長渕剛は40年、アレンジにこだわり続けてきたーー“男のロマン”体現する魅力を改めて考察

0

2018年05月23日 10:22  リアルサウンド

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

リアルサウンド

写真

 1978年のデビューから今年で40年を迎えた長渕剛が、本日5月23日放送の『スッキリ』(日本テレビ系)に生出演する。5月16日には配信限定で「Don’t Think Twice〜桜並木の面影にゆれて〜」をリリースするなど、今なお精力的な活動を続ける長渕。長年彼のライブに足を運び、度々取材も行ってきた音楽ライターの冬将軍氏に改めて魅力を聞いた。


(関連:長渕剛、最新作『BLACK TRAIN』での音楽的チャレンジ 自らの表現をどうアップデートした?


 冬将軍氏は長渕を表現者として高く評価し、「40年のキャリアがあり、ヒット曲も多いアーティストですが、常に新たな曲を作り続けています」と語る。ライブでは、瞬間的なものを重視し、アレンジや歌い方だけでなく曲のキーやコード進行すら変えることがあるという。弾き語りのイメージが強い長渕だが、実はツアーなどでは豪華なサポートミュージシャンとともにパフォーマンスすることが多い。


「実力派ブルースギタリスト・ichiro、Co/SS/gZやYEN TOWN BANDなどの個性派ギタリストとして知られる名越由貴夫、といったバラエティ豊かなミュージシャンとの共演も、長渕さんの飽くなき音楽探求の現れだと思います。昨年末のライブや今回のシングルにも参加している、矢井田瞳からSUGIZOまで務める凄腕ベーシスト・FIREの参加も、思わずニヤリとしてしまうような絶妙な人選ですね。長渕さんは唯一無二の歌声や強いメッセージ性に注目されがちで、音楽性について評価される機会はこれまで少なかったのかもしれません。でも実は、ライブでのアレンジメントなどにもこだわりが強いアーティストなんです」


 楽曲アレンジにおいても、一回限りのライブとは異なるこだわりを持っているようだ。冬将軍氏は、新曲を例に以下のように語る。


「近年の楽曲にしてはコード進行などは比較的シンプルですが、繰り返し聴くためのスタジオ作品として成立させるため、アレンジにとても凝っている印象です。もともと、大衆性を考えながら“耳馴染みの良さ”に重きをおいた、型にはまらない幅広いアレンジが長渕さんの作風。今回は特にそれが顕著に現れています」


 今回のMVでも、肉体改造のためにやめたタバコをあえてふかすシーンがあったり、前作『BLACK TRAIN』ではコートを纏いSLにまたがるなど、いわゆる“男のロマン”を体現しているとも言える長渕。冬将軍氏はどう見ているのだろうか。


「長渕さんは、たとえ弱い者でもギターを持って歌を歌えばヒーローになれる、ということを示したような、男なら一度は憧れる存在だと思います。なにより、何事にも全力で取り組んでいることがはっきりと伝わるからこそ支持されているのでしょう。強いメッセージに秘められたものは、“ああしろ、こうしろ”といった強制ではないんです。いつも、“俺はこう思うけど、おまえはどう思う?”という問いかけなんですね。だからファンはそこに全力で応えて行くんです。『スッキリ』でも彼のそんな一面が見られるかもしれません」


 最後に冬将軍氏は、長渕が『ザ・ベストテン』などの音楽番組全盛期にも、いつも通りの弾き語りスタイルにこだわり、手拍子が起こったために、”失恋の歌なので、手拍子はご勘弁願いたい”と、生放送にもかかわらず最初から歌い直したこともあることを教えてくれた。2016年末の『FNS歌謡祭』では、「乾杯」を大胆にアレンジして歌唱したことも記憶に新しい。ゲストやMCを前にしての生歌唱が特徴的な『スッキリ』でも、長渕のこだわりが見える生パフォーマンスに期待したい。(村上夏菜)


    ニュース設定