中小企業の販路拡大のカギ 展示会を活かすための絶対的ポイント(2)

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2018年10月09日 19:02  新刊JP

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『3秒で顧客をつかむ!コスト効果“3300%”の「展示会営業」術!』(ごま書房新社刊)の著者、清永健一氏
新規顧客の獲得や販路の拡大を狙う企業にとって、業界各社が一堂に集う展示会は大きなチャンスとなりうる。

自ら集客することなく自社商品に関心を持っていることが予想できる人々と知り合うことができ、直接商品の魅力を伝えることができるからである。これはリソースが限られた中小企業にはありがたい。

しかし、ただ出展するだけでは後日のアポイントにつながらず、もちろん売上にもつながらない。交換しただけで役に立たない大量の名刺が残るだけである。

展示会で営業成果を出したければ、確固とした戦略が必要だ。今回はその点について『3秒で顧客をつかむ!コスト効果“3300%”の「展示会営業」術!』(ごま書房新社刊)の著者、清永健一氏にお話を聞いた。その後編をお届けする。

■コーヒー展示会で注目を集めたのは意外にもコーヒーではなく〇〇のブースだった

――展示会は年間を通して様々なものが開催されています。どの展示会に出るかというところで迷いそうです。

清永:展示会の選び方は大きく二つあります。一つめは、どの業界にも「定番」と言われる展示会があるので、それに出るという方法。食品業界なら「FOODEX」、美容なら「ビューティワールド」、製造なら「ものづくりワールド」などですね。こういうものに出れば「ハズレ」はなく、一定の成果は出しやすい。

二つ目のやり方は、若干ずらす方法です。「スペシャルティーコーヒー展」という展示会があって、どこを見てもコーヒー豆にコーヒーシュガーにコーヒーカップに、という感じでコーヒー関連のブースばかりなのですが、その中で、あるブースに一番人が集まったんです。

何かというと「紅茶」のブースです。展示会場は閉鎖された世界ですから、異質なものがあると注目を集めやすい。しかも、コーヒーのバイヤーはおおむね紅茶のバイヤーでもあるので、異質ではあるけど的外れではないんです。的外れどころか、むしろズバリですね。こういう風に自社の業界から少しずらした展示会に出展する方法もありです。

――また、展示会成功のポイントとして、自社製品を全部見せるのではなく一つに絞ることを挙げていました。この理由を教えていただきたいです。

清永:一つのブースに自社製品が全部並んでいると、見に来る人は何のブースだかわかりません。わからないものに人は立ち寄らないんです。

わざわざ展示会場まで足を運んでいる一方で、展示会に来る人というのはブースに立ち寄りたくないと思っています。そういう人を立ち寄らせるためには、とにかくわかりやすくしないといけません。ならばあれこれ並べるよりも、一つの商品に絞る方がいい。「ワンブース・ワンアイテム・ワンターゲット」を心がけていただきたいです。

それと、展示会では商品そのものを見せても意味がないということも理解しておくべきです。顧客の悩みに対してどういう解決をするのかというところを見せないと、展示会では人が自社のブースに立ち寄ってくれません。

――それはどのように表現すればいいのでしょうか。

清水:ブースの看板部分に書くキャッチコピーです。といっても変に凝る必要はなくて、自社が展示会で出会いたい層の人が日頃心の中でつぶやいているだろうことをそのまま書けばいい。「〇〇で困ったとお悩みの方へ」という感じです。

それが相手の思っていることそのものだったりすると、やはり無視はできないはずです。

――清永さんが「展示会営業」のコンサルティングの道に入ったのはなぜですか?

清永:僕は以前、大阪のケーブルテレビの会社で営業をしていまして、民家に一軒ずつ飛び込んでケーブルテレビを売り込んでいたんですけど、まったく売れなかったんです。

そんな時にたまたま展示会に出展しなさいという話が株主の大阪市から会社に来ました。当時ちょうど地上デジタル放送が始まる頃で、ケーブルテレビの会社として地デジについて説明しなさいということだったんですけど、数字にもならないし面倒だしで誰もやりたがらないんですよ。それで「おまえやっとけ」ということで全然売れてない僕のところにお鉢が回ってきた。

僕は当時あまりにも売れないから営業させてもらえずに集金係をやっていたくらいだったので「その仕事よりはマシかな」くらいの気持ちでいろいろ資料を作って、展示会に出展したんです。80人くらいブースに来まして、その人たちに地デジについて説明しました。一切、自社商品の売り込みはせずに、ただ教えただけです。

そうしたら、展示会の後に「ケーブルテレビを買いたい」、しかも「清永君から買いたい」という電話が会社に殺到したんです。

――何が良かったのでしょうか。

清永:今思うと、ブースで売り込まずにただ親切に教えてあげるだけだったところだと思います。

人は教えてもらうことは好きだけど、売り込まれるのは大嫌いなんだとその時に思いました。といっても、営業マンが、単に「教えてあげますよ」と連呼するだけだと押し付けになってしまいますし、結局は「売り込み」になってしまいます。「教えてあげること」と「教えてもらうこと」が自然に成立する場をつくることが大事で、それが展示会だと気づいたんです。

これが自分の原体験になっていて、最初はケーブルテレビ会社の中で展示会を利用した営業をやり始めました。そうしたら売れに売れたので、この方法を伝えるコンサルタントになろうと思ったんです。

――これまで様々な会社の展示会出展に関わってこられた清永さんですが、企業側から出る質問や悩みで多いものはどんなものですか?

清永:やはり出展コンセプトのところですね。どう考えていいかわからないというのがあるんだと思います。

といっても難しい話ではないんです。基本的には「展示会で誰に会いたいか」「その人は日頃どんな悩みを感じているか」「その中のどの悩みを解決できるのか」「なぜ解決できるのか」といった問いへの答えを考えるだけなので。これらを僕も一緒になって練り上げていくという形でやっています。

どんな会社でも顧客がゼロということはないわけで、必ず顧客がいます。顧客の中で自社の商品をすごく喜んで使ってくれているところに行って、聞いてみればいいんです。「なぜ喜んで使ってくれているのか」をつかむことが出展コンセプトづくりには大事なんです。

――最後に、展示会出展に興味を持つ企業や、すでに出展してはいるもののなかなか成果が出ていない企業にメッセージをお願いできればと思います。

清永:まずは「ワンブース・ワンアイテム・ワンターゲット」を心がけて出展コンセプトを練り上げること。そのやり方も本書で公開しました。出展コンセプトが固まれば、本書に記載している手順で、受注までの導線をきっちり設計しましょう。そうすれば必ず成果が出ます。ぜひやってみていただきたいですね。ぼくは、「展示会は自社の想いや志を世の中に堂々と発信する最高の場だ」と信じています。
この記事を読まれた方の展示会の成功を心から応援しています!
(新刊JP編集部)

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