DeNA屈指の“クラッチヒッター”倉本への期待

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2018年09月20日 11:11  ベースボールキング

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DeNA屈指の“クラッチヒッター”倉本寿彦 [写真=萩原孝弘]
◆ 少年時代の憧れ

 小学生時代の倉本寿彦少年は、茅ヶ崎駅から東海道線に乗り関内駅を目指した。もちろん大好きな横浜ベイスターズを応援するために。

 シーズンシートを保有している友人の誘いで、度々横浜スタジアムで観戦することか出来た。既に野球を始めていた倉本少年は、煌めくグラウンドの中で、一際目を引くショートストップ"石井琢朗"に心惹かれた。走攻守すべてに秀でたスタープレーヤーが背負う「5番」をいつか自分も背負いたい。その想いを胸に、必死に野球に取り組んだ。

 15歳になると地元・神奈川の“名門”横浜高校に進学。3年時には春と夏の甲子園に出場し、夏はベスト4進出の立役者となった。創価大学卒業時にはプロを志すも指名漏れし、日本新薬へ。そこで門田博光臨時コーチの指導を仰ぎ、バッティングが向上。2014年のドラフト3巡目で、憧れのベイスターズから指名を受け、遂に「欲しかった」背番号5のユニフォームに袖を通した。


◆ ショート・倉本から一転…

 ルーキーイヤーから開幕一軍の座をつかみ取り、102試合に出場。2年目にはレギュラーを奪取し打率.294と、大きく飛躍した。昨年はチームで唯一のフルイニング出場。クライマックスシリーズ、日本シリーズを含め、スコアボードには「6(ショート)・倉本」が常に表示されていた。

 しかしチームは、シーズンオフにFAで大和を補強。そこから倉本の立ち位置が一変する。大和の加入により、ポジションはショートからセカンドへ。一貫してショートを守り続けてきた男は「関係ない」と語ったが、バッティングの状態がなかなか上がらず、ラミレス監督も「守備が影響しているのかも知れない」と話すなど、5月末の時点で打率は「.240」と低迷。指揮官は遂に登録抹消を決断した。

 ファームでは嶋村一輝・打撃コーチと、細かくバッティングをチェック。「技術的には打球へのアプローチの仕方。相手の配球や、球種、コースの絞り方など、考え方も1打席ずつ見直した」という。

 その後、1カ月の調整を経て6月29日に再登録。大和の故障もありスタメンの機会は増えたが、結果は出ない。8月4日に大和が復帰するとスタメンの機会はぐっと減り、同18日を最後に代打での起用が増えていった。


◆ 未曽有の混セ

 そして9月6日に再びの登録抹消。ファームではスタメンで出続け、「打席に多く立って、感覚が良くなってきた」と語る。「感覚」とは2016年に掴んだもので、忘れないように「大事にしてきた」ものだ。

 最短の10日間で一軍に再登録されると、セ・リーグは3位以下が数ゲーム差でひしめき合う、未曽有の大混戦。CSの出場権を争うこの時期に求められるのは、何よりも“勝負強さ”だろう。

 去年の打率は「.262」ながら、得点圏打率は「.342」と、リーグ2位の好打率だった。去年の「ミラクル3連続サヨナラ勝ち」の3戦目には、どん詰まりの打球がセカンドの前でイレギュラーした“ミラクル”サヨナラ内野安打を放ち、今年の“代打ウィーランド”の後にもサヨナラ打を放つなど、いわゆる“持ってる”男だ。

「チャンスではより集中力が増し、勝負に入っていける」

 そう豪語するチーム屈指のクラッチヒッターは、憧れの背番号5を背負い、愛するチームの苦境を救う一打を放ってくれるはずだ。このままでは決して終われない。明日の星を掴めよ、倉本その手で。


取材・文=萩原孝弘(はぎわら・たかひろ)

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  • 確かに「持ってる」とは思うが、打撃も守備もレギュラー約束されるには全然物足りない。
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