年金暮らしの母に「2000万円」贈与したい! やり方次第で高級車1台分の節税効果も

0

2018年05月22日 11:13  弁護士ドットコム

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

弁護士ドットコム

記事画像

まとまったお金を、生きている間に子どもや孫へ贈与しておきたいと考える人は少なくないだろう。逆に、自分の親に対して贈与したいという「親孝行」な方もいる。


【関連記事:「500万円当選しました」との迷惑メールが届く――本当に支払わせることはできる?】


税理士ドットコムの税務相談コーナーには贈与に関する相談がいくつも寄せられている。ある人から、年金暮らしの母に2000万円を贈与したいが、一括贈与と分割贈与(年間200万円ずつ10年間)では、「どちらが課税額が低いでしょうか」という質問が寄せられた。


国税庁がホームページで公開している見解に照らせば、以下のように考えられる。


(1)毎年200万円ずつ10年間にわたって贈与を受けることが、贈与者との間で約束されている場合には、契約をした年に、10年間にわたり200万円ずつの給付を受ける契約に係る権利の贈与を受けたものとして2000万円の贈与があったものとして贈与税がかかる(以下「連年贈与」という)


(2)一方、贈与契約を毎年結び、それに基づいて贈与が毎年行われれば、その年ごとに贈与税が判断される


●試算すると多額の節税メリット

では単純化して実際に子から親に贈与があった場合を試算すると、どれくらいの贈与税がかかるのか。約束があった年に2000万円の贈与があったとみなされた場合、以下のような計算式で課税額がわかる。


2000万円-110万円(基礎控除)=1890万円(基礎控除後の課税額)


1890万円×50%-250万円(控除額)=695万円


一方、その年その年の贈与として、10年にわけて200万円ずつの贈与がされた場合、贈与税はどうなるのか。


200万円-110万円(基礎控除)=90万円(基礎控除後の課税額)


90万円×10%=9万円


9万円×10年=90万円


したがって、その年その年の贈与と認められた方が、節税効果は605万円にものぼる。実際には税務署がこういったパターンを認めるかどうかは疑わしいが、多額の贈与をする際には節税効果を意識した方がいいだろう。


今回の場合、前もっての約束をせずに、20年間かけて毎年100万円ずつ贈与すれば年間の基礎控除110万円の枠におさまるため、理論上は非課税になる。


●資金移動の記録・毎年の契約書を残すことが大事

大塚英司税理士は、次のように指摘する。


「毎年の暦年贈与として認められるためには、以下の点を考慮することが望ましいです。


・贈与の都度、毎年契約書を作成する


・贈与の足跡を贈与者と受贈者との口座間で残す


贈与自体は、口頭であったとしても、あげる側の贈与者ともらう側の受贈者の双方の贈与認識があれば成り立ちますが、実際に暦年贈与を行う際の課税実務上は、実態としての口座間での資金移動と形式面での契約書を整備するようにしています」


それはどういうことだろうか。


「『最初から2000万円を贈与するつもりであっただろう』として『連年贈与』とみられる可能性がありますので、資金移動の記録や毎年の契約書を備えておけば連年贈与ではないことがアピールできます。


これにより、仮に税務調査が入った場合でも、税務署側でその贈与が暦年贈与ではなかったことの証明ができない限り、連年贈与として贈与税を課税することは難しい状況を作ることができます」


【取材協力税理士】


大塚英司(おおつか・えいじ)税理士


中央大学商学部卒業。税理士法人トゥモローズ代表税理士。世界四大事務所であるEY税理士法人出身。大企業の法人税務から相続・不動産等の個人税務まで幅広くサポートできる稀有な存在の若手税理士。


事務所名   : 税理士法人トゥモローズ


事務所URL:http://tomorrowstax.com/


(弁護士ドットコムニュース)


    前日のランキングへ

    ニュース設定