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異例回答も。笑いと怒りと拍手が渦巻いた“タイガース株主総会”の一部始終

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2018年06月14日 07:01  THE PAGE

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写真阪急阪神HDの株主総会はタイガースへの質問、要望が殺到した異例の展開となった
阪急阪神HDの株主総会はタイガースへの質問、要望が殺到した異例の展開となった

阪急阪神ホールディングス株式会社の第180回定時株主総会が13日、大阪北区の梅田芸術劇場で行われ、株主から借金「2」でなかなか波に乗れない阪神タイガースへの不満と要望が殺到した。他企業では見られない、まるで喜劇のような阪急阪神HDの株主総会を取材してみた。怒りと笑いの裏側に阪神の今後の考えが透けて見えた。

 株主総会は異例の謝罪から始まった。議長の角和夫代表取締役会長グループCEOは、開会の挨拶で、阪神の山脇光治スコアラーが盗撮容疑で逮捕された不祥事に触れ「被害にあわれた方に心よりおわび申し上げるとともに、株主、関係者の皆様に重ねておわび申し上げます」と謝罪した。

 総会の質問も初っ端からタイガースだった。村上ファンドに企業買収されかけて困った阪神が“ホワイトナイト”の阪急にM&Aされて以来、株主総会は、もちろん阪急阪神の合同のものになっているが、そこでのタイガースへの株主からの要望や質問は、“風物詩”とも言える恒例のものになっている。しかも、チームの調子がよければ質問数は少なく悪ければ多い。ファン世情を如実に映し出すものとなっているから面白い。
 だが、質問の一発目から阪神タイガース関連というのはなかなかない。交流戦の成績は4勝8敗で11位。株主の不満も溜まっているのだろう。

 中年の男性の質問は、虎ファンにとって聖地であるライトスタンドに「赤や青とか、よそのファンが入ってくるので聖地を守りたい。ご配慮下さい」という無茶な注文から始まり、「席で立って応援していいものか」というマナー問題から、身障者専用の駐車場が確保されていない、という至極まっとうな要望に続けて、タイガースへの不満をぶつけた。

「タイガースは投手はいいのに打てない。2年前も総会である人がコーチがダメと同じような質問をしたところ、監督、コーチが信念を持って指導している、信頼していると、おっしゃっていたが、あれから2年たったが(打撃成績は)ダントツの最下位。これでは勝てるわけがない。外国人を高いお金を払って連れてきても全く打てない。若い選手が出てきて喜んで応援歌ができるが、すぐ打てなくなる」

 “ポンコツ”の斎藤佑樹からは大量得点を奪ったが、2点以上取れない貧打にずっと苦しめられ、チーム打率、得点、本塁打の3部門は、セ・リーグの最下位である。株主は、なぜ勝てないかの原因をよくご存知のようである。
 答えたのは、阪神の揚塩健治球団社長ではなく、阪神電鉄のスポーツ・エンタテインメント事業部の百北幸司取締役だった。これまでは百北氏が阪急阪神HDの取締役だったため、順列的に上にある百北氏が答弁に立ったものだが、タイガースには、キャンプに1、2日、陣中見舞いに訪れる程度のかかわりの人だ。そういう席では、コーチなどと熱心に野球談義をしているが、タイガースの内情については、揚塩社長ほどには知らない人物が返答するのである。

 百北氏は、立ち上がっての応援に制限を設けていないことなどを説明した上で打撃不振のチームについて「一昨年、ご指摘をいただきましたときに回答をしたのも私で、同じような答えになってすいません。監督、コーチは信念を持って取り組んでいますし、我々も信用しております。精一杯練習に励み、強い気持ちを持って、今、結果が出ていない選手も、今後、やってくれると信じております。ペナントレースは、まだまだ続いていきますので、引き続き応援をお願いします」とマニュアル通りの模範回答をした。

 


 続く株主の質問は、またタイガースについてだった。

 この人は「新外国選手の失敗の原因を自虐本にして出版したらどうですか」と荒唐無稽な提案をした。続いて、愛知から来たという阪神ファンの84歳の男性。実は、この人、2年前にも質問に立ち、「フロントに聞きたい。なぜ打撃コーチが片岡なのか。あれが阪神で活躍したことがあるのか? みんな打てないようにしている。掛布(2軍監督)が打てるようにして上へ上げると、みんな(1軍で)打てなくなる」と、金本新監督の就任と同時に打撃コーチに復帰した片岡篤史の実名を出してやり玉に挙げていた。

「コーチが大事ってことをまだフロントの方はわからないんですかね。若手、若手で、連続出場(記録を作っていた鳥谷)の選手を代打で使っていた。(鳥谷は)先発(起用)なら(打率)2割に戻ってきた。外人を取ってきても全然打てない、守れない。いかにコーチが大事か。広島のコーチ(石井琢朗打撃コーチと河田雄祐・外野守備走塁コーチ)がヤクルトに行って、現在、ヤクルトは交流戦でトップですよ。それだけ打っている。コーチのことを考えてほしいと思います」
 
 鳥谷の起用法など、なかなか痛い点を突く要望に満員の場内からは笑いと拍手が起きたが、確かにヤクルトは現在、阪神と同率の2位まで浮上している。
 
 議長の角会長は、「百北から満足のいく答えになるかわかりませんが」と笑いながら返答役に百北氏を指名した。また説得力のないマニュアル返答になることを角会長もわかっていて笑ったのである。
 なんとも大阪的なユーモアだ。
 回答は、その予想通りに「すみません。繰り返しになりますが、我々は、監督、コーチを信頼して、指導、指揮、采配を任せています。引き続きご声援をよろしくお願いします」ときた。
 角会長は「結果を出してもらわないとしょうがないですね」とフォローした。
 
 だが、この質問は、阪神の問題点を端的に指摘している。レギュラーをつかみかけた北條や新人王の高山が、なぜ伸び悩み、昨年の後半は、西武の山川に見劣りしないくらいの可能性を見せた中谷や大山が、なぜここまで差をつけられたのか。元西武、ヤクルトで監督を務めた大御所の広岡達朗氏も「チームを作り、選手を育てるのは勉強しているコーチ」が持論だが、監督、コーチの指導力のチームへの影響は大きい。そして、その指導者選びは、フロント、経営側の責任なのだ。
 


 ここからも、まるで“タイガース酒場”のような展開が続いた。

「甲子園のアルプススタンドは暑いから屋根をつけろ」、去年の総会で出た「巨人カラーであるオレンジ色の阪神電車の特急電車の車体カラーを阪神のカラーの黄色に変えろ」というものから、違法駐車を減らすために車ではなく電車での来場をうながすテレビのCMに「かちんとくる。神経がさかなでされる」というクレームから「甲子園の内野席でビールの売り子が販売するビール銘柄がひとつしかないのはどういうことか」という細かい要望まで。次から次へと質問というか、株主の個人的な注文が出され続けて、その都度、百北氏が丁寧に「貴重なご意見を伺い、以降、検討課題にいたします」と汗をふきながら返答を続けた。
 
 クライマックスは「この会場の音響設備が悪くて聞こえない。もっとよくして欲しいと最初に思いました」という前置きでスタートした、この6月で80歳になる男性の訴えだった。

「2005年より優勝がありません。いつ優勝してくれるんやろか、いつ優勝してくれるんやろか、と、シーズンが終わると落胆しているのが現状です、今もいい成績ではありません。私がファンを卒業するのは、もうすぐ、まぢかに迫っております。ぜひファンを卒業するまでに優勝して欲しい。優勝しないのは経営者の責任やと思います。タイガースの経営責任者に、決意と今後の抱負をぜひ、のべて欲しいのです」
 経営責任という言葉が出たときに、会場からどっと笑いが起き、ざわざわが広がった。

 角会長は、この回答者には、百北取締役ではなく「阪神電鉄の藤原会長お願いします」と、阪神電鉄の最高トップである藤原崇起代表取締役会長を指名した。これは、かなり異例の出来事で、過去にいわゆるオーナーがこの場で回答したことは一度もない。

 現在の坂井信也オーナーは、昨年の6月で阪急阪神HDの取締役を外れており、阪神電鉄の取締役相談役の立場でオーナーを継続しているが、実質的にHD内での力はなく、すでに藤原会長、阪神電鉄の秦雅夫代表取締役社長へ実権が移っている。監督人事や経費に3億円を超えるような新外国人獲得やFA戦略などの大きな案件では、この2人のOK(取締役会での承認)がなければ、坂井オーナーの考えひとつでは何も決められないという状況に変わっており、今回、角会長が、わざわざ藤原会長を引っ張りだしたのには、そういう現状を世に知らしめる意味があったのだろうか。
 その藤原会長は、余裕のある笑顔で、こう答えた。


「今日は、タイガースへの熱い思いを聞かせていただいております。身にしみて今後のことを真剣に考えていかなければいけないと決意を新たにしております。これからも選手、監督をはじめ、全員を鼓舞しながらやっていきます。ぜひ今後とも応援をよろしくお願いします」
 まるでオーナー就任演説のようなスピーチ。会場からは拍手が起きた。

 坂井オーナー、藤原会長、秦社長のタイガースの人事に関する決定権を持つ3人が、互いに気を使い、牽制しあう、腫れ物のような存在のタイガースではあるが、株主総会が、タイガース一色に染まったことが示すように、本当に優勝を狙わねばならないーーとの危機感が本社内で出てきたとき、この3人の力関係に大きな変化が生まれ、新たな意思決定の形態が生まれるのかもしれない。

 10時スタートの株主総会が1時間半を過ぎようとしたとき、ある株主が手を挙げた。

「株主総会で阪神タイガースの話はもうやめてください。阪神ファンだけでやってください。もっと経営に関する質問をやってください」
 ここまでタイガースに関係する質問は7つもあった。
 笑いあり、怒りあり、拍手ありーーああ、タイガース株主総会ーーお後がよろしいようでーー。

(文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)


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  • 斎藤ユウキをポンコツって書くなよ 好きな選手じゃないけどそんじょそこらじゃの奴には出来ないことやってるんだ 金本辺りが言うならいいけど記者風情がよ 野球ファンとして不愉快だね
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