男性保育士は「娘の排せつ介助しないで」! 園へのクレームで孤立した“女の子ママの苦悩”

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2018年06月19日 20:03  サイゾーウーマン

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サイゾーウーマン

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 保育園、幼稚園、小学校、おけいこ事の教室などでは、日々子どもの保護者と施設側の間でトラブルが発生している。ほんの些細なことでも、自分のこと以上に気になってしまうのが親心というものなのか。わが子のことを思ってとクレームを入れるママもいれば、モンペと呼ばれることを恐れて我慢するママも。そんなトラブル事例とママの葛藤をつづる。

 アラサーやアラフォー世代には馴染みの薄い“男性保育士”という存在は、まだ全体的な割合は低いものの、都市部の保育園では珍しくなくなってきた。今回は、女性が当たり前だと思われていた保育士という職業に、男性が進出してきたことで見えてきた数々の問題やトラブルについて迫ってみたいと思う。今年4月に、家庭福祉員(保育ママ)宅での保育から、大型保育所に娘を転園させた香苗さん(仮名)は、こう語る。

「私は勤務時間が短いために、なかなか娘を保育園に入園させられず、保育士資格のある家庭で子どもの面倒を見てくれる保育ママさん(家庭福祉員)を利用していました。定員も3名だったので、保育ママさんには、娘を自分の孫のように可愛がってもらっていましたね」

 しかし、3歳になると保育ママの制度が利用できなくなるので、再度の保活の末、大型保育園に転園することになった。

「転園先の保育園へは施設見学などを行いましたが、園庭もあって広くて、設備には問題はなかったんです。ただ入園してみて、初めて男性保育士がいることを知りました。もし事前に知っていたら、第2希望の保育園にしたのにと悔やんでいます」

 入園した保育園では、3歳児クラスを若い男性保育士が担当していた。入園後に知らされたため納得がいかなかった佳苗さんは、園長に保育の分担について説明を求めた。保育士はシフト制のため、男性保育士がタイミングによってはおむつ替えや、排せつの手伝いなど行うケースもあると説明を受けた。

「ある時、娘が手を壁につけて“わんわんポーズだよ”と言ってお尻を突き出したんです。なんのことだろうと思って聞いてみたら、大きい方を排せつした時に残った汚物を拭きやすいようにするポーズらしく……。こんな恥ずかしいポーズを男性保育士がさせていると思ったら、いてもたってもいられず園長に男性保育士を外してもらうように相談しました」

 佳苗さんは、着替えや排せつ介助は女性保育士で対応をしてもらいたいと、園長に直訴。しかし、園長から得られたのは「人員の都合や、排せつのタイミングによっては、男性保育士が対応することもあるので了承してもらいたい」という口頭での説明だけだった。

 また佳苗さんは、娘が女性保育士に甘えるように、体格の良い男性保育士に抱っこしてもらったり、膝の上に座っているのを見て、「娘は嫌がるそぶりこそ見せていないけれど、過剰なスキンシップなのでは……」と、違和感を覚えたという。

 「男性保育士に不信感を覚えるのは自分だけなのか?」と、ほかの園ママに聞いてみても、「体力のある男性保育士は、子どもと一緒に遊べるのでいてほしい」という男児ママからの賛同の声や、「あの男性の保育士さんは、下のクラスからの持ち上がりだし、仕方ないよ」と割り切っているケースはあったが、断固として配置換えを希望しているのは彼女だけ。佳苗さんは親しいママ友もできず孤立してしまったという。

 都内の認証保育所で働いている保育士の幸子さん(仮名)は、職場に男性保育士がいることで息苦しさを感じている。

「今いる保育所は、ビルのワンフロアを利用した保育所なので、保育士の休憩スペースも狭いのです。男女別に着替えをするスペースがなく、男性保育士はトイレに行って着替えをしてもらっています。1人の男性保育士のために、ほかの女性保育士が気を使わなければならないのは面倒くさいですね」

 女性が多いという点もまた、なかなか男性が保育の現場に進出しにくい原因と言える。それは、保育士資格取得のために入る、専門学校や大学・短大の場でも同様だという。

 彼女の通っていた学校は男女共学だったため、少数ながらも男子学生も在籍していたが、「男子学生は、給与の安い保育士ではなく、体操教室の先生になったり、公務員試験を受けたりする人もいます。なのに、入学当初から保育士を志しているという男子生徒には、“なにかあるのではないか”と感じてしまっていた」と、幸子さんは言う。

「学校では、保育実習があったのですが、女児とやたらとスキンシップしている男子学生がいて、みんなで『もしかして、あいつやばいのでは……』とウワサになっていたこともあります。実際に保育園に就職をする男性保育士さんは、本当の子ども好きなのか、そうではないのか見極めが難しいですよね……」

 そう、言いづらそうに語った幸子さん。男性は保育士を志望するだけでも、周囲からこうした視線を浴びることになってしまうようだ。

 その一方で、認可保育園で副園長を務めている斎藤さん(仮名)は、男子保育士はいなくてはならない存在だという。女性保育士よりも、結婚や妊娠というリスクが少なく、遅い時間のシフトも組みやすい男性保育士は、雇う側としてはメリットが多い。また運動会や発表会など力仕事が発生する場合は、女性保育士だけでは時間のかかる作業も、男性保育士がいるとスムーズに準備ができるという。

「ただ、拘束時間が長いわりに給与が少ないので、30歳前に辞めていく人も多いです。0〜1歳児はオムツ替えが日常的にあり、保護者からのクレーム対策として、男性保育士を配置しづらいという問題があります。必然的に4〜5歳児クラスを受け持ってもらうことになりますが、今度は女児の着替えやプールなどで、『男性保育士が対応するをやめてもらいたい』という親も出てきます。男性保育士の配置換えは、実質的には難しいので、クレーマー体質の保護者には、納得するまで説明をしています」

 男性保育士が担任を持つと、「報告ノート(保育園での園児の様子を書いたノート)が読みづらい、字が汚い」というクレームや、「ズボンの前後が逆だった」というクレームが入ることがあるという。同様の行為を女性保育士が取った場合は、保護者からクレームはないそうで、男性保育士だと「男性だから雑」というように言われてしまう傾向があるとのこと。給与や条件面から考えると、男性保育士にとっては、決して好条件とは言えない保育士。子どもが好きという使命感で職務を全うしている男性保育士も多い中、女性保育士よりも評価が得られにくい面もあるのかもしれない。

 男性保育士の存在が世間的にまだ認められていないのは、保護者たちも彼らにどう接すればよいのかわからない中、男性保育士が起こした事件により、マイナスイメージばかりが強くなったからではないだろうか。園側は、男性保育士と女性保育士の間で明確な役割分担ができるよう、保育士の人材確保や保護者との連携を進めるべきなのかもしれない。
(池守りぜね)

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