsの「愛のかたまり」という歌に、あなたと同じ香水の匂いを嗅ぐと記憶が蘇ってついて行きたくなるといった内容の歌詞があるが、こういう事は実際に結構起こるものだ。来たことが無い場所なのに見覚えがある気がするという、いわゆるデジャヴ現象も、この匂いに関わる現象じゃないかという気がしている。

 

牧野修の「アロマパラノイド―偏執の芳香」という小説は、匂いを表す語彙がとても少ないという点に目をつけて書かれた、匂いと呪いを巡るホラーSFだけど、そういう物語を生んでしまうくらい、匂いには強い影響力があるのだ。

 

お香は薬的な効果を持つものとして使われたり、宗教的なものとして用いられたりするけれど、それも、匂いが持つ強制力や支配力を期待しての用法だ。臭い匂いには耐えられないし、いい匂いには逆らえないのが人間だったりする。芳山和子はラベンダーの香りで時をかけたりするし。

 

 

■匂いをパーソナルに持ち歩く方法

 

ならば、仕事で疲れている時、自分の家の部屋の匂いを嗅げば、心が落ち着いてリラックスできるかも知れない。故郷の匂いを嗅げば郷愁を覚えるかも知れない。ソニーの「アロマスティック」は、そういう発想から生まれた、どこでもアロマ的な製品。この製品の重要なポイントは、自分だけが香りを楽しめるように作られているという点だ。

 

かつて、日本には匂い袋(欧米にもサシェという似たようなものがあるらしい)というのがあって、これも持ち歩いて香りを楽しむための製品なのだけど、香りが拡散するのを止められない。現在、匂い袋があまり使われなくなったのは、やはりマナーの問題があったからだろう。

 

しかし、こういう製品があったということは、匂いを持ち歩きたいという願望は、ずっと昔からあったということだ。気分が悪い時、落ち着かない時、馴染んだ良い香りによって気分が楽になるというのは人間の自然な反応だし、前述したように記憶の喚起力もあるし、影響力も強いのだから、持ち歩けるに越したことはないのだ。

 

その意味で、「アロマスティック」はとても画期的と言って良いと思う。何せ、香りをパーソナルなものとして扱うことに成功したのだから。良い香りを自分だけが楽しめて周囲には拡散しない、匂いに対して、このようなアプローチをした製品は、今までなかった。日本人は匂いまでパーソナル化するのかという反応もあるけれど、そこは違う。匂いだからこそパーソナル化するのだ。

 

 

■意外? 男性ビジネスマンにウケている

 

あらゆる娯楽は、誰かにとっては嫌悪でしかない。人の不幸は誰かの幸せという言葉だってある。匂いを娯楽として扱う以上、そのことで周囲に迷惑をかけてはいけない。香水だって豚まんだって文句を言われる時代には、うっかり拡散してしまうものには細心の注意を払わなければならない。そうでなければ、オナラやゲップが、あんなに嫌われたりはしない。口臭でさえパーソナルな状態にはしておけないのだ。

 

しかし、誰かの口臭に悩まされた時に、その匂いは防げなくても、アロマスティックがあれば、次の瞬間に好きな香りで悪臭の記憶を塗り替えることができる。しかも凄いことに、匂いを選べるのだ。最近発売されたカートリッジを使えば、森の香りだって再現できる。満員電車の中で、自分だけは木々の香りに包まれることができるのだ。それはもう、ある意味、テレポテーションだろう。

 

 

■「匂い」はパーソナルであるべきなのだ

 

アロマスティックが、女性よりも男性のビジネスマンに売れているというのは、それだけ、香りに逃げたくなるような環境で働いている人が多いということだろう。だからこそ、彼らは、個人的に香りが楽しめる、つまり、満員電車の中で使っても、不用意に匂いを撒き散らすことにならない事に安心して、匂いに逃げ込むことができるようになったのだ。

 

記憶が個人的なものであるように、香りも当然個人的であるべきものなのだ。と言いつつ、キレイなお姉さんのセクシーな香水の匂いについて行きたくなったりもするけれど、それはまた別の香りの利用法。香水とアロマスティックは用法に於いて対極にあるのだから。

 

[ソニー] パーソナルアロマディフューザー AROMASTIC 本体 ホワイト OE-AS01(W)

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