ARゲーム『イングレス』のTVアニメが放送開始! 豪華声優陣の舞台挨拶で盛り上がった先行試写会をレポート

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2018年10月20日 10:51  リアルサウンド

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 皆さんは『ポケモンGO』をプレイしているだろうか? 同作はもちろん、Niantic(ナイアンティック)社による位置情報を活用したスマホゲームだ。Nianticは日本ではポケモンGOで広く知られた会社だが、それ以前にメガヒット作品をリリースしている。それが今回、アニメ化された『Ingress』(イングレス)だ。


(関連:ワールドワイドな規模感で作られたアニメ『イングレス』制作秘話 石井朋彦&櫻木優平インタビュー


Ingressとは?


 詳しくない人のために、原作となるゲームについて簡単に解説しよう。スマホ向けの拡張現実技術を利用したオンラインゲーム・位置情報ゲームとしてリリースされた「Ingress」は2つの陣営に分かれ、世界各所に存在する「XMポータル」を奪い合う陣取りゲームだ。


 ゲーム内のXMポータルの位置は現実世界とリンクしており、ポータルを占拠するには実際にその近くまで足を運ぶ必要がある。プレイヤーは緑がシンボルカラーのエンライテンド(Enlightened (ENL), 覚醒派閥)と、青がシンボルカラーのレジスタンス(Resistance (RES), 抵抗派閥)に分かれ、互いにXMポータルを奪い合う。エンライテンドは、人類を次のステージに引き上げるためにXMを積極的に利用しようとしている勢力のことで、レジスタンスは、XMを正しく制御していくべきだとする勢力のことだ。


 いわば大規模な“陣取り合戦”だが、その背景にはどんなストーリがあるのか。以下にその概要をまとめる。


Ingressのストーリー


 世界には人間の心身に対して”啓発的な”効果を及ぼす謎の物質が存在していた。CERNの実験で偶然発見されたこの物質は「エキゾチック・マター(XM)」と名付けられ、研究が進めらた。NIA(アメリカ国家情報局)はその研究のため、CERN付近に研究者を集め、「ナイアンティック計画(Niantic Project)」を立ち上げる。


 XMは秩序と知性を持つと考えられ、臨界量超えるXMを被曝した者は「シェイパー」と呼ばれる存在の影響を受け、彼らに侵略されるということが判明した。人類の文化や古代文明の発展も、その滅亡もシェイパーの影響によるものだったのではないかと考える者も出てくる。XMは全世界に分布していたが、とりわけ、文化的・芸術的・宗教的に重要な場所に密集しており、このような場所は「XMポータル」と呼ばれた。


 しかし、ナイアンティック計画は「啓示の夜」事件と呼ばれる、実験最終日のXM大量流出事故により崩壊。さらにどさくさ紛れに何人かの研究者が暗殺されるなどの大騒ぎとなってしまった。これによってXMの無限の可能性と危険性を知った研究者たちは、米中露の軍事企業やシェイパーを崇拝する結社などと組んで、それぞれシェイパーを助ける、あるいはシェイパーと戦う行動を開始した。


 研究者たちの一部はわずかな改造を施した携帯電話上で機能する「スキャナ」技術を開発し、これによって、実世界に存在するXMポータルを観察し、操作できるようになった。ところがほどなくスキャナ技術は漏洩してしまい、Google Playに「ゲーム」としてアップロードされた。以来、数百万にのぼる人々が、XMの性質や、その人類への影響などに関わる実験を行った。その結果、エンライテンドとレジスタンスという2つの派閥(Faction)が生まれたーーというのが、物語のあらましだ。


 さて、今回はそんなメガヒットゲーム作品『Ingress』のアニメ化(INGRESS THE ANIMATION)に際して、先行試写会と音声AR体験型ゲームイベントに潜入してきた。先行試写会では、アニメの1〜4話が上映。詳しい内容は、すでに放送が開始されている本編を観てもらうとして、本稿では筆者が注目したポイントとも、上映後の舞台挨拶を中心にお届けしよう。


 まず、本作はゲーム版『Ingress』の世界観をうまく表現していると感じた。Ingressは現実世界と仮想空間のリンクが大きな特徴だ。XMは現実世界に存在する、だが、スキャナを通してでしか見ることができないーーそういった「表裏一体の存在」としてのリアルとバーチャルをしっかりと表現しており、日常に隠れている非日常を覗き見ることができた。


 Ingress特有の世界観を楽しむのはもちろんだが、アクションシーンからも目が離せない。アクション映画さながらの迫力あるアクションシーンは、多くのアニメを見てきた人でも飽きることなく見ることができるだろう。フルCGということもあり、銃器、エフェクト、動きなどがリアルに近いので、アクションシーンも迫力満点だ。


 メインビジュアルでも表現されている緑のレジスタンスと青のエンライテンドの対立はアニメでも健在だ。双方の思想の違い、密かに進む謎の研究、そしてサラに課せられた役目とは……おっと、あまり言うとネタバレになりかねないので、続きは皆さんの目で確認してほしい。続いて行われた舞台挨拶に、話を移そう。


出演者による舞台挨拶


 ステージには、ジョン・ハンケ(Niantic CEO)、櫻木 優平(監督)、上田 麗奈(サラ・コッポラ 役)、中島 ヨシキ(翠川 誠 役)、喜山 茂雄(ジャック・ノーマン 役)、緒方 恵美(ADA 役)と、豪華な面々が並んだ。


  Ingressほどのメガヒット作品ならハリウッド映画にもできると思われるが、アニメにした理由を聞かれ、ジョン・ハンケは「アニメは映画よりも自由度が高いし、アニメなら世界を駆け巡る壮大なストーリーも描けるから。そして、『AKIRA』などの日本のアニメが大好きだから、Ingressのストーリーを日本のアニメで伝えたかった」と、アニメに対する情熱を語った。


 また、Ingressのナビゲーターを務めるADAの声優を緒方恵美が担当するに至った経緯について、緒方本人が「実は最初はそうじゃなかったんですよ。エージェントとしてゲームをプレイしてたんですが、ADAの日本語版ボイスを入れるとなったときに、日本のエージェントの中でADAのイメージに合う声優さんを探しているということで、担当することになったんです」と、裏側を語っていた。


 また、監督の櫻木は、映像がリッチでカット数が多いように見えると問われ、「普段見てるアニメよりは多いと思います」としつつ、背景以外の手描きパートは一切なく、フルCGで制作したことを明かした。


 また、謎が多いアニメ「Ingress」の今後の展開にも質問が集まる。「まだ登場していないキャラもそれなりにいて、未登場のキャラが結構キーになります。登場しているキャラクター1人1人も掘り下げられますし、主人公の誠の成長にも注目です」と、サラ・コッポラ役の上田麗奈。翠川誠役の中島ヨシキは、「誠が尋常じゃない速度で成長していくので、演者としてその成長にお芝居が追いつけるのかという課題がありました」とその大変さを語った。また、ジャック・ノーマン役の喜山茂雄も「ジャックとしては、誠の成長スピードに驚かされるばかりです。そしてジャックを超える何かを見せてくれます」と、やはり主人公・誠の活躍について期待していてほしいとコメントした。


 また、4話以降は日本だけでなく世界を舞台に飛び回るのだが、それぞれ現地のエージェントに写真を撮影してもらい、参考に制作を進めたエピソードが。櫻木も「現地のエージェントの情報が、そのまま反映されているカットもあります。Niantic社の協力でそういったことができて、非常に助かった」と、Nianticと共作したからこそできた作品であったことを強調していた。


 また、最後に行われた記念撮影では観客に青と緑のサイリウムが配られ、Ingressの2つの陣営「レジスタンス」と「エンライテンド」を表現し、会場が綺麗に彩られていた。


音声 AR 体験型ゲームイベント


 上映会後の音声AR体験型ゲームイベントでは、上映会会場の六本木ヒルズ周辺に設置されたダークXM放出装置をすべてハッキングし、無力化するというゲームを体験できた。


 上映会終了後にiPhoneが配られ、イヤホンを装着して六本木ヒルズを散策しながら写真奥のダークXM放出装置を見つける。ダークXM放出装置を見つけたら、端末を近づけるとハッキングが開始され、ゲージが100%に達すると無効化される。六本木ヒルズ周辺に300個ほど設置されている装置を、1時間以内にすべて無効化するとミッション成功だ。


 最初に、エージェント登録をする必要があるのだが、その際に撮影した顔写真の情報が敵に漏れてしまい、傭兵が派遣されている。傭兵に見つかるとミッションは失敗となる。


 ミッションには上映会の参加者全員が参加し、端末にはリアルタイムで他の参加者がハッキングを開始したことや、ダークXM放出装置が無効化されたことがリアルタイムで同期される。また、常にADAが音声でナビゲートしてくれるので、Ingressファンには堪らないイベントだろう。


 筆者は残念ながら途中でゲームオーバーになってしまった。ゲームオーバーになる直前に一眼カメラを構えたスタッフとすれ違ったので、顔写真のデータを元に、スタッフが持っているカメラで顔認識を行い、顔が認識できればゲームオーバーという仕組みになっているのだろうか?


 イベント専用のアプリだが、完成度が非常に高かった。Ingressよりも限定された範囲でのゲームだったが、その分他の人との連携が重要でIngressよりも人と人との距離が近いゲームとなっていた。もしかすると、今後のIngressのイベントでも同様のイベント限定モードが遊べるかもしれない。


 Ingressと直接関係はないが、端末と一緒にambie sound earcuffsも貸出してくれた。このambieは、周りの環境音を聞きつつ音楽を聞くことができる特殊なイヤホンだ。スマホの音声を聞きつつ歩き回るという、今回のイベントの特性上、衝突や転倒の危険性もあるので、それに対する配慮だろう。


Netflixで全話一斉配信も


 TVアニメ「INGRESS THE ANIMATION」はフジテレビ系列で10/17(水)から放送開始されており、Netflixで10/18(木)より日本先行全話一斉配信が行われる。Netflixを契約している人はイッキ見も可能だが、テレビでは毎週1話ずつ放送されているので、ネタバレは控えてほしい。さらに今後、海外でも放送予定で、世界中でイングレスのアニメをきっかけに新規ユーザーが増えるかもしれない。


 「The world around you is not what it seems.」(あなたの周りの世界は、見たままのものとは限らない)


 これはIngressのキャッチコピーだ。私たちが普段生きている現実世界。普段見慣れた世界の裏には、見えているものとは違った別の世界が、実は広がっているのかもしれない。これを期に皆さんも、普段見えている世界とは少し違った”Ingress”の世界に触れてみてはいかがだろうか。


公式サイト:http://ingressanime.com


(tomokin)


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