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白球追いかけた少女、今は歌で球児を応援 足立佳奈さん

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2018年07月13日 14:17  朝日新聞デジタル

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朝日新聞デジタル

写真足立佳奈さん=東京都品川区
足立佳奈さん=東京都品川区

 今年もこの季節がやってきた。第100回全国高校野球選手権記念岐阜大会が開幕した。100度目の夏も球児たちは汗を流し、ひたむきに白球を追い、甲子園を目指す。海津市出身で、自らも少年野球チームでプレーしたシンガー・ソングライター、足立佳奈さん(18)に、球児たちへの応援メッセージを贈ってもらった。


     ◇


 小学生の頃、少年野球チームに入っていました。三つ上の兄が野球をやっていて、応援に行くうち「かっこいいな」と思い、自分もチームに入りました。


 ずっと内野を守っていました。足が速かったので、よく盗塁しました。打順は6番くらい。日焼けしていつも真っ黒でした。


 最終回、2アウト。ランナーをかえせば逆転サヨナラ、みたいな場面がわくわくして好きでした。自分の番じゃなければ(笑)。


 中学でも野球部に入りたかったんですけど、女の子は入れないと言われ、女子ソフトボール部に。入部した時、同級生はゼロ。部員集めに奔走しました。


 「ちょっと試合に勝っただけで焼き肉に行けるよ」とか口から出まかせを言って、なんとか11人集めました。クラスのボスみたいな女の子と仲良くなって引っ張ってきたりもしました。


 でも、みんな未経験者。「どうしよう、これじゃキャッチボールもできない」と、毎日朝から走り込み、放課後はボールを捕る練習、筋トレもしました。


 「わたしこんなんできないよ」と練習に来ない子も出ました。お家まで行って、まずはお母さんから説得。本人に会えたら「キャッチボールしようよ。みんなさみしがっているし、わたしもさみしい」って。


 色んなことがありながら練習を重ねて大会に出られるくらいになりました。同級生全員が最後の大会までやめずに残りました。今も地元に帰るとキャッチボールするくらい仲良しです。


 歌を始めたのは少し悲しい出来事がきっかけでした。ずっと少年野球に夢中だったので、女の子たちと遊ぶことが少なくなって、友達とあまりうまくいかない時期がありました。


 「私って独りだな」「学校も行きたくない」。落ち込んでいたとき、小学校の講師の先生が「佳奈ちゃん、合唱団に入らない?」って誘ってくれたんです。「音楽はいつも一緒にいてくれるよ」って。


 「なになに、先生、もう一回言ってください!」って思わず聞き返しました。そういえば、ショッピングセンターでもテレビでも音楽は流れている。「私はひとりじゃない」って思えるようになりました。


 中学では勉強と部活が忙しくて合唱は続けられませんでしたが、歌が好きすぎて夜中も歌っていました。音楽の仕事に就きたいと思っていた私に「現実を知りなさい。世の中、甘くない」と、母がオーディションに応募しました。


 結果はグランプリ。デビューのきっかけになり、高校は音楽科に進みました。


 音楽に専念するため高校では野球やソフトボールから離れました。スポーツテストだけが、私の見せ場。普通科や商業科の生徒もいる中で、3年連続全種目、全校女子で1番でした。足は陸上部の子より速かった。ハンドボール投げも、女子の記録に収まらず、男子用の場所で測り直しました。運動が一番好き。そのときは思ったけど、今は、やっぱり歌が一番好きです。


 5月、阪神戦の始球式で甲子園のマウンドで投げました。みんなで見ていた舞台に自分が立てるとは思ってもみなかった。お話を頂いたとき、野球をやっていた兄に「なんでお前なんだよ」と怒られました。「俺よりうまいやつでも立てない」って。甲子園って特別な場所ですよね。


 投球はワンバウンド。ブルペンではいいコースに決まっていたんです。マウンドの高さに対応できなかった。すごく悔しくて、帰りのタクシーで泣きました。


 夢もかないました。高校野球の応援に私の歌が使われたんです!歌でもっと応援の気持ちを届けることができたらいいな。


 最近は、イベントに球児のみなさんが来てくれます。見分けるポイントは坊主頭。私は大好きなので親近感を感じます。みんなが応援してくれるから、わたしも「もっと応援しなきゃ」と思います。


 野球部って坊主だし、どろどろだし、格好悪いって言う人もいます。でも、すれ違ったら、知らないひとでも帽子を外してあいさつする。そういう礼儀正しいところがいいと思うんです。野球をやっていない人も、やっていた私も、あの姿を見るとがんばれる。


 誰もが優勝っていうわけにはいかないけれど、仲間と一緒に夢を追う姿はかっこいいと思います。私は一人で音楽活動をしていますが、会場のみんなで作り上げるものもいいなと思ってステージに立っています。


 球児のみなさんには、これからも夢を与えてくれる存在であってほしいです。(聞き手・松沢拓樹)


     ◇


 1999年生まれ。2014年に「LINE×SONY MUSICオーディション」で12万5094人の中からグランプリを獲得。17年8月に「笑顔の作り方〜キムチ〜/ココロハレテ」でメジャーデビューを果たす。趣味はスポーツ観戦と食べること、走ること。50メートル6・8秒の俊足。TBS 7月期の金曜ドラマ『チア☆ダン』(毎週金曜夜10時)に梶山カンナ役で出演予定。


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