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いまだに残るレガシー IEの“功罪”とは

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2018年08月10日 11:13  ITmediaエンタープライズ

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 MicrosoftのInternet Explorerサポートチームが2018年7月18日にブログで発表した「Internet Explorer の今後について」について、山本一郎氏がこんな記事を書いていました。



【その他の画像】



・マイクロソフト「IE依存」せざるを得ない現場の苦悩



 この中で、



単刀直入に言い換えれば、IEに依存した古くさいシステムを使い回してぼろい商売をやってる国内ベンダーと、そうした業者にだまされてIEに依存したシステムを導入・継続利用しているユーザーは、そろそろIEを使うの諦めてくれという話であるようです。



と書いています。これについては、経緯を知らない人は何がどう問題なのかが分かりにくいと思うので、ちょっと補足しようと思います。



●IEでなければ動かないWebサイトがいまだに多数残っている



 問題の詳細は以下の通りです。



・Webブラウザの機能はHTMLという規格で決められており、どのブラウザでも同じ機能を持つはず



・しかし、MicrosoftはIEに勝手な機能拡張を施した



・その拡張機能は便利なため、それを使ったサイトが多数生まれた



・Microsoftは3年前に標準規格に準拠したブラウザ「Microsoft Edge」をリリースし、IEからの移行を呼びかけている



・しかし、EdgeにはIEの便利な機能は含まれておらず、サイトの改修が必要になる



・いまだに多くのサイトが改修を拒んでおり、MicrosoftはIEをやめたくてもやめられない状況に陥っている



 そこで冒頭の山本氏の記事につながるわけです。



 ここで疑問なのは、「Microsoftはなぜ、IEに勝手な機能拡張を行ったのか」ということです(「勝手」というのは、必要な手順を踏まずに、という意味です)。それを知るためには、歴史を振り返らなければなりません。



●Webブラウザの歴史 第1次ブラウザ戦争



 20年以上前、「Windows 95」が世に出る前は、Webブラウザといえば「NetScape Navigator」でした。Microsoftは、Windows 95と同時にNetScape対抗のWebブラウザとして「Internet Explorer」をリリース。IEは後にOSにバンドルされるようになり、Windowsの爆発的な普及とともにシェアを高めていきました。この辺の経緯はWikipediaにも書かれています。



 ここまでは、Microsoftがいつもの“抱き合わせ商法”で競合をつぶした、ということになりますが、その先は若干違っています。



 インターネットでオンラインバンキングやEコマースなどのサービスが普及し、企業のイントラネットクライアントもWindowsとIEで構築される(Webシステム)ようになると、当時のWebブラウザの機能ではいろいろ足りない部分が出てきます。もともとWebブラウザというのは、閲覧ソフトという名の通り、ネットの向こうのコンテンツを「表示する」ためのものであり、ユーザーインタフェースを作ったり、認証などを安全に行ったりすることまでは考えられてはいません。



 Webブラウザの機能を決めているのは、W3Cという標準化団体が決めているHTMLという規格です。しかし、このHTMLは、1999年にバージョン4.01を出した後、リリースが止ってしまいました。Microsoftは、新しい規格を作らない標準化団体と、機能拡張を求めるユーザーとの板挟みになってしまったのではないかと推測されます。



●Microsoftが行った機能拡張



 ここでMicrosoftは、本来であれば、インターネットのコミュニティーに働きかけてHTMLの機能拡張を行い、W3Cに提案して標準化すべきでした。しかし、Microsoftはそうはせず、独自にIEの機能拡張を行うという(コミュニティーから見れば)暴挙に出たのです。



 Microsoftにしてみれば、コミュニティーを巻き込むと時間がかかりますし、2000年頃にはIEは市場の9割以上を占めるブラウザになっていましたから、IEが事実上の標準であるという意識もあったのかもしれません。この頃は「デファクトスタンダード」といって、規制団体が決めなくても、圧倒的なシェアをとれば勝ち、という風潮があったことは事実です。私見ですが、こういったことが原因で、Microsoftはネットコミュニティーと折り合いが悪くなっていったように思います。



 Microsoftの名誉のために言っておくと、こうして追加された機能は、確かにユーザーにとって便利だったということです。この機能を使ったサイトが多く生まれた事実が、それを裏付けています(そしてそれが、今に至る問題を引き起こしたわけですが)。



 昔からPCを使っている人は、「このサイトはIEでないと正しく表示されません」というサイトがあったことを覚えているでしょう。事情を知らずに「なんだ、NetScapeのバグなのか?」と思う人も多かったようですが、実はNetScapeこそが正しく、IEの方が互換性を無視していたのです。しかし実際には、シェアの上で圧倒しているIEが正義に見えてしまった、ということなのでしょう。



●時代はHTML5へ



 しかし、10年近く続いたIEの時代も終わりを迎えます。先のWikipediaにもあるように、クラウドが普及し始めた2005年前後から、クラウド用のクライアントとしてのブラウザが見直され、「W3Cの標準規格に準拠した」ブラウザが次々にリリースされました。NetScapeから生まれた「Firefox」のシェアが伸び、Googleからは「Google Chrome」がリリースされ、iPhoneの普及とともにAppleの「Safari」のシェアも高まりました。



 同時期にAppleなどを中心とするグループがHTMLの機能拡張を進め、これが今のHTML5につながりますが、正式な勧告(最終決定)は2014年にずれ込みましたが、これは実に15年ぶりのHTMLの新バージョンだったのです。インターネットのような世界で、根幹となる規格が15年間バージョンアップされなかったというのは驚くべきことです。



 このような流れに押され、当初はHTML5への取り組みに消極的だった(ように見えた)Microsoftも、徐々に独自規格から標準規格に移行しました。このため、IE8以降は徐々に旧バージョンとの互換性が失われ、対応パッチや互換モードを搭載するなど、話が非常にややこしくなっていきました。そしてついにMicrosoftはIEをディスコンにし、Edgeという全く新しいHTML5対応ブラウザを「Windows 10」に標準搭載したのです。



 先のMicrosoftのIEサポートチームのブログでは、標準化のメリットも訴えています。



 Microsoft Edgeは最新のWeb標準で定義される機能を利用したリッチなブラウジング体験をユーザーに提供することや、相互運用性、つまり、Google Chrome や Apple Safari、Mozilla Firefoxとも相互に運用できるブラウザであること、PCのWebサイトはもちろん、スマートフォンやタブレットを前提に制作されたWebサイトとも相互に運用できることをコンセプトに、開発されています。



 本当なら、とっくにサポートを打ち切っていてもおかしくありません。しかし、サポートをやめたら、法人ユーザーからそっぽを向かれる恐れもあると考えているのかもしれません。



 自分で蒔いた種とはいえ、Windows 10への移行を急ぐMicrosoftにとって、意外な足手まといとなるのかもしれません。



●著者プロフィール:大越章司



外資系ソフトウェア/ハードウェアベンダーでマーケティングを経験。現在はIT企業向けのマーケティングコンサルタント。


このニュースに関するつぶやき

  • ネスケが標準準拠だって? レイヤーとかブリンクと言うタグはなんだったんだろう(笑)
    • イイネ!2
    • コメント 1件
  • HTML5準拠してないのもだけど、JAVA必須、ActiveX必須。トップページがクソ重いフラッシュのメニューで、スキップ不可のページを作る企業も滅びてほしいにゃん^^IEやEdgeはもちろん、しゅまほでも、Operaでもちゃんと表示できるようにすべきにゃん
    • イイネ!9
    • コメント 2件

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