『ガンダムNT』キャラ25歳の謎、主役機なぜνガンダム試験機 - 小形Pを直撃

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2018年04月24日 08:02  マイナビニュース

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●続編きっかけはユニコーンガンダム立像
2019年に40周年を迎える人気アニメ「機動戦士ガンダム」シリーズの最新作として、劇場作品『機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)』が、2018年11月に公開される。

小形尚弘(おがたなおひろ)。1974年10月生まれ。神奈川県出身。サンライズ所属のプロデューサー。主な担当作品に『ガンダム Gのレコンギスタ』『機動戦士ガンダムUC』『機動戦士ガンダム サンダーボルト』など。最新作『機動戦士ガンダムNT』でもプロデューサーを務める

『ガンダムNT』は、Blu-ray&DVD累計出荷数180万枚(全7巻)を達成した人気作『機動戦士ガンダムUC』の続編で、『UC』のストーリーを担当した福井晴敏氏が自ら脚本を手がける宇宙世紀サーガ最新作。宇宙世紀0097年を舞台に、過去に暴走事故を起こしたフル・サイコフレーム仕様のモビルスーツ「ユニコーンガンダム3号機フェネクス」をめぐり、「不死鳥狩り」作戦に従事する地球連邦宇宙軍のヨナ・バシュタ、ルオ商会特別顧問のミシェル・ルオ、フェネクスのパイロットであるリタ・ベルナルの3人を中心に物語が展開する。

4月20日にガンダムベース東京で行われた発表会では、本作のあらすじとともに、キャラクター、新たなガンダムをはじめとするモビルスーツが公開された。だが、そもそもこの作品がどのようにして生まれたのか、なぜ前作『UC』と異なり映画という形式をとったのか、そしてこの作品を通してどのような狙いがあるのか。これらの重要な点に関しては、十分に明らかにされたとはいえなかった。マイナビニュースでは、本作でプロデューサーを務めるサンライズの小形尚弘氏に独占インタビューを敢行。宇宙世紀の新たな100年を切り拓く記念碑的作品である『ガンダムNT』の深層に迫った。

――今回発表となった『ガンダムNT』は、企画としてはいつごろ始まったものなのでしょう。

『ガンダムUC』が終わった時に、ストーリーの福井晴敏さんと『UC』の次の話をなにかしらやっていきましょうという話はありました。ですが、具体的に動いたのはお台場にユニコーンガンダムの立像ができることが決まってからです。立像があるうちに、『UC』に続く話を作れないかということで始動していきました。

もともとは福井さんが書かれた小説『機動戦士ガンダムUC』の第11巻を短編のようにしてアニメーションにしようかなと思っていたんです。ですが、当初の予定とは大きく変わり、まったく新しい物語として再構築することになりました。第11巻にはナラティブガンダムも出てきていないですし、似通った要素はあるものの、大幅な路線変更をしています。

――物語を作るにあたり、福井さんとはどんなお話をされたのでしょうか。

ストーリーとしての『NT』の大元は「ユニコーンガンダム3号機 フェネクス」なんです。「フェネクス」は、『UC』をやっている最中にお台場の展開に合わせて「ユニコーンガンダム3号機」という設定にして作ったものだったのですが、アニメーションのほうではまだ消化しきれない部分であったので、一つの課題として「フェネクス」を主軸にしたアニメーションというのを作りたいというような話をしていました。

そこから、『UC』の続きで、1年後の話をやるとしたら、タイトルはそのまま『機動戦士ガンダムUC2』にしたほうがいいのかとか、新しい主人公を立てるのであればまったく新しいタイトルにしたほうがいいんじゃないかとか、そういうところから話を始めてっていう形ですね。

――主人公機であるナラティブガンダムが、νガンダムの試験機というのはなぜなのでしょう。

ユニコーンガンダムは別の系統で作られている設定のために特殊ではありましたが、この作品に登場するガンダムを設定・デザインするにあたり、宇宙世紀のこの時代(0093〜0097年)に存在するなら、このくらいの性能とデザインラインのはずだというところを足掛かりにして作業をしていきます。

今回メカデザインは引き続きカトキハジメさんに参加していただいているのですが、カトキさんも宇宙世紀の何かしらの歴史にひもづいたところからガンダムをもってくるという考え方の人。カトキさん的に、近い年代のものだとνガンダムの前くらいのガンダムがあると仮定したほうがいいんじゃないか、というところからナラティブガンダムのデザインはできあがっていきました。

――『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(1988年)や『機動戦士ガンダムF91』(1991年)など、映画という形式はシリーズの中でも重要度が高いものであるように思われるのですが、今回はなぜ映画という形をとられたのでしょう。

今まではイベント上映という形で、『UC』からずっと続けさせていただいてきました。期間はだいたい2週間から長くて4週間で、規模は35館ほど。新宿ピカデリーを旗艦に、お祭り的な感じでやらせてもらっていました。2019年に「ガンダム」シリーズが40周年を迎えるにあたって、本作では館数もかなり増やす予定ですし、世界展開はもちろん、できれば全都道府県の劇場でやりたいなと思っています。

『UC』episode 7の時、僕は北海道や仙台、宇都宮の舞台挨拶を回らせていただいたんですけど、やっぱり地方に行けば行くほど「よく来てくれた」と歓迎していただくことが多くて。また、さぬき映画祭に富野由悠季さんと一緒に参加させていただいた際にも、「ガンダム」が自分の地域にきてくれたということで、すごい歓迎ムードでした。そうしたこともあって、これはやっぱり全国の人に楽しんでもらう施策のほうがいいんじゃないかなということで今回は劇場公開という形式を選びました。

●「サイコフレーム」という技術の"句読点"

――『UC』では、さまざまなバリエーションの武装による戦闘シーンや、ユニコーンガンダムのデストロイモードへの変身など、モビルスーツのかっこよさを引き出す演出に何度も胸が熱くなりました。今回も、そういったポイントは用意されているのでしょうか。

そうですね。PVを見ていただいてもわかるんですけど、最後にいきなりデンドロビウムなのかミーティアなのかといった形の装備が出てきます。今回のナラティブガンダムはこうした多様な装備が可能になっていて、戦闘のシチュエーションによって装備を変えて戦闘していくところが見どころになっています。とはいえ、1時間半の尺なので、なかなかどこまでできるかというのもあると思うんですけど、「1時間半ボリューム作品のメカデザインのカロリーとしては高すぎる」とカトキさんにも怒られています。戦闘も、もちろん3Dでいくところもあると思うんですけど、『UC』や『機動戦士ガンダム サンダーボルト』を手がけたサンライズの第1スタジオが作っていて、基本的には手描きをメインにしてやっていますので楽しみにしていただければと思っています。

――キャラクターについて。登場するメインキャラクターはなぜ全員25歳なのでしょう。

これは、今回の作品では宇宙世紀0079年に行われた「コロニー落とし」が一つ重要なキーワードになっているためです。「コロニー落とし」の時に実際に地上にいて、被災というのか、それを体験した子どもたちがちょうど0097年に25歳になる。「コロニー落とし」によって人生を変えられてしまった、それこそ宇宙世紀のメインストリームを生きてきた子たちの話というのが主軸にあります。福井さんらしいなと思うのですが、宇宙世紀をただ切り取るのではなく、ちゃんと全体の流れを絡めながら、その3人がどういう人間関係を構築して、今に至ったかが描かれます。

――小形さんは、「ガンダム」シリーズにおいて、この『NT』はどんな位置づけであるとお考えですか。

プロジェクトとしては「UC NexT 0100」という形で、「これを皮切りにサンライズはガンダムをいっぱい作っていきますよ」というのが今回の発表です。『NT』はその第1弾ではあるんですけど、一方で、『逆襲のシャア』で一番取り上げられ、『UC』でもやってきた「サイコフレーム」という技術の"句読点"のような気がしています。ここで一回「サイコフレーム」がどういうものなのかということを宇宙世紀の人たちは総括することになります。

――会見で福井さんが「語り」「語りなおすこと」という意味があると説明があった『NT(ナラティブ)』ですが、このタイトルには別案もあったのでしょうか?

実は、こういった話をやるということが決まる以前から福井さんは「『UC』の続編をやるんだったら次は『NT』だ」とタイトルについておっしゃっていたんです。その時は「ニュータイプの『NT』」だったんですけど。具体的な企画になり始めてから「ナラティブ」という方向になりました。

――会見で「ガンダム」の魅力について、小形さんは、富野さんが作られたんだけれども、そこにいろんなクリエイターの血が入ることで続いていったところにあるとお話しされていましたが、逆に「ここは変えてはいけない」といったことが富野監督から伝えられたりしているものなのでしょうか。

富野さんは基本的に自分の作ったガンダム以外興味はありません。なので「こうしてくれ」というのもないですね。ただ僕なんかもそうなんですけど、小学校の時から「ガンダム」を見て育ってきて、そういうDNAに刷り込まれた感覚が実際製作者になってみて、『UC』や『サンダーボルト』、今回の『NT』に生かされていたりするんです。

そうした意味では、「ガンダム」ってずっと作り続けられて、見られ続けているというのが大きいんじゃないかなと。それによって皆の中に蓄積ができて、その人たちがクリエイターになった時に魅力的な作品が生まれてくる。富野さんとしても自分が指名したり指示したりしなくても、必然的に受け継いでいるものは受け継いでいるし、違う人を介すことによって見た目も変わったりするとは思うんですけど、根本の部分はそういった意味で言語化するまでもなく身に沁みついちゃっているものだと思います。富野さんもよく言っているんですけど、「ガンダム」を利用して若いクリエイターたちがもっと自分の表現したいことをやればいいんだよって。今回、吉沢俊一監督にも同じようなことを伝えました。

――ちなみに、会見ではNHK・BSプレミアムで実施されていた「全ガンダム大投票」(5月5日結果発表)の話題になりましたが、小形さんは何に投票されましたか?

僕はνガンダムとユニコーン系に入れました。結果楽しみです。

(C)創通・サンライズ(公文哲)

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  • 子供13歳があんな機動兵器に登場したVが異常、あとアムロ16歳も異常。シローとコウとクリスだけなんだよな、アニメでの最初から軍人主役。
    • イイネ!19
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