ヒカキン『ガキ使』出演で考える、変わりゆくYouTuberとテレビの関係

64

2018年10月19日 16:42  リアルサウンド

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

リアルサウンド

 地上波への出演が相次いでいるYouTuberのヒカキンが10月21日、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ系)に登場する。


(関連:ヒカキン、『しゃべくり007』の豪華MC陣に“YouTuberの極意”をレクチャー ホリケンとのバトルの行方は?


 参加する企画は、『ガキ使』でも人気の高い「サイレント図書館」。静かに過ごさなければいけない図書館(という設定)を舞台に、ドクロマークが描かれたカードを引いた参加者が過酷な罰ゲームを受け、大きなリアクションをしてはいけないし、周囲も笑いを堪えなければいけない、という制約が面白い企画だ。細かなルールについては、18日にアップされたヒカキンの動画「ガキ使のサイレント図書館出たらとんでもないことになりましたwww」で解説されている。


 「検証」として人が嫌がるようなことにも果敢に挑戦するYouTuberと、「罰ゲーム」を軸にした今回のような企画は、相性がいいように思える。ヒカキンの動画は、視聴者層の少なくない割合を占める子供たちへの配慮もあり、単純に危険だったり、過激なものは少ないが、それでも、日焼けした身体に激辛の“デスソース”を塗り、氷風呂に入り、ガムテープでベリベリと除毛し、じゃんけんで負けてタランチュラを食べ……と、さまざまなことにチャレンジしてきた。その上で、ヒカキンは今回の番組について「動画でもそこまで身体を張ったことがない、というくらい……何か起きます!」と語っており、嫌が応にもその内容が気になってしまうところだ。


 ヒカキンは『ガキ使』出演の告知動画がアップロードされたメインチャンネルだけでも、670万人に届こうかという登録者を抱えており、普段はテレビをあまり観ない層のファンにも、上記のようなワクワク感を伝えている。先日YouTuberデビューを果たした“カジサック”ことキングコング・梶原雄太が、「テレビとYouTubeの壁をぶち破る」として日々動画をアップし続けているが、自然と逆側からのアプローチができているのが、トップYouTuberのヒカキンだと言えるだろう。10月8日放送の日本テレビ系バラエティー『しゃべくり007 2時間SP』に出演し、くりぃむしちゅー、ネプチューン、チュートリアルの豪華MC陣とトークを繰り広げたときも、「YouTuberとはどんなものか」を番組で伝えただけでなく、スタジオで撮影した動画をアップし、宣伝にも一役買っていた。今後も、特に若年層の視聴者を獲得したいテレビ番組からの出演のオファーは、途切れることがないはずだ。


 YouTuberへの一般的な関心として「どれだけ稼いでいるのか?」という問いがあり、不特定多数に向けたテレビや新聞等のマスメディアでは「お金」の話がメインになることも多い。ヒカキンは今年2月にも、『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)で松本人志、浜田雅功と共演しているが、同番組でも坂上忍に収入を耳打ちして驚愕される、というシーンがあった。しかし、ヒカキンをはじめ、同じくUUUM所属のフィッシャーズ、はじめしゃちょーや東海オンエアなど、人気YouTuberたちが地上波やラジオ番組、各種イベントなどでも精力的な活動を行なっているなかで、ミリオン再生を超える動画をほぼ毎日、提供しているようなトップYouTuberが「その活躍に見合った収入を得ている」という話は、所与のものとなりつつあるように見える。


 実際、ダウンタウンがMCを務める10月1日放送の音楽バラエティ番組『HEY! HEY! NEO!』(フジテレビ系)にフィッシャーズが出演した際にも、「お金」の話はおまけ程度で、より本人たちの活動やその魅力にフォーカスした内容のトークになっていた。


 今後はテレビでも、人気YouTuberのタレント性や能力が正当に、裏を返せば「社会的に珍しい存在」としての上げ底もなしに、評価されていくことになっていくだろう。「YouTuber」の基本的な情報をじっくり掘り下げるトークもなく、ヒカキンがいちタレントとして出演することになる国民的お笑い番組『ガキ使』は、その試金石になるかもしれない。


(橋川良寛)


このニュースに関するつぶやき

  • 地上波をはじめとするマスコミが真っ当な報道をしなくなった分YouTubeの情報の価値が上がっているという現実を認めるべきだ
    • イイネ!3
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(45件)

ニュース設定