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清宮幸太郎は一軍で活躍し続けられるか?【西尾典文】

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2018年05月16日 16:02  AERA dot.

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写真日本ハム・清宮幸太郎 (c)朝日新聞社
日本ハム・清宮幸太郎 (c)朝日新聞社
 野手としては史上最多タイとなる7球団から1位指名を受けてプロ入りした清宮幸太郎(日本ハム)。キャンプでは体調不良、限局性腹膜炎で出遅れ開幕一軍入りは逃したものの、二軍では5試合で4本塁打を放ち5月2日に一軍に昇格を果たすと、デビューから7試合連続安打をマーク。

 5月9日にはプロ入り初ホームランを放つなどその大物ぶりを示したかと思われたが、翌日以降そのバットは完全に沈黙し5月15日終了時点で打率は2割を下回り、プロの壁に苦しんでいる状況だ。まだわずか10試合程度の出場ではあるが、ここまでの一軍の打席を振り返り、清宮の長所と課題を検証してみたいと思う。

 改めて5月15日時点の清宮の成績は下記の通りである。

12試合 46打席 43打数 8安打 1本塁打 1打点 3四球 0死球 19三振 打率.186 出塁率.239

 まず気になるのはやはり三振の多さである。12試合で19三振ということは、仮にこのペースで143試合出場したとすると、シーズン226三振という数字になる。ちなみに日本記録は1993年にブライアント(近鉄)が記録したシーズン204三振であり、いかに清宮の三振数が多いかがよく分かるだろう。そして、三振数と反比例して四死球の数は少なく、こちらもシーズンに換算すると36個となる。昨年規定打席に到達し、20本以上のホームランをマークした23人の中でこの数字より少ないのはロペス(DeNA・29個)、ロメロ(オリックス・33個)、マレーロ(オリックス・34個)の3人だけである。

 この三人のシーズン三振数は100を下回っており、明らかに早打ちのパワーヒッターの特徴が現れているが、清宮の場合は早打ちでありながら三振も多いというのが現状である。これまでの46打席でスイングした回数は90回あるが、そのうち空振りは42回であり、実にスイング2回に1回近くは空振りという計算になる。ストライクの見逃しは43打席で31球で1打席に1球以下と多くはないが、これだけ空振りが多ければ三振が多いのも当然である。

 現時点ではバットにボールを当てる力が著しく低いということが言えるだろう。空振りの内訳を、さらに細かく見てみると最も多い球種はフォークの14回で次に多いのがストレートの10回となっている。そしてストレートは空振りを喫した10球中9球が147キロ以上のスピードのボールだった。


 象徴的だったのが5月12日、13日のソフトバンク戦だ。先発したバンデンハーク、武田翔太の140キロ台後半のストレートに完全に差し込まれるスイングが続いた。また、フォークの空振りが多いことから縦の変化に苦しんでいることがよく分かる。まだまだ一軍レベルのスピードボールと縦の変化球には対応できていないのが現状だ。

 しかし、これはある意味高校卒のルーキーにとっては当然のこととも言える。プロ入り一年目にいきなり31本塁打をマークした清原和博(西武など)でさえ、一年目はリーグ最多の109三振を喫している。また、松井秀喜(巨人など)は11本塁打は放ったものの、57試合で50三振という数字が残っている。まずは当然の壁にぶつかっていると見るのが妥当ではないだろうか。

 そんな中でも清宮の良さが表れている部分もある。それはとにかくバットを振るという姿勢だ。これまでの19三振のうち、見逃し三振はわずかに4個にとどまっている。そして空振りでも中途半端なスイングであるケースは少なく、たとえ体勢を崩されたとしても振り切ることができるのは良い傾向である。

 前述した松井はルーキー時代に石井一久(ヤクルトなど)の内角から切れ込んでくるカーブに思わず尻餅をついて、それからしばらくサウスポーの変化球にバットが出なかったことがあったが、清宮は今のところそのような様子は見られない。いくらタイミングが合わなくても、バットとボールが離れていても振れるということは打者にとって得難い長所と言えるだろう。

 そして、もう一つ大きいのがやはり高校卒ルーキーとは思えない落ち着きだ。デビュー戦でリーグを代表する投手である岸孝之(楽天)と対戦しても臆することなくストレートを振り抜きツーベースを放ったが、その姿には長年プロでプレーしているかのような貫禄があった。5月9日に通算2000本安打を達成した内川聖一(ソフトバンク)が試合後の会見で清宮は常に注目されている中で結果を出していることを称えるコメントを発したことも、清宮のメンタリティの強さをよく物語っている。

 しかし、このままやみくもにボール球を振り続けたとしても当然結果がついてくるわけではない。ヒットにできる可能性の高いボールをいかに見極められるかがポイントになってくる。これは一朝一夕でできることではなく、相手投手、捕手の傾向や特徴もしっかりつかむことが必要になってくるだろう。


 もう一つ気になるのが打球が上がる回数が少ない点である。これまで放ったヒットのうち、外野の頭を超えたのは初打席で岸孝之(楽天)から放ったツーベースと、プロ第一号となったホームラン、そして直近の5月15日に放ったライトオーバーのツーベースの3本でありフライアウトも2本しかない。低めの変化球に簡単に手を出すあまり、打球が上がりづらくなっているようになっている。しかし、ファンが清宮に期待しているのはやはりホームランである。結果が出ない時でも安易にヒットを求めずに長打を狙い続ける姿勢は見せてもらいたい。

 海の向こうでは大谷翔平(エンゼルス)が打者としてもホームランを量産し、完全にメジャーのファン、関係者の心をつかんでいる。大谷が去った日本球界で、新たな風を吹き込ませるとすればその筆頭候補は清宮であることは間違いない。

 また、大谷が球界の常識を打ち破ったように、清宮に求められているのも大衆の想像を超えるような活躍である。栗山監督からは近いうちに二軍での再調整を示唆するコメントも聞かれるが、近藤健介の復帰と同時に同じ左打者のアルシアが故障で登録抹消となり、清宮にとっては運がある状況と言える。このチャンスをつかみ、短期間で現在の課題を克服し、一年目は一軍で通用しないという前評判を覆すような活躍を見せてくれることに期待したい。

●プロフィール
西尾典文
1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。

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このニュースに関するつぶやき

  • 打てない打者をいつまで使うんだろう^^; ってか、今のところハンカチ化に近づきつつあるなぁ…
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  • チャレンジしてる若者を応援したいね ちょっとミスしただけで喜んだり 貶す人には成りたくないな
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