信じるか信じないか、血液型ダイエット

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2018年08月18日 13:42  ニューズウィーク日本版

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ニューズウィーク日本版

<体質の違いを重視するのが最近の流行だが、血液型の違いと消化管の特性を結び付けるダイエットには専門家から「根拠が薄弱」という批判も>


この飽食の世界では、次から次へと新しいダイエット法が生まれては流行する。「血液型ダイエット」も、そうした星の数ほどあるダイエット法の1つ。人の体はそれぞれ異なるから、その違いに合わせたダイエット法を選ぶべきとの考えに基づき、食べるべきものや控えるべきものを血液型別に提案している。


専門家からは、根拠が薄弱だとの意見も聞かれる。それでも個々の体質に合わせた食事プランで健康増進を図るべきだという栄養学の最近のトレンドを反映しているのは間違いない。


ABO式血液型は赤血球表面の抗原の型に基づく分類法で、100年以上前に発見されている。血液型ダイエットの生みの親、ピーター・ダダモは本誌に対し、このダイエット法を最初に思い付いたのは医学大学院で血液型について学んだ時だったと語った。


「ABO式血液型に関する長い医学論文を見つけた時には非常に驚いた。食生活と関連があるとされるものを含む多くの慢性疾患で、(血液型によって罹患しやすさに)大きな違いが見られることを示した論文だった」。現在では高コレステロール血症や循環器疾患、心臓発作のリスクと血液型との関連を示す研究も増えている。


血液型ダイエットでは、赤血球表面の抗原の違いがその人の消化管の特性に結び付いていると考える。つまり、同じものを食べても血液型によって体の反応は異なるというわけだ。


血液型ダイエットのお勧め食材


具体的には、血液型ダイエットではA型の人には地中海式の食事を勧めている。ダダモによればA型の人は循環器疾患にかかりやすいが、植物性タンパク質を多く摂取することで予防効果が期待できるのだそうだ。


B型の人は鶏肉の摂取を控えるべきだという。鶏肉に含まれるレクチンというタンパク質が赤血球表面のB抗原を攻撃し、体に害を及ぼしかねないからだ。また、B型の人がトウモロコシや小麦、レンズ豆、トマト、ゴマといった食品を食べると代謝が悪くなって体重増につながりやすい。その他、目まいや体液貯留、低血糖症といった症状も招きかねないという。


血液型との因果関係は?


O型の人はタンパク質を中心にした食事がお勧めだという。穀物や乳製品の摂取は控えることが推奨されている。穀物に含まれるレクチンによる問題を被りやすいためだそうだ。


最後にAB型は、一般的な食品に対する耐性が他の血液型に比べて高いため、食べてはならない食品はあまりないという。


だがこれまでのところ、血液型ダイエットの効果の程を示すデータはない。最近のある研究では、血液型ダイエットを実践した人に一定の健康効果や、肥満度を示すBMI(ボディー・マス・インデックス)の低下が見られたが、血液型との因果関係を示す科学的根拠はなかった。


専門家の間では批判や懐疑的な見方も少なくない。ダイエット指導を行っている栄養士のマリア・ベラに言わせれば、評価できるのは自然食品を重視し、全ての血液型の人に運動を勧めている点くらい。「それぞれの人に合わせた食事プランは重要だと思うが、それは病歴やこれまで何を食べてきたかに基づくべきであって血液型に基づくべきではない」


体にいい食品の摂取を制限しているのも問題だという。「例えばB型の人はレンズ豆やトマトやゴマを食べてはならないとされている。どれも体にいい食品だ。(肉や穀物などの)食品群全体を制限すれば、栄養が偏りかねない」と、ベラは言う。


遺伝情報に基づく方法も


ジョシュ・アクスは自然療法を取り入れた医療を行う医師で、自らも30日間のダイエットプランを考案している。そんな彼も、血液型ダイエットは必ずしも勧められないと語る。「それよりも私は『オーダーメイドのダイエット』を勧めたい。遺伝的性質やさまざまな食品に対する反応つまり過敏症の有無、そして食べ物の好みに基づいてメニューを組み立てるものだ」


自分に合わせた食事プランで減量したいという人々の欲求をビジネスチャンスと捉える企業も出てきた。カリフォルニア州の新興企業ハビットは、個人のバイオマーカー(生理学的指標)や体のサイズ、遺伝情報に基づいてダイエットプランを立てている。


ハビットのCSO(最高科学責任者)を務めるジョシュア・アンソニーはこう語る。「人は一人一人異なり、それぞれが別のニーズを持っているという点で(血液型ダイエットは)正しかった。目の付けどころは悪くない。問題は、血液型が正しい食事プランの根拠たり得るという証拠がないことだ」


ダイエットに失敗したら、それはきっと体質に合わない方法だったから。少なくともそう言い訳はしてもいいようだ。


<本誌2018年8月14&21日号掲載>




デーナ・ダビー


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