JR西日本「SL北びわこ号」C56形が本線引退へ - 整備作業員の思いは

2

2018年05月26日 19:22  マイナビニュース

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

マイナビニュース

画像提供:マイナビニュース
JR西日本は25日、蒸気機関車C56形160号機の整備シーンを報道公開した。同機関車は5月27日を最後にJR西日本営業線での運転を終了することが決まっており、当日は北陸本線米原〜木ノ本間で「SL北びわこ号」として運行された後、京都鉄道博物館にて本線運転引退セレモニーが行われる。

京都鉄道博物館に併設された梅小路運転区の扇形車庫に入ると、美しい姿のC56形160号機が入線していた。前面と後面に「SL北びわこ号」のヘッドマークが掲げられている。

報道関係者らが見守る中、最初に打音検査が行われた。検査を行った整備作業員は、40年にもわたりC56形の車両検修に携った梅小路運転区検修班車両管理部の向井学さん。ハンマーを用い、「カーン」という音を響かせながら丁寧に打音検査を行った。

打音検査はネジの緩みを確かめるための検査。低音の鈍い音が出ると、もう一度工具を使って締め直す。C56形160号機全体の打音検査にかかる時間は40分ほどだという。

続いて給油作業に移った。給油は鉄製のスポイトのような工具を使って油を吸い上げ、各部に油を注いでいく。こちらも給油が終わるまでに40分ほどかかる。向井さんによると、「給油で手を抜いたりすると故障につながる」という。C56形160号機に限らず、蒸気機関車は生き物のような存在だけに、丁寧な整備が大切なようだ。

向井さんはどのような思いでC56形160号機の検修に携ってきたのだろうか。向井さんは「C56形はローカル線を走るのに適しており、北は仙台、南は山口、四国まで貸し出された。沿線で子供たちやお年寄りの方々が大きな声援を送っている姿を見ると、がんばってトラブルがあっても対応して走らせないといけないという気持ちになる」と話した。C56形160号機が本線運転から引退することについては「非常に寂しいし残念」と語った。

同機関車は本線運転から引退するものの、蒸気機関車の整備は続く。今後の技術継承について尋ねた。「私の経験やその日にあったトラブルを日頃からきちんと教えるようにしている」と向井さん。「いまの若い子も、真剣にやってくれる方ばかり残っている」とも話し、着実に蒸気機関車の整備に関する技術継承が進んでいるように感じられた。

蒸気機関車C56形160号機は5月27日の「SL北びわこ号」を最後に本線での営業運転を終えるが、引き続き梅小路運転区で整備を受け、京都鉄道博物館の「SLスチーム号」を担当することになっている。(新田浩之)

このニュースに関するつぶやき

  • 城端線や氷見線での走行ももうないんだなあ(それ以前に他社線通らないと回送できなくなったからダメか…)
    • イイネ!0
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(1件)

ニュース設定