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「傷だらけのローラ」などのヒット曲で知られる歌手の西城秀樹さんが5月16日、63歳で死去。25日の通夜には、関係者1500人、ファン2500人が参列した。
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西城さんは16歳でデビュー以来、歌手として活躍してきた。1970年代には郷ひろみさんや野口五郎さんとともに「新御三家」と呼ばれ、幅広いファンに親しまれた。
そんな西城さんの名曲で忘れられないのが、1979年にヒットした「YOUNG MAN」。歌いながら「Y・M・C・A」と大きな手振りで踊るあの振り付けは、報道によると西城さん自身の発案だという。人気グループ「GENERATIONS from EXILE TRIBE」が昨年12月、「YOUNG MAN」をカバーした際にも、しっかりと「Y・M・C・A」の振り付けは踏襲されていた。
多くの人が一度は歌って踊ったことのある歌と振り付けだが、歌には歌詞や曲に著作権があることがよく知られている。では、振り付けにも著作権はあるのだろうか。また、あの「Y・M・C・A」は、誰でも著作権を気にせず踊ることができるのだろうか。著作権にくわしい高木啓成弁護士に聞いた。
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そもそも、ダンスの振り付けには「著作権」は認められている?
「ダンスの振り付けにも著作権は認められます。著作権法では、著作物の例として、『舞踏』をあげていますし、バレエ作品の振り付けや日本舞踏の振り付けについて、著作権を認めた裁判例もあります」
ただし、「振り付け」全てに著作権が認められているわけでもなさそうだ。高木弁護士は続ける。
「たとえば、映画『Shall we ダンス?』をめぐる裁判では、映画で踊られた社交ダンスの振り付けに、著作権が認められませんでした。裁判所は判決で、次のような判断を示しました。
《社交ダンスの振り付けは、既存のステップを組み合わせ、これに適宜アレンジを加えるなどして一つの流れのあるダンスを作り出すことであるので、著作物性が認められるためには、単なる既存のステップの組み合わせにとどまらない顕著な独創性が必要である》」
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では、大勢の人たちに愛されている西城秀樹さんの代表曲「YOUNG MAN」の中で有名な「Y・M・C・A」の振り付けに著作権は認められるのだろうか。
「『Y・M・C・A』のアルファベットを両手で表現する振り付けは、顕著な独創性があるとして著作権が認められる可能性もあります。他方、この振付はアイディアに留まり、思想・感情の表現とはいえないとして著作権が認められない可能性もあると思います。微妙なケースだと思います」
もしも、「Y・M・C・A」に著作権が認められる場合は、無断で踊ると著作権侵害になってしまう?
「学園祭など、非営利で料金を徴収せず、出演者にも報酬を支払わない場合は、著作権が及びませんので、自由に歌ったり踊ったりすることができます。しかし、そうでない場合は注意が必要です。
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なお、振り付けの著作権は、楽曲の著作権とは別物です。振り付けについては楽曲とは別に、著作権者の許諾を得る必要があります」
では、この場合の「著作権者」は誰になるのだろうか?
「著作権者については、振付師からレコード会社に著作権が譲渡されていれば著作権者はレコード会社ですが、きちんとした契約がなされていない場合もあるようです。ですので、著作権者が誰であるかは事案によります」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
高木 啓成(たかき・ひろのり)弁護士
福岡県出身。2007年弁護士登録(第二東京弁護士会)。ミュージシャンやマンガ家の代理人などのエンターテイメント法務のほか、IT関係、男女関係などの法律問題を扱う。自身も作曲家としてアイドル等に楽曲提供を行うほか、「hirock’n」名義でiTunes等にて自らの楽曲を音楽配信している。Twitterアカウント@hirock_n
事務所名:アクシアム法律事務所
事務所URL:http://www.axiomlawoffice.com/
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