衝撃デビューから4年…ヤクルト・西浦直亨、プロ5年目の進化

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2018年05月21日 11:11  ベースボールキング

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ヤクルト・西浦直亨(C)KYODO NEWS IMAGES
◆ ついに規定到達、打率はリーグ7位

 5月20日、新聞各紙の打撃十傑に「西浦直亨」の名前が載った。

 開幕スタメンこそ逃したものの、4月4日の今季初出場から好調を保ち、33試合目にして『チーム試合数×3.1』の規定打席に到達。現在は97打数30安打の打率.309でリーグ7位という好位置につけている。


◆ 衝撃を与えたデビュー戦

 奈良の名門・天理高から法政大学を経て、2013年のドラフト2位でヤクルトに入団した西浦。球団からの大きな期待が表れる背番号3をつけるも、入れ替わる形で現役を退いた宮本慎也(現ヘッドコーチ)への憧れから「背番号6」を目標とすることを語り、ファンも“ポスト宮本”として大きな期待を寄せた。

 あまり感情を表に出すタイプではなく、派手さこそないものの、そのデビューは華々しかった。

 2014年の開幕戦。「8番・遊撃」でスタメンに名を連ねると、初回に巡ってきたプロ初打席でレフトへの3ラン。開幕戦・初打席でのプロ初本塁打はリーグ史上初のことで、それも“初球”本塁打はプロ野球史上初という快挙。大きな話題を集めた。

 ところが、西浦がルーキーイヤーに放った本塁打はこの1本だけ。以降は結果を残すことが出来ず、4月中に二軍降格。結局14試合の出場に留まり、打率は.156と期待に応えることはできなかった。


◆ 遠かったレギュラーの座

 今年でプロ5年目を迎えた西浦。上述の通りデビューこそド派手に決めたものの、以降はなかなか一軍に定着できない日々が続く。これまでの年度別成績が以下の通りだ。

【西浦直亨・年度別成績】
2014年:14試 率.156(32−5) 本1 点5
2015年:26試 率.295(44−13) 本1 点5
2016年:72試 率.255(247−63)本7 点28
2017年:72試 率.208(144−30)本0 点8
2018年:34試 率.309(97−30) 本2 点14 ※5月20日終了時点


 2016年に自己最多の72試合に出場。7本塁打、28打点とこちらもキャリアハイの成績を残した。しかし、昨季は出場試合数が同じだったにも関わらず、打率.208と低迷。本塁打は0に終わり、打点も8と前年を大きく下回る結果に終わってしまう。チーム事情的にも遊撃のポジションが固定できず、西浦にとってはチャンスだったのだが、レギュラーの座を手中に収めることはできなかった。

 今季もキャンプ後に二軍降格。開幕直前に一軍昇格を果たしたものの、遊撃のポジションには高卒3年目の広岡大志が就いていた。西浦と同じドラフト2位で入団した若手有望株。厳しい状況の中、ひょんなことからチャンスが転がり込んでくる。

 4月4日の広島戦、西浦は「2番・三塁」で今季初出場。前日に頭部死球を受けて離脱した川端慎吾の代役としての出番だったが、このチャンスに決勝打を含む3安打・2打点の大暴れ。チームを本拠地初勝利へと導き、お立ち台に上がったヒーローは燕党の大歓声を浴びた。


◆ 5年目のブレイクへ

 その後、4月7日の巨人戦でも3安打の固め打ちを見せると、8日の試合でも2安打を放って3戦連続の複数安打をマーク。川端が戦線復帰して以降もコンスタントに出場をつづけ、5月11日のDeNA戦では5打数5安打の大暴れ。好調を維持している。

 好調の要因の一つに、“左投手への強さ”が挙げられる。上述した11日の試合では、主戦左腕の石田健大から3安打を放つなど“左キラー”ぶりを発揮。16日の巨人戦でも左腕の中川皓太から3ランを放つなど、ここまで対左は打率.480とハイアベレージを保っている。

 また、今季はここまでリーグトップタイの犠打10を記録するなど、“つなぎ役”としても存在感を放っている。課題の守備も3つの失策を記録しているものの、ミスを恐れぬ積極的な守備で投手を助ける場面も多い。犠打も守備もスペシャリストだった宮本ヘッドにはまだまだ遠く及ばないが、一歩ずつ着実に進化を見せている。

 衝撃デビューからの低迷…。酸いも甘いも噛み分けて、いま大きなチャンスを迎えている27歳。ようやく掴みかけたレギュラーの座を守るために、より一層の活躍が必要となる。ブレイクの気配漂う背番号3の飛躍に期待したい。


文=別府勉(べっぷ・つとむ)

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