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48時間で2万7503個も売れた! 「海老名メロンパン」の集客力がスゴい

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2018年05月16日 07:52  ITmedia ビジネスオンライン

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写真海老名メロンパンがギネス世界記録に認定された
海老名メロンパンがギネス世界記録に認定された

 東名高速道路の海老名サービスエリア(下り)で販売している「海老名メロンパン」(230円、税込)が売れに売れている。いや、「売れに売れている」という表現は誤りである。「48時間以内で最も多く売れた焼きたて菓子パンの数」でギネス世界記録に認定されたのだ。



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 4月28日18時から4月30日18時まで販売したところ、2万7503個も売れた。ちょっと想像できないので、計算したところ、1時間当たり573個も売れていて、1分当たりでは9.5個である。前述したように、販売したのは海老名サービスエリア(下り)だけである。当日、どんな状況だったのか。莫大な数をどのようにさばいたのか。といった話はのちほど触れるとして、その前に名物のメロンパンについてご紹介する。



 海老名メロンパンは1993年に登場。当時の一般的なメロンパンは、丸いパンの上にビスケット生地を乗せて焼いただけ。ヒビの入った感じがメロンに似ていて、メロンの味はしない。そうしたモノが多かったので、開発担当者は「本物のメロンパンをつくりたい」といった思いでレシピを考えたという。外側は砂糖をまぶしたしっとりとしたクッキー生地で、中は薄い緑色をしている。食感はフワフワでメロンの香りが強く感じられるので、購入するためにわざわざ海老名サービスエリアでクルマを停めた人もいるだろう。



 今年25年目を迎える海老名メロンパンは、累計2500万個も売れている。普通に販売していても1日に3000個ほど売れるのに、なぜギネスに挑戦したのか。舞台裏ではどんな仕掛けがあったのか。海老名メロンパンを製造・販売している西洋フード・コンパスグループでハイウェイ事業などを担当している宮田寛さんに話を聞いた。聞き手は、ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則。



●ドライバーとバスガイドの口コミで広がる



土肥: 海老名メロンパンは直径15センチ弱なので、一般的なメロンパンよりも一回り大きい。「サクサクのクッキー生地で、砂糖の食感がたまらない」と感じている人も多いと思うのですが、このたび「48時間以内で最も売れた焼き立て菓子パンの数」でギネス世界記録に認定されたそうで。当日、どのような状況だったのか。その話を聞く前に、販売した当時のことを聞かせてください。1993年に発売して、すぐに売れたのでしょうか?



宮田: いえ、かなり苦戦しました。1日に数十個しか売れない日々が続きました。しばらくして、このままではいけないということで、試食をしてもらうことにしました。海老名サービスエリアにはバスのドライバーさんやガイドさんが休憩する部屋があるんですよね。そこに海老名メロンパンを持っていって、食べてもらうことに。ドライバーさんとガイドさんからは「いい香りがするじゃないか」「これおいしいよ」といった声があって、その後一気に口コミで広がりました。



土肥: 当時の口コミって何ですか? いまであればSNSで拡散すれば「メロンパンが話題になっているよ」と分かるのですが、バスガイドの友人に勧めたとかですか?



宮田: 友人や知人に勧めた人もいらっしゃると思うのですが、そうではありません。観光バスに乗っていたバスガイドさんは、乗客に案内してくれたんですよね。「まもなく海老名サービスエリアに停車します。ここには『海老名メロンパン』があって、ワタシも大好きなんです。みなさんもよければどうぞ」といった感じで。



 バスが到着するたびに、たくさんのお客さんがゾロゾロ出てきて、店に来ていただけました。試食をして「おいしい」となれば、おみやげに10個、20個買ってくれる人もいました。



土肥: いつごろの話でしょうか?



宮田: 販売して、5年ほどは苦戦していました。じわじわと売れていって、2000年以降はジグザグしながらも伸びていきました。2014年に1日最高6700個を販売して、現在は1日平均3200個売れています。



土肥: 営業時間は朝6時から20時までですよね。1カ所でしか販売していないのに、1時間で228個も売れていることになる。その数字を聞いただけでも「スゴいなあ」と感じるのですが、48時間で2万7503個も売ってギネスに認定されました。1時間で573個売った計算になるので、通常の2.5倍ペースで販売したことになる。そもそも、なぜギネスに挑戦しようと思ったのでしょうか?



●海老名メロンパンを再定義する



宮田: 海老名メロンパンは25年前に発売したこともあって、ここ数年の売り上げは大きく伸びていませんでした。社内からは「そろそろリニューアルが必要なのでは?」といった声がありましたが、私の意見は違っていました。「海老名メロンパンの認知はまだまだ。リブランドすれば、売り上げは伸びるのでは?」と。



 ここ数年は大きく伸びていませんが、1日に3200個も売れている。たった1店舗で、これほど売れているパンってあるのかなあと考えたんですよね。ギネスの記録を調べたところ、千葉県にあるパン屋がメロンパンを1日に9749個も売っていることが分かりました。海老名メロンパンは2014年に1日で6700個売りました。そのときは14時間での記録だったので、24時間であればギネス記録を更新できるのではないかと考えました。



 とはいえ、ギネスに挑戦した経験はありません。どのようにしたら挑戦できるのかよく分からなかったので、ギネスワールドレコーズジャパンに問い合わせてみました。担当者からいろいろ話を聞いて、「48時間でチャレンジしませんか?」と提案がありました。ただ、48時間で最も売れた菓子パンのカテゴリーがなかったので、千葉県のパン屋が売った数字がベンチマークになりました。9749個の倍……1万9000個以上を売らなければ「認定することはできない」とのことでした。



 本当に48時間で1万9000個も売れるのか。とてつもない数字ではないか。不安を感じたのですが、挑戦することにしました。世界記録という冠を手にすれば、売り上げが伸びるかもしれない。スタッフが自信をもってくれるかもしれない。先ほど「リブランド」という言葉を使いましたが、海老名メロンパンを再定義できるのではないかと考えました。



土肥: ギネスに挑戦するってどのような手続きが必要なのでしょうか?



宮田: 最初は軽い気持ちで「ギネスってどうかな」と口にしたものの、実際に取り組み始めると、ものすごく大変でして(苦笑)。送られてきた資料を見ると、あれをやってはダメ、これをやってはダメといった具合に、厳しいルールがたくさんありました。例えば、メロンパンがどのくらい売れたのか。「認定員」と呼ばれる人が数えるのですが、当社が雇わなければいけません。会社に関係のない認定員を見つけて、48時間数えてもらわなければいけません。ただ、1日に8時間まで、4時間以上働かせてはいけないというルールがありました。



土肥: 働き方改革ができていますね。



●当日を迎えるまで何をしたのか



宮田: ギネスにチャレンジをしていて、事故が起きてはいけません。食品衛生の監視員も48時間、交代で付けなければいけませんでした。また、カウントした数字とレジでの販売数を照合するために、第三者の公認会計士も雇わなければいけませんでした。



 あと、ギネスに認定された文言を見てください。「48時間以内で最も多く売れた焼きたて菓子パンの数」と書かれていて、「焼きたて」でなければいけない。海老名メロンパンの賞味期限は48時間なのですが、ギネスでは「24時間ルール」があって、24時間以内に焼けたモノでなければ売ってはいけませんでした。じゃあ、それをどうやって証明するのか。工場でパンをつくっているところを録画して、それを提出しなければいけませんでした。



土肥: うわー、大変ですね。「世界一になるぞ!」と旗を振ったものの、「えっ、こんなにお金がかかるの?」といった感じだったわけですね。



宮田: 「たくさん売らなければいけない」と誓いました。



土肥: 何もしないで、当日を待っていたわけではないですよね。どんな取り組みをしたのでしょうか?



宮田: メロンパンに「海老名」という名前が入っているので、「地元の人を呼ぼう」と考えました。ただ、数カ月前にパンをセールしたところ、お客さんはあまり来てくれませんでした。今度は、ギネスに挑戦。お客さんには金銭的なメリットがないのに、本当に来てくれるのかといった不安を感じました。



 じゃあ、どうしたのか。来店動機につながるものを提供しなければいけない。「海老名という土地から世界一の冠が付いた商品が誕生するかもしれない」といったことを、さまざまなところでアピールしました。3月から4月にかけて市役所にあいさつに行ったり、地元の住民にPRしたり、地元の公共交通機関に広告を出したり。地道な活動を続けたところ、売り上げがじわじわと伸びてきました。また、SNS上でも話題になっていたんですよね。「ギネス記録に挑戦するみたいですよ」「地元民としては貢献しなければいけない」といったコメントがたくさんありました。



●想定外のことが起きる



土肥: 当日はどのような状況だったのでしょうか?



宮田: 18時にスタートしたわけですが、順調に売れていきました。海老名サービスエリアの外に駐車場がありまして、普段は地元の人がここにクルマを停めて、サービスエリアで商品を買ったり、食事をしたりすることができるのですが、満車になることは滅多にないんですよね。ただ、当日は違いました。駐車場は満車になっていて、さらに道路にクルマが並んでいましたので、現地の人もびっくりしていました。SNSを見ると「海老名市民として、○個買った」「海老名がんばれ」といったコメントがたくさんありました。



 パンが最も売れる時間帯は朝の8時から11時なんですよね。ただ、このときに渋滞が起きました。渋滞が起きてしまうと、売り上げがどうしても鈍ってしまうんですよね。「渋滞だからクルマを停めて休けいしよう」という人が増えて、サービスエリアが混み始める。駐車場にクルマを停めようとするクルマの行列ができる。



土肥: 駐車場の回転率が悪くなると、お客の人数に影響が出るというわけですね。



宮田: それまで順調に売れていたのに、このときは「本当に大丈夫か。もしかしたら記録を達成することができないのでは」と頭の中を不安がよぎりました。ただ、午後になると渋滞は解消されたので、売り上げは伸びていきました。



土肥: 48時間もパンを売っていると、想定していなかったことが起きたのでは?



宮田: 「メロンパンは焼きたてがおいしい」といった話を聞いたことはないでしょうか。実際、おいしい。ただ、焼いてすぐに袋に詰めることはできません。なぜか。焼き終わってすぐに袋に詰めてしまうと、パンの表面からわきたつ水蒸気によって、メロンパン独特のサクサク感が失われてしまうんですよね。というわけで、必ず冷やさなければいけません。目の前にモノはあるのに、お客さんに販売することができないといった事態が発生しました。ただ、何とか販売を続けることができ、目標の1万9000個は30日の8時ごろに達成しました。



●海老名メロンパンを売り続ける



土肥: 10時間前に記録を達成したわけですね。余裕じゃないですか。



宮田: 48時間売り続けるということでしたが、30分ほど前に完売しました。売るチカラはあったのですが、作るチカラが不足していました。生産能力を超えるほど売れてしまって、残念ながら最後まで売り切ることができませんでした。



土肥: 世界一になれた要因はどこにあると分析していますか?



宮田: 2つあると思っています。1つは、地元の人に愛されていたこと。先ほど外の駐車場が満車だったと言いましたが、SNSを見ると応援の声がたくさんありました。「海老名の名前が入っている商品を世界一にしたい」という思いが強かったのではないでしょうか。



 もう1つは、ギネスの記録に参加したいという人が多かったのではないでしょうか。例えば、2つの商品が並んでいて、お客さんはどちらを選ぶのか。いまの時代、インスタ映えなどの付加価値が必要なんですよね。「おいしい」だけではなく、何らかのバリューがあれば注目される。今回の場合、イベントに参加することができたので、たくさんの人が購入したのではないでしょうか。



土肥: 「食べる」「おいしい」だけでなく、「海老名サービスエリアに行く」「メロンパンを買ってギネスに参加する」といったコト消費に成功したのかも。



宮田: 世の中にはロングセラー商品がたくさんありますが、主力商品は店頭に並んでいますよね。食品でいえば、たくさんのフレーバーを展開していても、主力商品はずーっと売り続けている。売り上げは浮き沈みがあっても、売り続けている。25年間売り続けている海老名メロンパンもそうでなければいけないなあと。



 冒頭に申し上げましたが、社内からは「そろそろ味を変えようよ」といった声がありました。ただ、これまで築いてきたブランドをなくしてはいけない。リブランドすることで、食べたことがない人にも食べていただければ。これまで海老名サービスエリアでしか食べることができませんでしたが、4月中旬に他のサービスエリア(5カ所)でも食べることができるようにしました。



土肥: 好調ですか?



宮田: 以前販売していたメロンパンに比べて、売り上げは30%伸びました。



(終わり)


このニュースに関するつぶやき

  • たいしておいしいわけじゃない。が「バスガイドさんがおいしい」っていうとなぜか流行る 個人的には海老名SAなら「鯵のから揚げ」が好き 塩・醤油・マヨ・カレーとかフレーバーも豊富です。
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  • メロンパンのネタだけで、これだけ長い記事を書いた記者もギネス並(笑)
    • イイネ!22
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