妊娠はできるけれども、流産や死産を繰り返してしまうことを「不育症」と呼びます。
2度の流産・子宮内掻爬(しきゅうないそうは)手術を経験し、「不育症」と診断された過去をもつ保育士の筆者が、不育症について自身の体験エピソードをもとにお伝えしてく連載第7回目。
今回は“かけてくれた言葉”です。
こんなにつらいなら子どもを持たない人生を考えても良いのかもしれない、と思いつつも、簡単に諦めきれるものではなく、時間が経てば気持ちも変わるかもしれない、とゆっくり過ごすことにしました。
何を見ても聞いても心から笑えなかった当時、事情を知っている家族や友人が筆者を励まそうとかけてくれた言葉も、素直に受け入れられない状態でした。
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「元気だして!あんまり落ち込まないの!」
「次のこと考えよう!きっとまた赤ちゃん来てくれるよ!」
こうやって思い返すと、どの方も優しく励ましてくれている言葉です。
でも当時は、自分が落ち込んでいることを否定されているようで悲しくなりました。
次に希望を持つように励まされることも、私のお腹に来てくれた2人の命を「早く忘れなさい」と言われているようで、受け入れられませんでした。
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被害妄想……と思われても仕方がないと思いますが、この時は自分を大切にすることで精いっぱいでした。
「泣いてばっかりいたら赤ちゃん来てくれないよ!」
「赤ちゃんは笑顔のお母さんのところに来てくれるんだよ!」
家に引きこもりがちの筆者を見かねて、こう励ましてくれた方もいましたが、当時は「その泣き虫がなおらなきゃ、母親になれないわよ」と言われているように感じました。
●経験者の声 (※1 不育症そだってねっと会員アンケートから)
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・「また次頑張ればいいじゃない」と言われたのですが、空に行ってしまった赤ちゃんのことを忘れられないので、次また頑張る気持ちにはなれませんでした。
・「若いから大丈夫」と言われましたが、亡くしてしまった子と次に生まれてくる子は”違う子”なので、励ましにはなりませんでした。
・言われて傷ついたことを話したら「人の善意を自分の都合で悪意に変えるな!」と夫に怒られました。
「大変だったね」
「つらかったね」
あまり質問せず、事情も知らないのに、ただただ体調を気遣ってくれた友だち。誘いを断りがちで付き合いの悪くなった筆者にも、変わらずに声をかけ続けてくれた友だちに、本当に救われました。
このままでいいんだな、と思えたことが、前向きに考える力になりました。
●経験者の声 (※1 不育症そだってねっと会員アンケートから)
・一緒に泣いてくれたことが嬉しかったです。
・気持ちがわからなくても、わかろうとしてくれる気持ちさえあればうれしいです。
何と声をかけて良いのかわからない、どう接して良いかわからない。早く元気になってほしい、悲しんでいる姿を見ていられない……。
筆者も励ます側で戸惑った経験があるのでよくわかります。
悲しみのどん底にいる時は、まず自分に起きたことを受け止めることだけで精いっぱいの状態です。
そこへ、前を向くように励ましたり、または他と比べて客観視するように言っても逆効果です。何とかしてあげたいという気持ちはありがたいのですが、筆者のように受け手がマイナスに変換してしまうこともあります。
まずは焦らず、「全部はわかってあげられないけど、つらかったんだね」「言葉が見つからないけど、大変だったんだね」など、気持ちを受け止めてもらえるだけで救われます。
職場などでは変に気を使われるより、いつも通りに接してほしいかもしれません。聞いてほしいときは、ただじっくりと聞いてくれる人がいるだけで嬉しいものです。
筆者の場合、自分が立ち直る時を、急かさずに待ってくれている人がいるということが、何よりも励みになりました。
その方との関係にもより、難しいですが、気持ちが不安定な状態も、そのままを受け入れてあげてほしいと思います。
【参考・画像】
※1 アンケート結果 – 不育症そだってねっと
※ Dragon Images、Creativa Images、Anna Oleksenko / Shutterstock
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