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「脱ゆとり」で重くなるランドセル 児童体重の半分に それでも「置き勉」禁止のなぜ

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2018年04月17日 11:31  AERA dot.

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写真重くなった教科書をなぜ毎日、持ち帰らなければいけないのか。(※写真はイメージ)
重くなった教科書をなぜ毎日、持ち帰らなければいけないのか。(※写真はイメージ)
 子どもたちが背負っている荷物が「脱ゆとり」以降、重くなっているという。ある調査では、ランドセルやサブバックを含めた総重量が体重の約半分に達する子までいることもわかり、ツイッターでは「教科書の学校保管を進めてほしい」という投稿が2万6千リツイートされるなど話題になった。成長期の体への悪影響を懸念する医師もいる。だが、教室に教科書を置いて帰る「置き勉」は禁止する学校は多い。なぜ、重い教科書を毎日、持ち帰らなければいけないのか。

*  *  *
 入学式の日。小学校で配布された教科書を新品のランドセルに詰め、娘はヨタヨタと歩き出した。

「『重い、もう歩けない』と言いながら何とか家までたどり着きましたが、学校が始まってからも帰宅後はしばらく疲れてボーッと座り込んでいます。学校まで徒歩20分ですが、ちょっと心配です」

 ある母親(40)は、そう話す。東京都内に住む別の母親(45)は、娘が小学生のころ腰痛を発症し、医師の指導でキャリーバッグで登校させたことがある。

「ランドセルとサブバックを持っていましたが、体が小さい方だったのでその重さが負担だったのか、病院では筋肉のバランスが悪くなっていると言われました。学校は置き勉禁止で、『みんながそうしてるから』と学校に相談できずに重いランドセルを持たせ続けている親はたくさんいると思います。娘は中学生になると体がしっかりしてきて症状はおさまりましたが、荷物は10キロ近くになり、なぜ毎日持ち帰らなければいけないのか、理解に苦しみます」

 ランドセルを背負ったら、その重さで子どもがひっくり返りそうになった――。友人からそんな話を聞き、調査を始めたのは子どもに関わる消費ビジネスを研究する大正大学の白土健教授だ。2017年11月と18年2月に、東京都内の学童で小学生計36人のランドセルとサブバックなどを含む荷物の総重量を調査。その結果、平均で6.1キロで、最も重かったのは小学1年生の女児で9.7キロにものぼることがわかった。学校保健統計によると、小学校1年生にあたる6歳女児の平均体重は21.0キロ、7歳で23.5キロ。つまり体重の約半分ほどの重さにもなっていた。

 白土教授は「重さには教科書のページ増と大型化が影響している」と指摘する。

 教科書協会によるとは、いわゆる「ゆとり教育」期の05年に比べ、「脱ゆとり教育」転換後の12年の教科書の総ページ数(1〜6年合計、各社平均)は小学校で34.2%増えた。同様に中学校でも学習指導要領の変更前後で34%、高校で21%増えている。

■登山リュック状態の学生カバン 医師「腰痛や肩こりの一因に」

 教育者の陰山英男さんは、12年前後から問題提起をしてきた一人だ。

「ページ数が増えただけでなく、上下巻が1冊にまとまり、ビジュアル化・カラー化によりB5版がA4版になるなど大判化し紙質が良くなっています。ランドセル自体は軽量化していても、容量が増えたくさん詰められるようになり、全体の重さは以前の倍以上になっているはずです。部活動が始まる中学生の荷物は登山リュック状態で、一昔前に使われていた薄型で革製の学生カバンではまったく太刀打ちできません。しかし、こういった現状がまったく把握されていない。ページ数を増やせば学力が上がるというものではなく、教科書の難化が教師や子どもたちの負担を強いています。これは相当深刻な問題です」

 体への影響はあるのだろうか。東京・世田谷で小児整形外科を持つ、たかの整形外科の高野勇人院長は

「成長期の子どもたちが重い荷物を背負うことによって、本来は伸びるべき身長よりも抑えられたり、背骨のS字カーブが変わり、腰痛や肩こりを起こしたりする一要因には十分になり得る。海外の研究でも、荷物は体重の10%程度が適切だとされている」

と指摘する。

 教科書が巨大化しても学校の指導は変わらず、“置き勉”(学校に教科書を置いて帰ること)禁止が一般的だ。

 その理由を尋ねると文部科学省は「各学校が判断し指導している」と回答。都内のある小学校の校長は、音楽や図画工作のような技能教科に使う道具は教室のロッカーに保管できるが、国語や算数といった主要科目は毎日宿題が出るため持ち帰るよう指導していると話す。

「持ち物の重さは曜日や時期によっても変わると思います。特に週の最初と最後の日は給食当番のエプロンやうわばき、体操着があるので、荷物が多くなりがちです。さらに学期の最初と最後は道具箱や辞書などが加わるので、多くの学校では持ち帰り週間を設けて、毎日決められたものを持ち帰るよう指導します。その通りにできていれば、そこまで過度に重くなることはないはずです」

 そもそも、持ち帰り指導は何のためにあるのだろうか。公立・私立の小学校で校長・副校長の経験がある前出の陰山さんによると、いくつかの理由があるという。

「小学校ではまだ整理整頓が苦手な子が多く、放っておくとプリントや給食で食べ残したパンなどいろいろなものが机の中にたまっていってしまいます。それを防ぐために毎日出して、自分のものを自分で管理する習慣をつけるのです。また置き勉によって紛失や、あってはならないことですが、落書きされるなどいじめの道具に使われてしまう危険性もあります」

 今回、調査をした白土教授は「教科書や副教材を共用にしたり、置き勉を認めるなど軽量化のために工夫できることはあるのではないか」と問題提起する。

 調査によると子どもたちの荷物には学校の教材だけでなく、熱中症予防のために近年、持参されるようになった水筒や塾のテキストが入っていることもあり、親の考え方や放課後の過ごし方によっても子どもが背負う“重荷”は変わってくると予想される。

「子どもたちの荷物は国の期待、学校の期待、親の期待で重くなっているのでしょう」(白土教授)

 背負うものが多過ぎて子どもたちが疲弊しないよう、対策が求められている。(AERA dot.編集部・金城珠代)

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このニュースに関するつぶやき

  • 教室においておける場所がない。40人学級とかパンパン。30人くらいの少人数にしたらいいのに。
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  • アメリカじゃ教科書は分厚く、学校から教室用と家用を貸し出しで、進級後返却なんだとか。重い思いしなくて済むし、エコだし、綺麗に使うよう指導にもなって良いなと思った。
    • イイネ!242
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