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アメリカで頻発するポリコレ騒動。それが正しいかはさておき、日本の基準はもはや通用しない

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2018年10月12日 16:41  HARBOR BUSINESS Online

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写真一連の騒動についてツイートする「NY Daily News Sports」のTwitterアカウント
一連の騒動についてツイートする「NY Daily News Sports」のTwitterアカウント
◆田中将大投手が巻き込まれた、ある発言

 日本人メジャーリーガーが差別的発言による炎上騒動に巻き込まれるということが、このところ米国で相次ぎ起こっている。

 ヤンキースの田中将大投手がレッドソックスとのプレーオフに登板したときもそうだった。

 試合のテレビ中継を担当する米TBS解説者ロン・ダーリング氏が、田中のコントロールの乱れを指摘したのだが、そのときに「Chink in the armor(チンク・イン・ジ・アーマー)」という慣用句を口にした。直訳すると鎧(Armor)の裂け目(Chink)となり、戦闘するときに鎧に裂け目があればそこばかりを狙われてしまうということから、致命的な弱点のことを表現する言葉だ。しかしChinkは欧米では中国人に対する蔑称として使われている言葉でもあり、総じてアジア人に対する蔑称として受け取られてもいる。

 ダーリング氏は、それを田中の投球について話すときに使った。ただし同氏は母親が中国人で、ハワイというアジア系の人々が多く住む土地で生まれ育っている。それだけにChinkに裏の意味があることは知っていたと考えてよさそうだ。

 自身も中国系である米国人が、日本人に対し、主に中国人への蔑称でもある言葉を含んだ慣用句を使ったら、果たして差別になるのか?

 米国ではイエス。完全にアウトなのだ。

 ダーリング氏はこの発言の後、試合中継が終わるとすぐにメディアを通じ「私はマサヒロ・タナカの投球について話しをした際、ある表現を使いました。意図的ではありませんでしたが、言葉の選択に関して謝罪します」と声明を出している。
◆イチローと大谷を指して「そっくりな2人」

 今季途中からマリナーズのフロントに入り球団会長付特別補佐を務めているイチローと二刀流で話題のエンゼルス大谷翔平も、差別騒動に巻き込まれたことがある。

 マリナーズとエンゼルスが対戦した7月のある試合前、2人が談笑する場面があり、MLB公式サイトのツイッター担当がそのときの写真を「Spider Man pointing meme(スパイダーマン指さしミーム)」というコメントを付けてツイッターに投稿した。

 それは米コミック『スパイダーマン』で2人のスパイダーマンが鉢合わせをして互いに指をさし合うというシーンのことで、うりふたつというほどそっくりな人々や物、場所を表現するときにジョークとしてよく使われている画像だ。そのツイッター担当は「イチローと大谷、そっくりな2人が再会した」とジョークを交えて紹介したかったのだろうと思われる。

 しかしこれが差別的だとツイッターで非難され、炎上した。アジア人は皆同じに見えるという侮辱をしたことになるという理由だった。

◆多発する「失言⇒炎上⇒謝罪」騒動

 米国で人気の大学フットボール界でも失言炎上騒動が起きている。マサチューセッツ大学アマースト校のアメフト部のヘッドコーチであるマーク・ウィップル氏が試合後の会見で「相手チームにレイプされた」とコメントしたことで、女性に対する侮辱的な表現だとして批判が殺到。同氏はすぐに謝罪の声明を発表したが、大学から1週間の謹慎処分とその間を無給とする処分を受けた。

 スポーツ界だけでなく、ボストンのラジオ局WEEIではある番組のパーソナリティが中国人のアクセントを真似た喋り方をしたため、不適切だとの批判が噴出した結果、局全体が半日間の放送自粛を行うという事態に陥った。ジョージア州にあるエモリー大学ロースクールでは、教授が人種差別裁判の判例を講義している最中に「Nワード」と呼ばれるアフリカ系米国人に対する差別語を使ったことで批判が殺到、教授が謝罪することとなった。

 米国では今、こうした差別的あるいは侮辱的な言葉を口にする失言で炎上、謝罪という騒動が毎週のようにどこかで起こり、ニュースになっている。謝罪した人の多くは、謝罪だけに留まらず反省し改めるための具体的な行動として「センシティビティー・トレーニング(感受性訓練)」を受ける。これは、言動を改めるにはまず思考からということで、思考の仕方をグループ学習で習得するというものだ。個人が受ける場合ももちろんあるし、社員1人の失言が発端で会社ぐるみでこのトレーニングを受ける場合もあり、先に触れたラジオ局WEEIも放送自粛の間に社員全員がトレーニングを受けたという。このため米国では今、センシティビティー・トレーニングの教室が大盛況だそうだ。

◆「そのつもりはなかった」は通用しない

 日本でも著名人による差別的発言や失言で騒動が起きることは多いが「差別のつもりはなかった」「差別語とは知らなかった」などと弁明すれば許されるような風潮がある。意図的ではなかったり知らなかったりすれば、仕方がないという風潮。失言者が強く自己弁護して押し切ってしまえば、通ってしまうという風潮だ。

 しかし欧米では、言い訳はまず許されず、即謝罪。差別発言をした人がどういう立場であるか、どんな人種であるかなどはもはや問題ではなく、言葉のチョイスを間違えた時点で完全にアウトと判断される。ダーリング氏の例でもわかるように、例えばアジア人がアジア人に対する差別語を使ってもだめということだ。ポリティカル・コレクトネスに関しては、欧米と日本ではずいぶん差が出てきたのではないだろうか。

 欧米の感覚はおかしいと感じる方もいるかもしれないが、どちらが正しいかは置いておくとして、この違いを知っておかないと国際社会で戸惑うことになる。2020年には東京五輪もあり、観光客や労働者も含めこれからさらに多くの外国人が日本を訪れる。日本という国を海外から見られる機会も増えるだろう。そのときにもしポリコレ問題に直面した場合、外国人に「そのつもりはなかった」「知らなかった」は通用しない。

<取材・文/水次祥子 Twitter ID:@mizutsugi

みずつぎしょうこ●ニューヨーク大学でジャーナリズムを学び、現在もニューヨークを拠点に取材執筆活動を行う。主な著書に『格下婚のススメ』(CCCメディアハウス)、『シンデレラは40歳。〜アラフォー世代の結婚の選択〜』(扶桑社文庫)、『野茂、イチローはメジャーで何を見たか』(アドレナライズ)など。(「水次祥子official site」)

このニュースに関するつぶやき

  • 線引きむずかしく背景に無知だとうっかりしそう。是非はともかく東京オリパラは間近。あきらかなヘイト発言は、やめたほうがいい。
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  • ほらね〜🤪ポリコレ棒で重箱の隅をつついてアレも差別!コレも差別!と「少しの差別でも叩きまくる社会」に、ホントは多様性も自由もないんだよ〜🤪
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