城南海、『西郷どん』劇中歌への熱い思いを語る!

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2018年06月23日 12:12  TVerプラス

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大河ドラマ『西郷どん』(NHK総合、毎週日曜20:00〜)の劇中歌、大河紀行が収録されている『西郷どん紀行〜奄美大島・沖永良部島編〜』を6月20日(水)にリリースするアーティスト城南海(きずき・みなみ)さん。

奄美大島出身の彼女が歌う劇中歌「愛加那」は、鈴木亮平演じる西郷吉之助が、3年間を過ごした奄美大島で出会った女性・愛加那が、月夜の下で紬を織りながら、旅立ってしまった西郷への想いを馳せる歌詞が、人々の心の琴線に触れる。

城さんは作詞を担当しているが、どんな想いを込めて言葉を紡いだのだろうか。彼女の音楽のルーツと共に話をお聞きしました。

――大河ドラマ『西郷どん』で劇中歌や大河紀行を任されると聞いたとき、どんな思いを抱きましたか?

私の出身である奄美大島が、大河ドラマで大きく取り上げられるということが、まず嬉しかったのですが、自分の地元が舞台の作品の曲に携わらせていただくなんて、とても光栄なことだと思いました。

――作詞も担当されているのですよね。

そうなんです。実はレコーディングの1週間前に「作詞もお願いしたい」と言われたときには、嬉しい半面、大変だなという思いに駆られました。というのも、愛加那さんの気持ちを、西郷さんと愛加那さんが暮らした集落の言葉で書いて欲しいというオーダーがあったのですが、私が住んでいたところと、愛加那が住んでいた場所は違う地域だったんです。同じ奄美大島でも、地域が違うと言葉が全然違うので……。

――大変な作業だったと思いますが、どんなお気持ちを詞に込めて歌ったのでしょうか?

より深く知るために、西郷さんについての歴史を調べたり、愛加那さんについても奄美大島のルーツを探ったりして、とにかく愛加那さんの気持ちになって詞を書きました。歌唱についても「愛加那さんの気持ちになって歌ってください」とお話を頂いたので、島で生まれた女性の運命や、厳しい歴史のなかで、力強く生きた愛加那さんの思いを自分に投影できたらという思いで歌いました。特に、大河ドラマ『西郷どん』ドラマ本編に続いて放送される「大河紀行」のテーマ「西郷どん〜奄美大島・沖永良部島編〜」は、西郷さんを見送る別れの歌でもあるので、愛加那さんが西郷さんと暮らした3年間のすべての思いや、子どもたちとの別れ(のちに西郷さんの本家に引き取られる)……、そんな中1人で島に残った彼女は、どんな思いだったのでしょう。きっと様々な思いがあったと思いますが奄美大島は女性が神様の島なので、“ずっとあなたのことを見守っています、新たな道を切り開いてください”という気持ちを込めました。

――城さんは、奄美大島で生まれ育ちましたが、現在の音楽的表現に故郷は大きく影響していますか?

実は、奄美にいたときは、自然や海が当たり前の存在で、特別意識していたことはなかったのですが、島を離れてから気づくことが多かったです。いま歌っているものも、星や月など自然の言葉がよく出てきますし、島で育ったからこその声というのはあると思います。

――小さいころから歌手になりたいと思っていたのですか?

実は歌手になりたいという気持ちはまったくなかったんです。もともとクラシックピアノをやっていて、ピアノをやるために鹿児島の音楽高校に行ったのですが、なぜかピアノよりも歌の成績の方が良かったんです(笑)。そうしているうちに、兄が島唄を歌っていたので、私も一緒に歌うようになり、奄美料理のお店などで、お客さん相手に歌うことも増えていきました。そのとき「楽しいな」と思い、歌を意識し始めたんです。そしてたまたま公園で島唄を歌っているとき、スカウトしていただいて、この世界に入りました。

――先ほど、地域によって言葉が全然違うとおっしゃっていましたが、島唄も違うのでしょうか?

大きく北と南に分けられるのですが、北部を笠利唄(かさんうた)、南部を東唄(ひぎゃうた)と言います。笠利唄は抑揚があまりなく、ドーンと歌う荘厳な感じで、東唄は、メロディがくねくね上下していて、裏声を使いながら歌う感じです。私が歌っているのは東唄です。

――城さんが創作するうえで大切にしていることはありますか?

しっかりと景色が見えるような詞と歌い方を心がけています。あとは、自分の曲もいただいた曲も、ほとんど英語が使われていません。日本の美しい言葉や景色、メロディを意識し、自分のルーツや培ってきたものを大切にしています。

――近年、舞台や、バラエティ番組でカラオケや物まねに挑戦するなど、いろいろなジャンルの仕事に精力的に取り組んでいる印象があります。

食わず嫌いよりも、いろいろなことにチャレンジしたいという思いは強いです。『THEカラオケ★バトル』(テレビ東京系)に出るまでは、歌の採点などはしたことなかったんです。目に見える音程を埋めていく作業というのは、コンサートなどとはまったく違う歌い方なのですが、それはそれで勉強になることも多かったです。あとは、こういう番組に出演させていただいたことで、私のことを知っていただき、興味を持ってコンサートなどに来てくれたらいいなという思いもありました。

――最後に、城さんならではの大河ドラマ『西郷どん』の見どころをお願いします!

西郷さんが自殺未遂までして、ボロボロになってやってきたのが奄美大島でした。そこで愛加那さんをはじめ、島の人と出会い、自身の人生のテーマとなる「敬天愛人」という考え方にたどり着いたと言われています。奄美大島で得たことが、後々の西郷さんの行動の大きな指針となるわけで、そういったことを感じながら、作品を観ていただければと思います。

(取材・文・撮影:磯部正和)
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